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昭和五十一年五月四日提出
質問第七号

 次期対潜哨戒機PXL等の選定経過と関係省庁の係り合いに関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十一年五月四日

提出者  金瀬俊雄

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




次期対潜哨戒機PXL等の選定経過と関係省庁の係り合いに関する質問主意書


一 政府は、政治と軍事との係りについて、どのような認識に立つて、防衛力の整備を行つてき、行い、また行おうとしているのか。
 (1) 右認識について、また、かかる認識の内容に変遷があれば併せて明らかにされたい。
 (2) 右認識について、防衛庁と大蔵省との間に見解の相異があれば、また、あつたことがあれば、その相異点は何か。
二 PXL選定の最高方針について、三木首相は「いやしくも国民の疑惑を受けることなく慎重に決める」と総論風に国会答弁されているが、「国民の疑惑を受けることなく」とは、どういうことなのか。
 (1) 「慎重に決めた」はずの結論が、「国民の疑惑を受けていない」とは、具体的にはどのようなデータに基づいて判断するのか。
 (2) 「国民の疑惑を受けない」ためには、PXL選定の前提から結論に至るプロセスの一切を公表する必要があるのではないのか。結論に達したプロセスを秘密にしてなお「国民の疑惑を受けない」と強弁するなら、その理由は何か。
 (3) PXL選定の前提となる事項は何か。
三 PXL選定の前提となる防衛力及びその整備について、政府及び関係省庁の見解はどうか。
  この見解に歴史的な変遷があれば、併せて明確にされたい。
 (1) 「防衛力には、防衛兵器の自国内生産能力も含むのか」につき、(イ)防衛庁(ロ)大蔵省(ハ)経済企画庁の見解を、理由を附して明らかにされたい。
 (2) 「防衛力整備は、安い防衛経費で最大の防衛効果をあげるといつた防衛効率(防衛技術上の合理性)の追求の上にたつて決定されるのか」につき、(イ)防衛庁(ロ)大蔵省(ハ)経済企画庁の見解を、理由を附して明らかにされたい。
 (3) 空港整備五ケ年計画や港湾整備五ケ年計画などの場合、個別事項を積算した関係省庁による概算要求に対し、経済企画庁は、個別事項の是非には立入らず、五ケ年計画の総経費(大ワク)についてのみ査定(ドンブリ勘定)すると聞くが、防衛力整備五ケ年計画の決定の場合は、経済企画庁は、どのような係りをもつのか。
 (4) 防衛力整備五ケ年計画の決定については、大蔵省はどのような係りをもつのか。
 (5) 防衛力整備五ケ年計画の国民経済への影響については、どの省庁の所管事項となつているのか。
 (6) 防衛資源の防衛技術的な配置については、防衛庁だけが責任を負うにしても、防衛力の整備について、国民経済的な観点から決定される総防衛経費の策定以上に、個々の防衛資源の計画的な配置の決定に大蔵省や経済企画庁が関与するとすれば、大蔵省や経済企画庁には、防衛庁なみの防衛技術に関するスタッフが必要になるのではないか。右スタッフを欠いたままで、防衛力整備の査定が合理的に行えるとするのなら、その根拠は何か。
 (7) 軍用機の輸入が、金融政策上のドル減らしに有効性、速効性をもつのは、どのような場合か、例示されたい。
 (8) 米国やソ連邦の世界戦略と我が国の防衛力整備とはどのような関係にあるのか。
四 昭和三十六年から昭和五十年に至る年度末の手持外貨(ドル換算)の量を年度毎に明らかにされたい。そのうちドル貨は何%をそれぞれ占めるか。
五 航空自衛隊の高等練習機T2について
 (1) 研究開発に関する防衛庁の概算要求は国産化のためのものであつたのか。当初の概算要求の額はどれ程か。
 (2) 研究開発に着手したのは何時か。大蔵省により査定された当初予算はどれ程で、国産化を前提としたものであつたのか。
 (3) 右において国産化を前提としない研究開発に予算を支出するのであれば、何のための予算の消費か。
 (4) 試作機が完成し、初飛行したのは何時か。研究開発の着手からこの時までに投じられた経費は、年度毎にそれぞれどれ程か。またそれぞれの年度毎の防衛庁による概算要求はどれ程か。
 (5) 研究開発は、防衛力整備五ケ年計画の一環として行われたのか。それとも前提として行われたのか。その理由は何か。
 (6) 正式に採用が決定した時期及び理由は何か。決定者は誰か。
 (7) 研究開発に当たつては、実戦配備の必要性を何時頃と想定していたのか。その理由は何か。
 (8) 現実に実戦配備されたのは何時か。右の想定した時期との間にずれがあれば、そのずれができた理由は何か。また、そのずれをどのようにしてカバーしたのか。
 (9) 配備が完了する時期は何時と予定しているか。その理由は何か。
六 航空自衛隊の支援戦闘機FST2改について
 (1) 研究開発に関する防衛庁の概算要求は、国産化のためのものであつたのか。当初の概算要求の額はどれ程か。
 (2) 研究開発に着手したのは何時か。大蔵省より査定された当初予算は、どれ程で、国産化を前提としたものであつたのか。
 (3) 右において、国産化を前提としない研究開発に予算を支出するのであれば、何のための予算の消費か。
