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昭和四十七年七月十二日提出
質問第七号

 当面する内外の緊急問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年七月十二日

提出者  松本善明

          衆議院議長 (注)田 中 殿




当面する内外の緊急問題に関する質問主意書


 今日、内外の緊急問題が山積しているにもかかわらず、新内閣が所信表明も行なわず、政府自民党が野党の緊急質問の要求を踏みにじり、質問の機会を奪つたことはきわめて遺憾である。
 ここに、若干の緊急問題について質問するので明確な答弁を求める。

一 アメリカのベトナム侵略は、病院爆撃、堤防破壊など、かつて第二次世界大戦でナチスが行なつた以上の残虐な皆殺し戦争に拡大されている。しかもこのベトナム侵略が復帰した沖繩を含む日本全土を基地として行なわれている。
  政府は、このアメリカのベトナム侵略に基地が使用されている状況を容認するか。
  アメリカのベトナムでの軍事行動にたいする政府の態度を問う。
二 五月二十日、B52三機が空中給油不能のための緊急着陸を名目に復帰後の沖繩にはじめて飛
  来したのにつづいて、今回、また、二十九機というかつてない大量のB52が八日から九日にかけて沖繩に飛来し、前回は数時間後には飛び立つたのに、今回はすくなくも三十時間以上沖繩にとどまつた。
  これは、日米沖繩協定による沖繩の施政権「返還」なるものが、真の返還をもたらすものではなく、「本土の沖繩化」をはかるための形だけの「返還」であることを示すものであり、B52常駐の布石と見られる。
  1 八日から九日にかけて行なわれたB52二十九機の飛来は、どのような理由で、どこから飛来し、なぜ長時間居すわつたか。
  2 このB52はベトナムへ向けて発進したと考えられるが、事前協議はあつたか。ベトナムへ発進しなかつたとすれば何を証拠にそういえるか。
  3 このB52は台風避難のためグァム島から来たといわれるが、当時グァム島が台風避難を必要とする情況でなかつたことは、新聞その他の情報で明らかである。また、六月七日衆議院外務委員会での吉野前アメリカ局長の答弁によれば、普通飛行場は多少風が吹いたぐらいでは避難する必要はなく、またB52が移動できる飛行場は、沖繩以外でもフィリピンその他にあるとのことである。前回の飛来のさい、政府は、人道上断われないとしながらも飛来をくりかえさないよう米側に申し入れ、米側もこれを了承したとのことである。にもかかわらず、今回は、緊急着陸でなくグァム島からわざわざ飛来することを認めた理由は何か。
  4 米軍は復帰後といえども沖繩にB52を飛来させる権利をもつていると政府は考えているのか。もしそうだとするならば、B52の再三の飛来を防止するには安保条約を廃棄する以外にないと考えるがどうか。
三 七月豪雨の災害について
  七月豪雨によつて七月十一日現在、人身に係るものだけでも死者百九十人、行方不明四十七人、負傷者二百六十人以上という大きな被害を出している。災害の起きるたびに政府は「異常降雨量が惨事をひき起した原因」といつて、わが国の自然条件に責任をおわせようとしてきた。記録的な降雨量が直接の原因ではあるが、災害が防げなかつたのは、危険な崖の放置、国有林の過度伐採、電力本位の水量調節によるダムからの放流、無計画な観光産業開発、おざなりな中小河川対策などによるものであり、明らかに政府の防災対策の怠慢である。
  七月豪雨の被害者にたいし、激甚災害であると否とを問わず、政府はただちに十分な救済と補償の措置をとるべきであるが、政府は、具体的にどのような措置をとるか。
四 光化学スモッグ防止対策について
  今年は春先から連日のように光化学スモッグが発生し、大都市だけではなく地方都市にまでひろがつている。しかも被害はこれまでにみられなかつた重い症状があらわれ、もはや一刻もゆう予できない深刻な事態となつている。
  わが党は、梅雨あけの光化学スモッグ激化にそなえ、当面政府が実行すべき緊急のこととして次の十二項目を本日政府に要求した。
  (1) 官庁のすべての自動車に率先して国の負担で有害排気ガス除去装置を取り付ける。
  (2) 官公有車を除くすべての自動車に、自動車メーカーの負担で有害排気ガス除去装置を取り付けさせるよう指導を強め、ハイヤー、タクシー、トラックなど一日の走行距離がきわめて大きい自動車の有害排気ガス除去装置の交換費用にたいし、政府が一定の補助を出す。
  (3) 光化学スモッグの被害発生の恐れのある地域内の学校のすべてに、光化学スモッグ自動測定装置を配置する。さらに全教室に換気装置をつけ、医務室、保健室には空気浄化装置の取付けなど急救医療体制を強化する。また児童、生徒に光化学スモッグ防止のため正しい公害教育を実施する。
  (4) 光化学スモッグの観測・測定点の増設、原因物質の究明、人体影響の調査、燃料および燃焼後の生成物質の分析などの調査・研究にあたつては、広く学者・研究者・技術者・医学者の協力を求めて実施し、その結果をすべて公表する。
  (5) 光化学スモッグ被害者をただちに「公害病」に認定し、政府の責任で完全治療とその治療費を保障し、医師には適正な報酬を支払う。さらに、救急体制を光化学スモッグにも十分役立つよう医療機関との協力体制を強める。
  (6) 光化学スモッグ予報当日は、有害排気ガス除去装置を取り付けていない自動車については運転を規制する。
  (7) 光化学スモッグ防止上必要ある地域については、交通を渋滞させ大気汚染を増加させる駐車を取り締まる。
  (8) 実効ある交通規制を実施できるところからただちに行なう。
  (9) 現行の注意報・警報基準を実状にあつた実効ある基準にすぐあらためる。
  (10) 現行の自動車排出ガス規制基準を改正して引き上げるとともに、ただちに炭化水素、窒素酸化物の環境基準をつくる。
  (11) 現行の大気汚染防止法を光化学スモッグ防止に役立つようただちに改正する。
  (12) 国の光化学スモッグ防止の処置を効果あるものとするために必要な予算を大幅に増額する。
 以上は当面の最少限の要求であり、政府が実施しようと思えばただちにできるものである。
 以上のわが党の要求をただちに実施する考えがあるかどうか、各項目について具体的に政府の考えをききたい。

 右質問する。





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