質問本文情報
昭和五十四年五月十七日提出質問第三〇号
織物業界の再建対策に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十四年五月十七日
提出者 正木良明
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
織物業界の再建対策に関する質問主意書
長期構造不況の織物業界は活路開拓のため自主努力しているが、ドルショックに加え、円高影響等内外圧が厳しく、経営はますます悪化し、転廃業も余儀なくされ、昭和五十二年度から中小企業事業転換対策臨時措置法に基づく設備共同廃棄事業が実施されて、相当数の廃業者や転廃業希望者もいる。
ところが、それらの事業所の大半が、いわゆる都市計画法の市街化調整区域に位置しているため、転廃業後、事業所跡地を有効に活用することが難しく、しかも金融上担保としても評価されず、転廃業に係る換金性に極めて乏しい等の問題を抱えている。
とくに、中小零細業者の実態は非常に深刻であり、速やかに抜本的対策が講ぜられなければならない。
これらの問題について、私も地元関係業者代表とともに、さる一月九日には通産大臣に申入れを行い、更に二月五日には衆議院予算委員会総括質問で政府の対応策をただしてきたが、再度、政府の積極的な対応を促すため次の事項について質問するものである。
1 市街化調整区域内における事業転換措置を円滑に進めるため、都市計画法等に基づく開発行為並びに用途変更の制限緩和の特例措置を設けてはどうか。
2 近隣の既成市街地の人口増に対処するため、近い将来、市街地化することが適当と判断される地区については、市街化区域へ編入するよう促進してはどうか。
3 大都市の後背地に位置している区域では住宅・宅地需要も相当強いので、例えば賃貸住宅や分譲住宅の建設を一定の要件のもと(簡易下水処理設備の設置等)特例的に認めてはどうか。
4 将来の公共施設用地として国又は地方公共団体が、国土利用計画法に基づく遊休土地の買い取り制度を準用して買い取つてはどうか。
二 健康保険法並びに厚生年金保険法の適用拡大について
1 従業員五人未満の小零細業者の多い織物業界においては、健康保険法並びに厚生年金保険法の適用拡大措置を図るべきではないか。
2 労働保険事務組合制度と同様な事務組合制度を創設して小零細業者の人手不足に対処するとともに、定着化を図り従業員の福祉向上を促進すべきではないか。
三 雇用保険法に基づく雇用改善事業等各種給付金について
1 中高年齢者雇用開発給付金の支給要件は、現行では(イ)公共職業安定所の紹介により雇い入れた人、(ロ)雇用保険の受給資格者等で公共職業安定所に求人申込みをした人、と規定しているが、小零細業者は公共職業安定所に求人申込みをしておらず、事業主の自己採用がほとんどである。しかも現実には中高年齢者層に依存せざるを得ず、若年労働者不足を中高年齢者の採用でカバーしている。
従つてこの際、(イ)については公共職業安定所の紹介を原則とするも、その事業能力も公共職業安定所へ出向くことも事欠く小零細業者については、事後承認制として事業主の自己採用者も認めるべきではないか。
(ロ)については雇用保険の受給資格者を原則とするも、事業主自身の求人努力による採用者も含めるべきではないか。
2 雇用奨励金(高齢者・心身障害者等)の支給要件は現行では、(イ)公共職業安定所の紹介により雇い入れた人、(ロ)五十五歳以上六十五歳未満の人と規定しているが、(イ)については原則として公共職業安定所の紹介とするも、事業主の自己採用も事後承認で含めてはどうか。
(ロ)については、最低年齢を中高年齢者雇用開発給付金同様に四十五歳以上としてはどうか。
右質問する。