質問本文情報
昭和四十七年七月十二日提出質問第五号
当面の緊急政治課題に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和四十七年七月十二日
提出者 池田※(注)治
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
当面の緊急政治課題に関する質問主意書
一 B52の沖繩飛来について
1 最近、B52が沖繩県に大挙飛来したことはきわめて遺憾である。これは事前協議制の空洞化を示す以外の何ものでもない。そこで、事前協議のあり方そのものについて伺いたい。
(1)事前協議の本質とはそもそも何か。(2)事前協議が協議にとどまる以上、それについてイエスもノーもあるのは法理論上当然であり、いわゆる拒否権なるものはないと考えざるをえないがどうか。(3)日本側の発議権はあるのか。あるとすればその法的根拠いかん。(4)事前協議制は他に例があるか。またそれは国際法上いかなる地位にあるか。
2 沖繩の本土復帰によつて、沖繩県での基地提供は即日本での基地提供となつた。そこで今回のように沖繩基地がベトナム戦争に関与することによつて、北ベトナム政府が日本に対し報復攻撃することが国際法上許されることになるのか否か伺いたい。
3 先の通常国会で外務大臣は、事前協議制の対象基準について年内に米側と再検討するとの約束をしてきたが、この方針を今後も堅持するか。また、もしそうであるならば、いつ協議を開始するか。
二 日中国交の回復について
1 日中国交回復の実現は、古き良き友人との交情の復活を欲するとともに、世界の恒久平和を念願する国民的声である。正常化の機は、民社党をはじめとする野党の努力によつて、もはや十分に熟している。いまやその実現の成否は、政府が中国の復交三原則を基本的に認めると同時に、国交回復実現に向かつて強力なリーダーシップを発揮することである。政府は、自民党内部の意見の対立という狭い殻に閉じこもらず、広く国民的視野からこの歴史的決意を行なう意思はあるか。決意があるとするなら、国交回復に至る具体的なスケジュールを明示せよ。
2 自民党政府の外交政策の欠点は自主性のなさにある。いつまでも対米追随姿勢をとることなく、日本の運命は日本人自身で切り開くという自主独立の外交を確立すべきである。日中国交回復にあたつては、中国でも主張しているように不可侵、内政不干渉等の平和五原則の確認を政府間において明らかにせよ。
3 日台条約について、政府は佐藤内閣の後向きな見解を踏襲すべきではない。政府は台湾帰属問題について明確な見解を提示せよ。
4 中国に対する賠償問題について、中国側の好意に甘えるのでなく、謝罪の寸志、あるいは経済協力の意味からして、当然支払うべきとの意見も多いが、政府として今後いかなる方針で臨むのか。
5 自民党総裁選挙の際における田中、大平、三木のいわゆる政策協定はきわめて不十分である。問題の核心は復交三原則を前提とするか否かである。そこで問題解決の途は二つである。一つは、政府がこの三原則に立つて党内をまとめる自信があるかということである。これまで国会における国交回復決議が再三にわたつて流れたのもこれが問題であつたからである。いま一つは、三原則を認めないで復交できる案が他にあるかということである。いずれの途を選ぶつもりか伺いたい。
6 今後、日中の復交が実現すれば、日本にとつて、現在の日中関係と日台関係の占める位置は完全に逆転することになる。そこで、その際の日本の台湾における権益ならびに邦人の保護についてどのような方策をとるのか。
三 国鉄の再建について
1 政府は、国鉄の再建を重視しているが、次の臨時国会に再建法案を提出する方針であるか。
2 政府は、国鉄の再建に際し、国の財政援助、運賃の引き上げ、国鉄当局の経営努力を三本柱とする法案を今後も国会に提出せんと意図しているが、政府は、この三本柱のうち、いずれに重点を置いた対策を講ぜんとしているか。
3 前国会において、国民の大多数の意見により運賃引き上げ法案が廃案となつた。国鉄の再建にあたつては、運賃引き上げによらない再建を考えるべきであると思うが、政府はその具体案を示すべきである。
四 最近の災害に対する緊急対策について
最近、豪雨による山くずれ、家屋倒壊、浸水などが続発し、尊い人命が犠牲になつているが、政府はこれら災害についていかなる緊急対策を用意しているか、具体策を明らかにされたい。
五 健康保険制度の抜本的対策について
健康保険法の改正については、昭和四十二年、四十四年、さらに先の通常国会で大きな論議を呼んだが、民社党は、政府に対し、その都度、健康保険制度の抜本策の樹立を主張してきた。新政府は、行き詰まりつつある健康保険制度の抜本的改正について、いかなる準備をすすめつつあるかまた来たるべき臨時国会に抜本的改正案を提出するかどうか。
右質問する。