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昭和五十三年二月十八日提出
質問第一二号

 植物新品種の保護に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十三年二月十八日

提出者  川俣健二郎

          衆議院議長 保利 茂 殿




植物新品種の保護に関する質問主意書


 農林省は今国会に、新しい品種の植物を作りだした人に独占権を与える制度(以下この独占権を「育成者権」という。)を盛り込んだ農産種苗法改正案(以下「改正案」という。)を提出する予定と伝えられる。
 事は私権の創設に関することであるが故に極めて重要な問題であり、単に関係行政庁の合意だけでよしとされるものではなく、広く国民各層の意見を反映させることはもち論、当該権利の法的性格やその付与手続き及び競合制度、法(特許法、商標法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等)あるいは権利付与官庁の所管上の問題等について、一点の疑義をも残すことは絶対に許されないものと思料する。
 従つて、次の事項について政府の所見を質すものである。

1 農林省が現在立法準備中の育成者権は、独占権であり、知的所有権(無体財産権)のカテゴリーに属する権利の創設であると考えられる。このように解してよいか。
2 もし、右1の通りであるとすれば、現行特許法に基づく特許権と比較して権利の主体、客体、効力、権利発生に至る手続きに関する主要な異同について答弁されたい。
3 農産種苗法は、本来そ菜、果樹及び花きの種苗の取引秩序と品質保証の確保を目的とする法律と解され、植物新品種の育成者の創造権を保護するいわゆる知的所有権(無体財産権)に関する法律とは法的性格も適用領域も異なるものと考えられるが、それにもかかわらず育成者権の創設を農産種苗法の一部改正の形で行う理由を明らかにされたい。
4(1) 農林省は、植物新品種保護権の創設のための植物新品種保護法(案)(以下「旧法案」という。)の立法準備過程において、審議会等で検討を行つたか。もし行つたとすれば、その経過及び結果(例えば答申等)並びにこの結果と旧法案との主な相違点を明らかにされたい。
 (2) また、改正案の立法準備過程における審議会等の審議結果についても説明されたい。
5 農林省は、旧法案を改正案に変更したが、その経緯と理由を明らかにされたい。また、旧法案における新品種保護権と現在検討中の育成者権の主な異同を、権利の主体、客体、効力、権利発生に至る手続きに関して答弁されたい。
6(1) 改正案の目的は、一般農家を防衛する目的で自前の“植物特許制度”を発足させることにしたものであるか。
 (2) そうだとすれば、特許制度の適用がそのままの形では一般の農家の利益を侵害することに帰着するが、右侵害となる根拠・理由及びその根拠条文、さらにそれに代わるべき新制度の満たすべき主要な要件を、特許制度と対比して答弁されたい。
7 改正案は、当然「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(以下「独禁法」という。)、特にその第6章との関連が生じるものと考えられるが、その点についての検討結果を明らかにされたい。さらにこれに関連して、右旧法案の立法準備過程における独禁法との関連性に関する検討結果を答弁されたい。
8 工業所有権はその性格からみて、知的創作物の私権的保護の観点から対象業種の行政的所管をこえて横断的に特許庁において所管しているものと考えられる。
  しかるに、育成者権の創設は、このような原則を変更して植物の新品種を特許法の対象から除外するものであるが、現行特許法においてこのように特許を受けることができない発明とされている対象物のすべてについて、その所管官庁、右対象物を除外する政策的根拠並びに右対象物について特許法に代わる創作者の権利保護のための根拠法規があれば、それもすべて明らかにされたい。
9 関係省庁間の所管に関して
 (1) 国家行政組織法第二条は「国家行政組織は、内閣の統轄の下に、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関の全体によつて、系統的に構成されなければならない。」旨規定している。関係省庁が、改正案とその関連諸法についてどのような範囲の所掌事務と権限の配分を考慮しているか明らかにされたい。
 (2) 右(1)の配分をなすに当たつて考慮すべき関係省庁の所掌事務と権限の特殊性とその調整に適用される組織原理の基本点について政府の見解はいかがなものか。

 右質問する。





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