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昭和四十九年四月九日提出
質問第二一号

 成田空港周辺地域の航空機騒音に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年四月九日

提出者  金瀬俊雄

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




成田空港周辺地域の航空機騒音に関する再質問主意書


 過日、成田空港周辺地域の航空機騒音の質問に対し、答弁書の送付を受けた。これらの回答には、提起した質問に対して不明確、不十分な対応がなされている部分があり、また、質問自体が正確に理解されているとは思えない部分も見られるので、前回と同様の主旨のもとに質問をより具体化し、再度提起したい。誠実、正確、簡潔なる政府見解を求める次第である。

一 運輸省と千葉県知事との間の了解事項とされる飛行コース(直進上昇、直進降下)に関する答弁について
 (1) A滑走路を北向きに離陸した航空機が太平洋方面に飛行する場合、銚子VORTACを目指すのであるとするならば、直進上昇して利根川を横断した後右旋回して再度利根川を横断し、千葉県上空を飛行せざるをえないが、かかる場合離陸飛行であるとしてその飛行高度が六千フィート以下である場合もあり得るとしてよいか。
 (2) 同じく北向きにA滑走路を離陸した航空機が、旋回して九十九里方面へ出発した場合も、六千フィート以下の高度で再度千葉県上空を飛行する場合があり得るとしてよいか。
 (3) A、B、C三本の滑走路が供用可能となつた時点では、かかる直進上昇、直進降下による離着陸飛行方式がご破算になる場合があり得るとしてよいか。
 (4) 「夏、風のない暑い日、成田空港A滑走路を北向きに離陸したモスクワ又はサンフランシスコ直行の乗客、貨物満載のB747型機は、直進上昇した場合、高度二千メートルに達するまでにどれだけの距離を飛行するか。これは利根川を横切つてどの地点の上空にまで進むことになるのか。」との質問に対して、「御質問のような状況の場合の飛行方式については、検討中である。」という回答を得た。質問は飛行方式の検討の前提となる基本的な運航性能を具体的な状況を設定して問いただしているのである。かかる質問に再度誠実に答えられたい。
     それとも、担当官はかかる運航性能を前提とすることなく、飛行方式の検討に当たつているのか。
二 新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)が、昭和四十七年四月に発表した予測騒音コンター図に関する答弁について
 (1) 防音堤及び防音林が場外に対して、一〇WECPNLの減音効果があると主張するが、これはいかなる科学的な根拠に基づくのか。批判に耐え得る客観的な事実をもつて明らかにされたい。
 (2) 防音及び防音林のかかる減音効果について同意を与える学識経験者があれば、その名を明らかにされたい。
 (3) 滑走路末端におけるコンターと防音堤を曲線で結ぶことによつてコンター図を作成したと主張されるが、かかる曲線で結ぶということの科学的根拠は何か。安易に、機械的に処置したのか。
 (4) 「航空機の離陸滑走及び飛行状況等と防音堤及び防音林の関係については、更に詳細に検討することを考えている。」との回答を得たが、何ゆえかかる検討をすることなく、予測騒音コンター図なるものを作りあげ発表したのか。
 (5) 昭和四十七年四月に予測騒音コンター図が発表されて以来はや二年を経ているが、空港公団の航空機騒音の担当官は、防音堤及び防音林の状況の中での検討を怠つた理由は何か。また、責任の所在はどこにあるのか。
 (6) 「公団において作成したコンターは、空港の風向から考えて航空機の離発着が南側・北側とほぼ同数にあるため、コンターの作成に当たつて離発着それぞれの場合におけるコンターのうち大きい方のコンターを採用して合成している。」という回答を得たが、大きな方のコンターを採用して合成しているとして、代数和ではなく、いわば論理和を用いている理由を明らかにされたい。
 (7) 「逆推力が発表されたコンターの大きさに影響を与えることはない。」と主張するのであるから、着陸だけを考慮したコンター図を図示されたい。
 (8) 着陸だけの騒音コンターの作成に当たつて、逆推力の効果を考慮に入れているか。入れていないとするならば、その理由は何か。
 (9) 「なお詳細に検討し必要があればコンターを修正する。」と答弁されているが、かかる検討はどこの機関で行われるのか。また、なぜ今まで行われなかつたのか。
 (10) 空港公団の発表になる予測騒音コンター図について、東京大学宇宙航空研究所の五十嵐寿一教授から「妥当」なる評価が得られているのか。又は、得られる見込みはあるのか。
三 「工事の進捗状況との関連において、環境基準を達成するために必要な騒音対策を講じていく考えである。」と答弁されているが、騒音対策というものが、あくまでも二次的な、あるいは従属的なものとして空港計画では考えられているのか。