 (4) 試作機が完成し、初飛行したのは何時か。研究開発の着手からこの時までに投じられた年度毎の予算額及び決算額はどれ程か。また、それぞれの年度毎の概算要求はどれ程か。
 (5) 研究開発は、防衛力整備五ケ年計画の一環として行われたのか。それともその前提として行われたのか。その理由は何か。
 (6) 正式に採用が決定した時期及び理由は何か。決定者は誰か。
 (7) 研究開発に当たつては、実戦配備の必要性を何時頃と想定していたのか。その理由は何か。
 (8) 現実に実戦配備されたのは何時か。右の想定した時期との間にずれがあれば、そのずれができた理由は何か。また、そのずれを防衛技術上どのようにしてカバーしたのか。
 (9) 配備が完了する時期を何時と予定しているのか。その理由は何か。
 (10) 支援戦闘機の国産化が正式に決定する最後の段階で、大蔵省主計局が、財政政策上の見地から、米国ノースロップ社製のF5Eの輸入を防衛庁に迫つたとされているが、右大蔵省による機種選定は、いかなるプロセスにより行われたのか。
 (11) 大蔵省主計局による輸入化の方針を退けて防衛庁による国産化の方針が選択された防衛力整備上の合理的根拠は何か。
七 海上自衛隊の次期対潜哨戒機PXLに係る諸問題について
 (1) PXLの研究開発に関する防衛庁の当初の概算要求は、国産化のためのものであつたのか。当初の概算要求の時期及び額につき明らかにされたい。
 (2) 防衛庁はT2やFST2改と同じく何故PXLについても、当初国産化の方針をとつたのか。国産化による防衛力整備上の合理的な根拠は何であつたのか。
 (3) 防衛庁ではPXLの実戦配備の時期を何時と想定していたのか。
 (4) 右が、現用対潜哨戒機P2Jの「リタイヤ」の時期であるとするならば、P2Jの生産を継続させないで「リタイヤ」させることにした防衛力整備上の合理的な根拠は何か。もとより物理的な寿命による「リタイヤ」は、同型機の継続生産によりカバーできるはずである。
 (5) 防衛庁としてPXLの研究開発に着手したのは何時か。中止したのは何時か。中止した理由は何か。
 (6) 大蔵省主計局によりゼロ査定されるまで、防衛庁が行つた概算要求は、年度毎にそれぞれどれ程か。また概算要求の目的は何か。
 (7) 右において、防衛庁の概算要求に対しで大蔵省主計局が査定した予算額は、それぞれどれ程か。
 (8) 大蔵省主計局としては、右の予算は、そのまま防衛庁からメーカーへ流れているようであるが、国産化を前提としない研究開発予算であれば、それは何のための査定か。そして防衛力整備上どのような合理性があるのか。
 (9) 防衛庁としては、防衛力整備上何のために右予算をそのままメーカーに流したのか。
 (10) PXLの研究開発は、防衛力整備五ケ年計画の一環として行われたのか。それとも、その前提として行われたのか。その理由は何か。(イ)大蔵省主計局の見解(ロ)防衛庁の見解
 (11) PXLの研究開発予算の決定に経済企画庁や通産省はどのような関係をもつているのか。
 (12) 大蔵省主計局が、当初からPXLの国産化を認めていなかつたのであれば、それはいかなる理由によるか。また自力による防衛力整備との関係については、どのように考えていたのか。
 (13) 右において、大蔵省主計局は、国産化PXLの外国製対抗機種の存在を前提としていたのか。いかなる機種か。
 (14) 右において、大蔵省主計局は、防衛力整備計画上いかなる合理的根拠により機種選定を行つていたのか。
 (15) 右において、大蔵省主計局は、PXLの実戦配備の時期についてどのような認識をもつていたのか。
 (16) 大蔵省主計局は、PXLの国産化を拒否するに当たり、PXLの国産化で発生する問題について、どのような形で情報を得たのか。
 (17) 昭和四十七年十月八日に、大蔵省主計局は、PXLの国産化は認められないとの方針を防衛庁に示したとされているが、このとき、PXLとして米国ロッキード社製P3Cを既に想定していたのか。また、大蔵省主計局によるこのP3Cの選定は、防衛力整備計画上、いかなる合理的な根拠をもち得るものであつたのか。
 (18) 右において、適当な対潜機種の現存を確認しないまま、大蔵省主計局が、PXLの国産化を認めないとするのであれば、大蔵省主計局としては、そもそもPXLの必要性自体を認めなかつたことになるのではないのか。
 (19) 右において、PXLの必要性を認めないことに、大蔵省主計局としては防衛力整備計画上どのような合理性を見い出していたのか。
 (20) 昭和四十七年十月九日の国防会議議員懇談会において、PXLの国産化は白紙還元し、機種選定については、技術的専門的だから専門委をもうけて検討することが了解事項とされているが、何故、この段階に至つても、なおPXLの機種選定をすることが技術的専門的な事項でなければならなかつたのか。
 (21) 右において、防衛庁には機種選定について政治レベルでの決定に対応し得る程の情報の蓄積がなかつたということなのか。PXLの研究開発は何のためであつたのか。
 (22) 右においてかかる情報の蓄積がなくして、何故防衛庁では防衛力の整備計画が策定できるのか。
 (23) 防衛力の整備計画の実質的な策定は、大蔵省主計局が行うのであれば、その法制上の根拠は何か。

 右質問する。





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