衆議院

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昭和四十八年九月十八日提出
質問第二〇号

 成田パイプラインの安全対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十八年九月十八日

提出者  木原 実

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




成田パイプラインの安全対策に関する質問主意書


 石油パイプライン事業法に基づく石油パイプライン技術基準が、近く告示されるとのことであるが、本来、基準はその内容が現場において徹底されなければ、存在意義がないといえよう。
 そこで、石油パイプライン事業法施行以来、工事が進行した唯一最初の具体例である新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)による千葉―成田間航空燃料輸送パイプライン(以下「当該パイプライン」という。)の千葉市内における実情にかんがみつつ、石油パイプライン事業法に関係する一切の法令の効力を問う次第である。

一 石油パイプライン事業の事業用施設の工事の計画、検査等に関する省令について
  空港公団は、昭和四十七年十二月二十六日以降、同四十八年七月にかけて、千葉市内において当該パイプライン埋設工事を行つたが、
 1 右記省令に基づく工事計画認可申請書は本年九月一日現在提出されているのか。
 2 右記申請書が提出されているとすれば、工事計画認可はされているのか。
 3 右記認可がなされていないとすれば、前記工事で埋設されたものは、石油パイプライン事業法第二条第二項でいう石油パイプラインに該当しないと思うがどうか。
 4 空港公団が工事計画認可申請をしていない場合、石油パイプライン事業法施行規則に基づく事業許可申請をしながら、工事計画認可申請をせずに工事を実施したことになる。これは、政府関係機関による法手続無視ではないか。
 5 空港公団による前記工事は、いかなる予算措置に基づいてなされたのか。法手続無視を伴う事業に対して、国家予算を支出する法的な根拠を述べられたい。
 6 今後、空港公団が前記工事で埋設したものを、石油パイプライン事業法に基づく石油パイプラインとして使用するべく工事計画認可申請を行つた場合、昭和四十八年七月現在、埋設工事が完了している部分について工事計画認可はなされるのか。
 7 右記認可がなされるとすれば、石油パイプライン埋設工事は、工事開始後一年近く経過しても工事計画認可は必要でないということになり、前記省令は有名無実となると思うがどうか。
二 空港公団による千葉市新港、同幸町における当該パイプライン埋設工事に関し、昭和四十八年九月七日の千葉日報によれば、埋戻し砂として二・六キロメートルにわたり、不良砂が使われたという。この報道が事実とすれば、右記工事の施工管理体制に重大な遺漏があつたと判断されるが、真偽の程を明らかにされたい。
三 昭和四十八年二月九日、千葉市四街道町における当該パイプライン埋設工事で死者が発生した。空港公団の現場工事管理体制を全うするならば、わずか二メートル位の深さの溝を掘つた位でこのような事故は起りえないものである。しかるに事故が発生した以上、空港公団の現場工事管理体制に重大な遺漏があつたのではないか。事故の再発を防ぐためにも原因を正確に究明する必要があると思われるので、本件事故の発生・処理にかかわる一切の報告(労働基準法に基づく死傷病報告等も含む。)をされたい。
四 当該パイプライン埋設工事に関係して、千葉地方裁判所昭和四十七年(ヨ)第一四九号、新東京国際空港航空機給油施設埋設工事中止仮処分命令申請事件が発生し、昭和四十七年七月三十一日の民事部決定において、「……この点被申請人や千葉市当局がとつた不安解消の方法は充分でない憾みがある。……ともあれ、被申請人空港公団、千葉市等関係当局には、かかる住民感情を考慮し、関係住民との協議を重ね、その納得を可及的に得るよう慎重な配慮をすることが望まれる次第である。」とされたことにより、空港公団今井栄文総裁は、同四十七年八月十九日付文書をもつて、関係住民、千葉市当局と三者で会談を行うことを約束している。
