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昭和五十一年五月二十一日提出質問第三三号
山岳遭難対策費に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十一年五月二十一日
提出者 小沢貞孝
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
山岳遭難対策費に関する質問主意書
最近、長野県警察本部と北アルプス南部地区遭難防止対策協会で、山岳遭難に関する白書ともいうべき小冊子「長野県の山岳遭難」と「二十年のあゆみ」が発行された。
これによる過去二十余年間の統計によると、地元出身の遭難者(死者、負傷者、無事救出者を含む)は九・七パーセントに過ぎず、大部分は県外者である。
しかるに、遭難対策、遭難救助対策費等は長野・岐阜・富山等地元三県の責任において賄われ、遭難者の救助費は受益者であるその関係家族が負担するとの原則で、直接関係者のみに犠牲を強いているのは、大きな矛盾と考えられる。
特に最近のように地方自治体が税収不足による財政のやりくりに苦心している時で、長野県の場合で約五千万円に近い金額を、これに充当することを余儀なくされている事実は地方財政上無視出来ない。
よつて、次の事項について質問する。
二 山岳遭難救助隊員の日当は、アルプス地区において夏期一万円、冬期二万円が原則と聞くが、これらも受益者負担となつている。しかしながら、出動しても空振りになることもあり、その際の費用ねん出に苦慮している。
更に、夏山の安全指導パトロール班の活動に伴う報酬についても、県の山岳遭難防止対策協会から支払われているが、前者を含めてこれら一切に対しても、国が応分の補助をすべきだと思われる。政府の考えを伺いたい。
三 夏山登山は一般化し、大勢の登山者が殺到するため、怪我人も多い。そして、これらの人々を治療する医療設備は一貫したものがないため、当該山荘経営者の自発的な場所等の提供と、医療関係者の善意ある協力、奉仕による治療活動のみに頼つているのが現況である。
これらに対しても地元の負担のみに頼らず、国は施設の設置又は補助金を出すなど、山岳医療体制の整備と確立を図るべきだと思うが、重ねて政府の見解を伺いたい。
右質問する。