四 「環境基準に示された騒音測定方法により同一の騒音基準で区域の指定を行う考えである。」と答弁されている。
 (1) かかる区域指定は、空港公団による予測騒音コンター図による区域指定とは独立に行うのか。
 (2) 年間の使用ひん度が少ない場合でも、騒音コンターの算出は、一月に離着陸する航空機の数を年間平均の値を用いて行うのか。行うとするならば、その科学的根拠は何か。
五 民家防音工事に対する答弁について
今後国によつて行われる民家の防音工事は、今まで千葉県が行つていた民家の防音工事を経済的にかたがわりするだけなのか。それとも、政府自らがその欠陥を指摘した民家の防音の千葉県方式が中止となり、あるいは変更されるのならば、その内容を具体的に明らかにされたい。
六 民家の防音の居住性に関係する答弁について
 (1) 「昭和四十七年度から所要資金を投じ……」と答弁されているが、民家の防音の居住性の問題解決のために投じられた調査研究費について、昭和四十七年度及び昭和四十八年度の予測決算を明らかにされたい。
 (2) 航空公害防止協会に公正な、かつ、科学的な調査研究能力があるとする根拠を明らかにされたい。
 (3) 社会的な紛争が前提となつているかかる調査研究については、その第三者的な性格が絶対的に要求されると思うが、そうでなくともよいとするならば、その理由を明らかにされたい。
 (4) 何ゆえ、千葉県の行う民家の防音工事について、居住性に問題があるのか。その科学的根拠を明らかにされたい。
 (5) 何ゆえ、居住性に問題がある防音工事を千葉県に行わせたのか。
 (6) かかる居住性の問題に本質的な解決策があると本気で考えているならば、その理由を明らかにされたい。
 (7) 居住性に問題があることは最初からわかつていたのか。それともいつごろわかつたのか。
 (8) 航空公害防止協会における居住性問題解決に対する調査研究は、いかなる形で行われているのか。期限、スタッフ、その他を明らかにされたい。
七 教育環境と防音校舎に対する答弁について
 (1) 「教育施設を防音工事することによつて、騒音による授業の中断等の障害は防止される。」との回答を得たが、このことにより教育環境の破壊がなぜ起こらないと言えるのか。
 (2) 教育環境の構成要件について個別的に明らかにされたい。
 (3) 「児童は良い環境の中で育てられる。」と児童憲章にうたわれているが、教育環境を防音校舎によりゆがめることは、かかる児童憲章に抵触しないか。抵触しないとするならば、その理由を明らかにされたい。
 (4) 「防音校舎の利用が直ちに教育環境の破壊をもたらすことにはならない。」ということは、結果的には教育環境の破壊があり得るということを否定していないとしてよいのか。
八 騒音対策と称して騒音地帯へ移転させることに対する答弁について
 (1) 野毛平地区の集団移転については、移転者との納得の上にこの移転計画を進めているとのことであるが、開港後、航空機騒音などのもたらす被害のひどさに耐えかねて、移転者住民が、例えば裁判等を通して行う請求権は放棄させられているのか。
 (2) 「新空港の位置決定以前から騒音対策について地元と協議を重ねており……」と答弁されているが、かかる協議が行われた日時、場所及び内容を明らかにされたい。
 (3) 新空港の位置が富里村地区から成田市三里塚地域に変更となつた日時、理由を明らかにされたい。
 (4) 千葉県知事が、新空港の位置変更に対して関係する住民に対し、航空機騒音公害のひどさを説明していたと国は理解しているのか。
 (5) (4)において理解しているとするならば、どのような形で住民への説明がなされたのか。
九 成田空港の運用時間制限に対する答弁について
 (1) 答弁では、橋本登美三郎運輸大臣と友納武人千葉県知事との間で交わされた了解事項には触れられていないが、かかる運用時間制限に関する了解事項は現在消滅しているとしてよいのか。
 (2) 千葉県知事との了解事項が現在なお継続しているとするならば、かかる運用時間制限をうけることは、新東京国際空港が重要な国際航空路線の用に供することができるものであるということに抵触しないのか。その理由は何か。
 (3) 国は、成田空港の運用時間が二十四時間であるとして、各種の騒音対策を講じているのか。あるいは、いかなる運用時間を前提として騒音対策を行つているのか。
十 銚子VORTACに関する答弁について
 (1) 銚子VORTACの使用目的が変更となつた理由として、「既存ルートに結びつける飛行コースについて高度及び通過地域等について諸制約が生じたため……」と答弁されているが、かかる諸制約の内容を具体的に明らかにされたい。
 (2) かかる制約が、改めて発生した原因は何か。
 (3) いつ、かかる制約の存在に気がついたか。

 右質問する。





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