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昭和四十九年三月二十八日提出
質問第一七号

 学校事故に対する国家賠償法の適用等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年三月二十八日

提出者  安里積千代

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




学校事故に対する国家賠償法の適用等に関する質問主意書


 近時、公立の小、中学校等において、授業中又は休み時間中あるいはクラブ活動中等における児童、生徒にかかる人身事故が増加してきている。ついては、次の諸点につき、政府の見解を承りたい。

一 これらの学校事故は、通常、教師の注意義務の怠慢あるいは教育施設の瑕疵に起因して発生しているものが多いのであるが、政府はこれらの学校事故を防止するために、いかなる対策を講じているか。
二 教師の注意義務の怠慢あるいは教育施設の瑕疵に起因して発生したこれらの学校事故については、国家賠償法が適用され、次のように国又は地方公共団体が損害賠償責任を負うことになるものと考えるがどうか。
 1 市町村は、その区域内にある学齢児童、生徒を就学させるのに必要な小、中学校を設置する義務を負い(学校教育法第二十九条、第四十条、第八十七条)、かつ、これらを設置、管理することは市町村の固有事務に属する(地方自治法第二条第三項第五号、第八項、同法別表第二の二の二十七)のみならず、市町村が設置した学校の教員はその市町村の公務員であり(教育公務員特例法第三条)、これに対する人事行政権も本来市町村教育委員会に属するものであるという点から見れば、市町村立小、中学校教育は市町村の事務であり、また、市町村立小、中学校の教員の使用者も市町村であると解するのが相当であり、従つて、市町村は国家賠償法第一条(公権力の行使に基く損害の賠償責任)又は第二条(公の営造物の設置管理の瑕疵に基く損害の賠償責任)に基づく損害賠償責任を負わなければならない。
 2 市町村立小、中学校の教職員の給与は、都道府県がこれを負担し(市町村立学校職員給与負担法)、都道府県が給与を負担する教職員(いわゆる県費負担教職員)の人事行政権は、大幅に都道府県教育委員会に機関委任され、殊に、任命その他の進退を行う権限が都道府県教育委員会に属している(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十七条第一項)こと等の点から見ると、都道府県も国家賠償法第一条に基づく損害賠償責任を負わなければならない。
   また、仮に国家賠償法第一条に基づく損害賠償責任を負わないものとしても、同法第三条(費用負担者の損害賠償責任)に基づく損害賠償責任を免れることはできない。
 3 国は、義務教育費国庫負担法、義務教育諸学校施設費国庫負担法等に基づき、市町村立小、中学校の教職員給与費及び施設費の一部を負担していること等の点から見て、国も国家賠償法第三条に基づく損害賠償責任を免れることができないのではないか。
   なお、学校事故が児童、生徒の行為によつて起こつた場合(例えば割りばしを矢にしたものが過つて他の児童、生徒の眼にあたり失明させたような場合)には、民法の規定により法定の監督義務者である父母も親権者としての責任を免れることができないのではないか。
三 以上のように、学校事故については賠償責任者が競合することが考えられるが、その最終賠償責任者は、市町村、都道府県、国又は親権者のいずれとみるのが相当と考えるか。また、この場合において、市町村が損害を賠償したときは、少なくとも都道府県並びに国に対してその全額又は相当額につき求償権を行使できるものと考えるがどうか。

 右質問する。





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