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昭和五十一年十月三十日提出質問第一四号
ハウス五五計画に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十一年十月三十日
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
ハウス五五計画に関する質問主意書
今日の住宅問題を解決するためには、公共住宅の大量建設を住宅政策の重点におくべきであるが、同時に自らの持家を建設したいと希望する国民にたいし、住宅金融公庫融資の改善など、さまざまな国の援助を行うことが必要であると考える。
良質な持家建設の推進のためには、住宅建設を大企業の不当なもうけや投機行為の対象とさせてはならず、そのため住宅関連大企業にたいする民主的規制は不可欠であり、中小企業には適切な指導と助成措置を講ずる必要があると考える。
政府はいま、“ハウス五五計画”を進めている。この計画によれば、「良質で安価な住宅を供給する」ため、住宅生産に関し、より一層の高度工業化を行い、量産量販体制の確立を図り、住宅の設計から部材等の生産、輸送、施工、維持管理に至るまで一貫した総合的な住宅供給システムを開発するとされている。
しかし、今まで政府が推進してきたプレハブ住宅が欠陥も多く、価格も決して安くならず、建築業界の大手に高利潤を与えたが、国民には受け入れられなかつたように、“ハウス五五計画”もその轍を踏み、大企業の利益本位のものとされる恐れは十分にあると考える。
もとより住宅の生産技術の改善を図ることは極めて重要である。しかし、それは大企業の利益のためのものである限り、国民に良質、安価な住宅の供給は望めない。
“ハウス五五計画”の提案競技に応募したのはいずれも大企業群であり、また、大企業でなければこの計画に参加できないという実態は、“ハウス五五計画”の性格を明らかにしている。
一方在来工法は、長い伝統を持ち、日本の気候、風土に適合した住宅を建築する技法をととのえ、主として中小零細の建築業者によつて施行されながら、個別住宅建築の主流をなしている。
いま必要な住宅技術の開発は、大企業の利益を保障するためのものではなく、中小零細の建築業者の力を十分に発揮させながら、国民に、真に「良質で安価な住宅を供給する」ものでなくてはならないと考える。
よつて次の事項について質問いたしたい。
二 “ハウス五五計画”は、なによりも大工親方、職人、木材小売業者の事業分野に重大な打撃を与えると思うがどうか、この点より、“ハウス五五計画”による大企業の中小零細業者への圧迫の規制について、政府は対策を講ずべきと思うがどうか。
三 政府は在来工法に関し、技能者の育成と工法の発展のため建築の職業訓練所、零細親方の営業の改善及び安定のため一層の助成を行うべきと思うがどうか。
四 在来工法住宅建設のかげには、素材の提供サービスを行う木材小売商がいる。昭和四十七年の輸入木材を中心とした木材の暴騰の際、大工親方、木材小売商は問屋と建主の間にはさまれ大変な苦しみと損失を味わつた。安易な外材依存政策をやめ、また国内材の比重を高め、災害防止と国土保全のため林業育成の抜本的対策が必要と思うがどうか。
右質問する。