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昭和五十年十月二十七日提出質問第二号
会社更生法適用に伴い発生する社会的不公正の是正措置に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十年十月二十七日
提出者 渡辺武三
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
会社更生法適用に伴い発生する社会的不公正の是正措置に関する質問主意書
近時、企業の経営破たん対策として会社更生法が多用される傾向にあるが、更生会社をめぐつて次のような社会的不公正の事例が見られるので、これが是正措置に関し、政府の見解を承りたい。
したがつて、更生会社は、この競争上の有利な地位を利用して、製品の低価販売を行うことにより、同業他社の経営を著しく圧迫している事例が見られる。
会社更生法の目的は企業の維持更生を図ることにあるが、このような社会的不公正の発生を是認する趣旨のものとは考えられないので、低価販売が市場価格に比べ不当とならないよう、何らかの是正措置を講ずべきではないか。
二 更生会社の財産の価額は、一般に企業継続価値により評定されるが、例えば積極財産が消極財産より多いような場合、固定資産特に土地の値上がりに伴い、更生会社が更生後に焼け太りになるような事例が見られる。
このような社会的不公正は許すべきではないと考えられるので、土地の値上がりによる売却益については、これを被害を受けた旧債権者に対し出世払いができるよう、更生計画に記載させる等の是正措置を講ずべきではないか。
三 更生計画においては、更生担保権者及び更生債権者が更生会社の損失を分担してその権利を縮減されるため、これに応じて株主に対しても九〇パーセント以上の減資が行われるのが通例である。
したがつて、この減資によつて株価は低落するはずであるが、更生後の営業実績が割合といいということになれば、更生後の値上がり益を期待できるので、この株式が投機買いの一つの対象になることがある。そこで一部の者がこの株式を買い集めて、後日巨額の売却益を掌中に収めている事例が見られる。
このような社会的不公正は放置しがたいと考えられるので、例えばこのような株式の買取機関を設けて、その株式の売却益を被害を受けた旧債権者に対し出世払いができるよう、何らかの措置を講ずべきではないか。
右質問する。