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昭和五十四年六月七日提出
質問第三四号

 エネルギー消費の増大に伴う廃熱のもたらす影響「熱汚染」に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年六月七日

提出者  竹内勝彦

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




エネルギー消費の増大に伴う廃熱のもたらす影響「熱汚染」に関する質問主意書


 近年、大都市におけるエネルギー消費時の廃熱の増大によるものとされている気象上及び環境上の変化について、気象学者等よりしばしば重大な警告が発せられております。それは「熱汚染」とか「廃熱汚染公害」などと呼ばれ、大都市の過剰なエネルギー消費に伴う廃熱の増大が都市に“灼熱パニック”やたつまき等の異常気象をもたらし、都市住民の健康と生活に重大な障害をもたらすということが警告されているのであります。
 気象学者等によれば、東京上空には既に周辺よりも温度の高い「ヒートアイランド」(熱の島)が形成されており、このままのペースでエネルギー消費が進めば、昭和六十年ごろには東京都区部の盛夏時の温度が周辺よりも十度前後も高くなり、ヒートアイランドの気流により都中央部の大気汚染物質が周辺の首都圏各地へばらまかれるであろうということが報告されているのであります。
 「熱汚染」に関して、公的機関として科学技術庁の資源調査会が既に昭和五十一年九月に「我が国におけるエネルギー消費と気象に関する調査報告」の中で、「大気汚染、熱汚染は、今後のエネルギー消費動向および地域の自然環境によつては、さらに深刻な問題となる可能性がある」と指摘しております。
 国際的には本年二月、ジュネーブで開かれた世界気候会議(WWC)で「エネルギー消費増大に伴う大気中の炭酸ガスの増加が現状のまま続けば、二十一世紀半ばには顕著な気候変化をもたらす可能性がある」として世界各国に、それを防ぐ対策をとることを要請しております。
 こうしたことから、我が国においても省エネルギーや廃熱利用が一層進められなければなりませんが、いまだ十分な成果を挙げておらず、熱汚染の激化は不可避の状況となつております。
 “最後の公害”とも呼ばれる「熱汚染」の防止を的確に推進するため以下の質問を致します。

一 「熱汚染」に対して政府はどのような見解をお持ちですか。また、どのような機関が、どのような調査研究を行つておりますか。さらに将来の計画はどのようになつておりますか。
二 次の事項について明らかにして下さい。
 1 東京・大阪・名古屋・京都地域の都市区部及び周辺部の盛夏時並びに年平均の温度の推移(過去十年間)について。
 2 1の四都市におけるエネルギー消費量及び廃熱量の推移(過去十年間)について。
 3 同じ四都市における炭酸ガス(CO)濃度の状況(過去十年間)について。
三 東京・大阪・名古屋・京都の各地域におけるヒートアイランドの形成状況はどのようになつていますか。また、今後の推移について。
四 「熱汚染」による諸影響について、現在判明している影響はどのようなものがありますか。また、今後予測される影響について。
五 資源調査会がさきの調査報告の中で、「エネルギー消費の増大を無批判に放置することは許されない。使用量に限界がある」と述べたことに対する政府の見解はいかがですか。また将来、大都市等におけるエネルギー使用量に上限を設けるようなことを考えておりますか。
六 「熱汚染」対策として政府が過去に採つてきた対策、また、現在推進している施策、さらに将来進めようとしている施策について説明して下さい。
七 「熱汚染」対策として廃熱利用が緊急の課題となつてきていますが、例えば、工場、ビル、ゴミ焼却場、発電所等の廃熱利用を具体的にどのように進めていますか。また、今後の計画について。さらに、省エネルギー効果をもつとされる「地域冷暖房」の実施状況と今後の計画について。
八 「熱汚染」はいわゆる廃熱によつてもたらされるものですが、大気汚染物質に排出規制があるように、「廃熱規制」があつてしかるべきであるという意見がありますが、この意見について。
九 冷資源でもある緑、水、土等の環境資源の稀少化、高層ビルの林立や道路舗装の拡大など都市構造の変化が、「熱汚染」をより一層激化させる要因として働いていると考えられますが、「熱汚染」に対処するための都市政策についてどのような見解をお持ちですか。
十 先のWCCの要請、また、本年六月に我が国で開かれる先進国首脳会議で「地球の温暖化」問題が取り上げられようとしているなど、これらの国際的動きに我が国はどのように対処していくお考えですか。

 右質問する。





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