 1 右記三者会談は実行されたのか。
 2 空港公団は、三者会談の約束を実行すべくいかなる努力をしたのか。
 3 右記三者会談の約束をしながら、当該パイプライン埋設工事中止を訴える関係住民の請願を無視し、かつ、工事を強行した空港公団の態度は、石油パイプライン事業法案の附帯決議、あるいは審議の際の田中(注)榮国務大臣(当時)等の「関係住民と十分に話合う」という政府見解にかなつているのか、いないのか。ここでいう関係住民の請願の中には、昭和四十八年三月十二日付一万五百二十七名の千葉県議会請願も含まれる。
 4 前項の政府見解は、関係住民に直接被害が及ぶ現場において、「住民無視・工事強行」に変身したといえよう。政府はかような行政指導を行つているのか。
 5 三者会談の約束を穏やかに尊守せず、関係住民を無視しながら工事を強行する権原は何か。
 6 三者会談を開くように政府は行政指導する意思があるか。
五 前項の仮処分命令申請事件の際、空港公団は、補充答弁書(昭和四十七年七月十一日)で、「債権者ら(註、関係住民)は、想定し得る地震に関係なく天地の終りのような状況下でもパイプラインだけは安全でなくてはならないように云つているが、その時は、地上のあらゆるものは破壊されてしまい、かかる状況下でパイプラインのみ残つても意味がないと云える。」という主張を行つているが、住民側の仮処分命令申請書、債務者の主張に対する反論、債務者の反論に対する反論、のいずれにも空港公団が指摘するような主張及び表現は見当たらない。住民側は、このあとの議論(準備書面二)で、空港公団が主張もせず、反論もせず、答弁もしない項目を数十点にわたり冷静に指摘しているが、これに比べて、前述の空港公団の主張は、住民の主張にない点をことさらにねつ造した感情的な議論といえよう。
 1 政府は、右記のような空港公団の態度が、石油パイプライン事業を営むものとして、石油パイプライン事業法の立法の精神に合致すると認めるか否か。
 2 空港公団が右記のような態度をとるように政府は行政指導を行つていたのか。
六 昭和四十七年七月三日、地方自治法第七十五条第一項に基づく事務監査請求が、千葉市民から千葉市監査委員会になされ、その監査結果(48千市監第14号)が、同年五月十五日、請求代表者に対して通知された。これは、千葉市長の当該パイプラインに対する道路占用許可が、安全性を十分確認せず住民を無視しているという主張に対してなされたものであるが、これによると、「住民に対し、なんらかの方法を講じその概要について知らしめることは必要であろう。」との判断が記述されている。この「住民に知らしめる」ということは、第六十八回国会における石油パイプライン事業法審議の際、田中国務大臣(当時)のされた答弁や、同法成立に際してなされた国会の附帯決議の「住民による理解と協力」の内容からは、著しく離反したものと思うがどうか。
七 空港公団が当該パイプラインについて、千葉市民に配布したチラシ(昭和四十六年九月付)三枚の一枚目は、「タンクローリーよりパイプラインは安全だ」という主旨のものであるが、これに対して友納千葉県知事は当時の県議会で、「このような表現は適切でなく、とくにパイプラインが認められないとタンクローリーで運ばなきやならないという個所は、読みようによつては非常におどかし的である。」と答弁している。また第六十八回国会での石油パイプライン事業法案審議の際、田中国務大臣(当時)は、「タンクローリーよりは安全ということでは問題にならない」旨の言明をされている。
 1 とするならば、空港公団が発行したチラシは政府並びに地方自治体の方針に従わないものであつたことになるが、政府は当時このような指導をしていたのか。
 2 また前記チラシの一枚には「世界でも初めての自記式地震計を設け、……」なる太字の記述があるが、現代において自記式でない地震計をさがすのは困難と思われる。これは無知な住民を欺くものと思われるがどうか。この地震計の実体を説明されたい。
 3 このチラシはいまだに訂正されていないが、その理由を説明されたい。

 右質問する。



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