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昭和五十四年二月二十一日提出
質問第七号

 内閣の衆議院解散権に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年二月二十一日

提出者  飯田忠雄

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




内閣の衆議院解散権に関する再質問主意書


 右について、さきに提出した質問(質問第五号)に対する答弁書は、何ら憲法上の根拠を示さず、主観的見解に終始するものであり、また、質問が六項目に分けて政府の見解を問うものであるのに、これに一々正確に答えられておらず、要領を得ないものであるから、衆議院規則第百五十九条により再質問する。

一 内閣が国事権についての助言と承認の権限を有することが、その助言と承認の実質的根拠となる事項の実質的決定権を内閣に与えるものでないことは、憲法第三条と第六条との関連にみれば容易に認めうるところである。
  ところで衆議院の解散は、国民の直接選挙によつて選任された衆議院議員が総辞職し、衆議院を解散することに外ならないが、このような立法府の構成に関する問題について、内閣が実質的決定権を有するとするためには、憲法にその明文を有しなければならないことは、現行憲法の構造及び精神からいつて当然のことといわねばならない。
  されば、答弁書のごとく、内閣に衆議院の解散を決定する権限があるとするならば、それは、内閣が衆議院に対する解散命令権を有する主張に外ならないから、このような憲法上の重要事については、これを規定する憲法上の明文がなければならない。ところで内閣の職務について規定する憲法第七十三条には、衆議院の解散を決定する権限の記載はないから、答弁書の所論は、憲法上根拠のないものといわねばならない。よつて、この問題について憲法の明文を示して答弁されたい。
二 答弁書は、先例確立を主張するが、先例の主張は、それが合憲であることを条件とするものであることは、憲法第九十八条によつて明らかである。
  憲法第七条は、天皇の国事権の範囲とその行使方法を規定するものにすぎず、この規定から国政権の根拠を導き出すことは、実質的に憲法第四条に違反することとなるといわねばならない。また、内閣が国事権の助言・承認者であることから、直ちに衆議院解散権の保持者であるとすることは、憲法の明文を欠くもので法理論上憲法違反の疑いがあるのみならず、内閣の職務の範囲を規定した憲法第七十三条を逸脱するものである。よつて、答弁書のいうがごとく先例であるとしても、この先例は、憲法の規定を逸脱し、憲法の構造及び精神に反するものであるから、憲法第九十八条により効力を有しないものといわねばならない。この問題についての政府の合憲的な答弁を求める。
三 衆議院の解散は、従来、絶対多数党の政府の下において行われたものであるため、議決の形式を省略し解散の詔書に対し、多数の議員が万歳をもつて答えて、解散を承認したものと思われるものであるから、略式手続ではあるが実質的に議決があつたものと解し、法秩序の混乱を避けることが必要であると考えるが、政府の見解を問う。
四 なお、質問第五号をもつて質問した事項のうち、一、三、六の各項については答弁を得ていないので、項目を分かつて答弁されたい。

 右質問する。





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