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答弁本文情報

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昭和四十九年五月十七日受領
答弁第二一号
(質問の 二一)

  内閣衆質七二第二一号
    昭和四十九年五月十七日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員金瀬俊雄君提出成田空港周辺地域の航空機騒音に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金瀬俊雄君提出成田空港周辺地域の航空機騒音に関する再質問に対する答弁書



一について

(1)及び(2) 御質問のような状況下における飛行コースについては、基本的には六、〇〇〇フィートを確保するよう設定することとしている。

(3) 御質問に係る運輸省の千葉県に対する回答は、A滑走路に関するものである。
    なお、B及びC滑走路については、供用可能となつた時点で、航空機の性能・管制方式等を勘案して飛行コースを設定すべきものであると考えている。

(4) 飛行方式を検討する場合には、隣接の区域及びそこにおける飛行コースの構成との関係を前提とすることが不可欠であるので、二、〇〇〇メートルに達するまで直進上昇するという想定では成田空域での具体的な状況に適応できず、具体的な飛行コースは設定できない。
    航空機の上昇率は、機種・重量・風向・風速・大気温度・速度・旋回等によつて異なるので、B747・最大離陸重量・無風の想定の下でも、夏の暑い日の温度及び上昇方法の差異によりある高度に達する地点は異なつてくる。

二について

(1)及び(2) 新東京国際空港(以下「新空港」という。)の周辺に設置する防音堤及び防音林の効果については、昭和四十二年、新東京国際空港公団(以下「公団」という。)が日本音響学会及び日本林業技術協会に諮問した結果によつているものと承知している。

(3)及び(4) 公団としては、音源の高さの変化による防音堤及び防音林の減衰効果を考慮して曲線で表現したが、将来更にこれらの減衰効果と航空機の滑走距離・上昇パターン等との関係を検討していくことを考えている。

(5) 防音堤及び防音林については、場内の地上騒音を空港周辺に対し軽減するものであるので、更に前記の答申に基づき防音堤及び防音林の設置箇所・構造等についても検討し、予測騒音コンター図を縮小するよう努力しているところである。

(6) 新空港における航空機の発着数は年間南側、北側ともほぼ同数であると考えられるが、予測騒音コンター図の作成に当たつては、年間離陸便全便が南側からのみ離陸し、着陸便全便が北側のみから着陸する騒音コンター図を作成し、次に北側のみから離陸し、南側のみから着陸する騒音コンター図を作成して、両方を一枚の図面に示したものであると承知している。

(7)から(10)まで 逆推力の騒音は、飛行場内の地上騒音であり、離陸音と同様に考えて、これらの騒音の影響を場外にできるだけ与えないよう検討しており、防音堤及び防音林の設置やその他緩衝緑地帯を設けることにより減少させることも可能であるので、公団においてこれらを検討中である。

三について

 前回の回答は、空港計画において騒音対策が従属するということを意味するものではない。
 騒音対策については、十年以内に環境基準を達成することを前提として空港計画を考えている。

四について

(1) 公団が、C滑走路の予測騒音コンター図を作成し、公表したことはない。

(2) C滑走路の予測騒音コンター図についても、環境基準に示された騒音測定法により、同一の騒音基準で作成する考えである。

五について

 新空港に係る民家の防音工事については、今後公団において公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律第八条の二に基づく惜置をとることとしている。なお、その具体的内容については検討中である。

六について

(1) 御質問に係る調査・研究費は、次のとおりである。

  昭和四十七年度 一三、八〇〇千円
  昭和四十八年度 八、〇一一千円

(2) 財団法人航空公害防止協会は、航空機騒音による障害の軽減のための諸対策・諸研究に寄与し、周辺住民の生活環境の改善等の目的をもつて設立されたものである。

(3) 公正な調査研究が維持されるべきと考える。

(4)から(7)まで 民家の防音工事については、居住性の問題を含めできる限りその改善に努めることとしている。

(8) 防音住宅の実験工事を行い、必要に応じて専門家の助言を得て調査を行つている。

七について

(1)及び(4) 教育施設の防音工事は、騒音によつて生じた障害を除去し、良好な教育環境を保持するために行つているところである。

(2) 教室や屋内運動場等の区分に応じて温度・照度・換気・静かさ等が適切に保持されることが必要と考えられる。

(3) 防音校舎においても温度・照度・換気・静かさ等が適切に保持されるならば、教育環境が損なわれているとはいえない。

八について

(1) 野毛平地区の移転については、同地区の住民と十分に話し合い、納得のうえ地元住民の意志を第一としたもので、将来公団と移転者との間に問題が起こるとは考えられないと聞いている。

(2) 運輸省は、昭和四十年から昭和四十一年七月の新空港の位置決定まで、千葉県と騒音対策について協議を行つており、また、昭和四十一年六月には、運輸省より県・県議会・成田市・芝山町・地元住民に対し新空港の騒音地区の範囲等について説明を行つている。

(3) 新空港の候補地については、昭和三十八年八月運輸大臣は、航空審議会に「新東京国際空港の候補地及びその規模」について諮問を行い、同審議会は、航空管制・気象条件・工事上の問題・都心との連絡などの立地条件を検討した結果、同年十二月千葉県富里村付近が候補地として最も適当である旨を答申した。
    その後政府部内において更に検討が続けられたが、最終的には、(ア)国有財産である下総御料牧場及び県有地を最大限に活用すること、(イ)買収民有地をできるだけ小範囲にとどめること、(ウ)気象上の条件及び工事上の条件が整つていることなどの観点から、昭和四十一年七月四日の閣議で新空港の位置は、千葉県成田市三里塚町を中心とする地区とすることに決定された。
(4)及び(5) 航空機騒音についての千葉県知事の関係住民に対する説明内容は、了知していない。

九について

(1)及び(2) 昭和四十六年一月八日付けで友納千葉県知事から「新空港を利用する航空機の運用時間について、緊急の場合を除き二十三時から六時までの運航停止を厳守されたい。また、二十二時以降の運航便数を極力制限されたい。」という要望があり、橋本運輸大臣は、これに対し同年一月二十九日付けで「二十三時から六時までの間は航空機の運航ダイヤを認めないこととするが、航空機の運航に当たつて遅延等を生じた場合は、例外として処理することとしたい。また、二十二時以降の運航便数についても、東京国際空港の現行便数を上回らないように努力したい。」との回答を行つている。

(3) 公団は、新空港の騒音対策の前提として、東京国際空港と同等の早朝・夜間の発着規制を想定している。

十について

 諸制約の内容は以下のごときものである。

(イ) 新空港北側より着陸する航空機の御宿VORDMEから利根川までの間の飛行高度を六、〇〇〇フィート以上とすることを勘案して検討している過程で、御宿VORDMEは羽田空域用に使用した方がより効果的であるという結果がでてきたこと。

(ロ) 内陸における離着陸以外の飛行高度について六、〇〇〇フィート以上とするとともに、運輸省としては九十九里から利根川までの間の直進上昇・直進降下を基本とする出発進入コースについてもできるだけ十分な高度をとることとしていること。

(ハ) (イ)及び(ロ)により、新空港開港後の成田空域及び羽田空域についての当初構想を変更する必要が生じたこと。
    なお、このような制約が発生したのは、当初の構想がたてられてから以降である。

 右答弁する。




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