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答弁本文情報

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昭和五十四年六月二十七日受領
答弁第三四号
(質問の 三四)

  内閣衆質八七第三四号
    昭和五十四年六月二十七日
内閣総理大臣 大平正芳

         衆議院議長 (注)尾弘吉 殿

衆議院議員竹内勝彦君提出エネルギー消費の増大に伴う廃熱のもたらす影響「熱汚染」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員竹内勝彦君提出エネルギー消費の増大に伴う廃熱のもたらす影響「熱汚染」に関する質問に対する答弁書



一について

 エネルギー消費による気象への影響に関しては、科学技術庁の特別研究促進調整費により昭和五十二年度から科学技術庁資源調査所及び運輸省気象研究所が共同して行つている調査研究等がある。
 この問題については、その実態等を十分見極めて行く必要があると考える。

二について

1 御質問の気温の推移は、別表のとおりである。
2 都市別のエネルギー消費量及び廃熱量については、その基となる統計がないためは握できない。
3 御質問の二酸化炭素濃度の測定結果に関する資料はない。

三について

 御指摘の地域の平均気温は、都市化の進んでいないその周辺地域の平均気温と比較するとやや上昇の傾向が見られることから、御指摘の地域については、いわゆるヒートアイランドという現象があるものと考えられる。
 なお、今後の推移については、その現象の成因等が複雑であるため、予測することは難しい。

四について

 「熱汚染」による影響については、一についてで答弁したとおり、エネルギー消費による気象への影響に関する調査研究を行つているが、いまだ十分に解明されてはいない。

五について

 資源調査会の調査報告は、最近におけるエネルギー消費の増大傾向にかんがみ、エネルギー消費が気象条件に与える影響についていくつかの仮定を置いてモデル的に検討したものであり、「熱汚染」に関しても、今後、更に調査研究を進める必要があるとしたものである。
 石油等資源・エネルギーの供給制約が増大しつつある今日、エネルギーを無制限に消費することが許されないのは当然であり、このため、エネルギーの効率的な利用を図ることが極めて重要である。
 しかしながら、エネルギー使用量の限界については、関連する要素が多く、今後、総合的な観点から検討すべき問題であると考える。

六について

 政府は、省エネルギー対策、都市の緑化対策等を進めているが、これらの対策は、都市における気温の上昇を防止する効果もあると考える。これらの対策については、今後とも推進してまいりたい。

七について

 工場等の廃熱利用に関しては、廃熱ボイラー、熱交換器等の廃熱回収設備の設置に対して金融、税制上の優遇措置を設けて、その促進を図つているところである。また、先に成立した「エネルギーの使用の合理化に関する法律」においても、エネルギーの使用の合理化のために工場等の事業者が、適確に実施しなければならない事項の一つとして廃熱の回収利用を掲げて、その一層の促進を図ることとされている。
 また、現在、「熱供給事業法」に基づき地域冷暖房事業が行われているのは二十九区域であり、需要態様別にみると住宅用十一区域、業務用十八区域、地域別にみると北海道地域十区域、その他地域十九区域となつており、そのうち三区域においてごみ焼却廃熱又は工場廃熱が利用されている。地域冷暖房は熱源の集中化により、エネルギー使用の合理化、大気汚染の防止、都市災害の防止等の効果があるので、今後ともその推進を図つてまいりたい。

八について

 「熱汚染」による障害が明らかでない現時点においては、当面、「廃熱規制」を実施する考えはない。

九について

 都市整備に当たつては、都市機能の円滑化、土地の高度利用、防災性の向上、居住環境の保全又は改善等を総合的に勘案し、良好な都市環境の形成を図つていく必要がある。
 「熱汚染」の実態、影響等はいまだ明らかでないので、当面は、公園の整備等による都市の緑化等を推進してまいりたい。

十について

 地球の温暖化の原因については、いまだ十分解明されていないが、先の世界気候会議(WCC)の要請にもかんがみ、我が国としても今後世界気象機関(WMO)等の場を通じ、この問題の国際的な調査研究に協力していく所存である。

 右答弁する。


別 表

別表:8月の平均気温、及び年平均気温




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