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昭和五十五年七月二十三日提出
質問第一号

 「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年七月二十三日

提出者  川本敏美

          衆議院議長 福田 一 殿




「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に関する質問主意書


 この法律は一つの地方公共団体の地域を限つて、その歴史的風土を保存するため、憲法第十三条及び憲法第二十九条により保障された国民のもつ基本的な諸権利に制限を加えようとするものであり、特に第一種歴史的風土保存地区については、きびしい規制の措置を含む前例のない新しいタイプの法律である。この法律の施行に当たり、第九十一回国会における審議の中でも明らかにされていない部分について解明してゆく必要があると考えるので次の事項について質問する。

一1 明日香村は律令国家発祥の地としての歴史的風土が今日まで良好に保存されて来た地域とされているが、保存の対象とされる「歴史的風土」とはいかなるものを指すか、具体的に列挙されたい。
 2 風俗、習慣等有形無形のものもこの地域ではよく伝承されていると考えるが、これらの保存なくして本法律制定の趣旨が達成できないのではないかと考えるが、政府は基本的にどのように対処しようとしているのか具体的に説明されたい。
二 明日香村における住民の生活基盤は主として農業であるが、その今後の対策について次の諸点をどう考えるか。
 1 農業者(農家)とは、この法律ではいかなる範囲の者と考えるか。
 2 農業経営の安定、向上と農業の経営改善等を図る施策の計画及び実施の責任はだれにあるのか。
 3 第一種歴史的風土保存地区の農業については、すべて現行の国の施策から除外される農業振興地域外の区域となり、新農業構造改善事業等の農業投資もこの地区では全く該当しないと思料されるが、明日香村のような零細な経営規模で基盤整備事業を伴わない農業経営については、特別の措置が必要と考えるがどうか、具体的に説明されたい。
 4 第一種地区の農家の農業経営を現状で凍結するとすれば、その農業所得は近隣の同規模の農家と比較して大きな所得差を生じるおそれがある。農家の生活安定を図るための方法はあるか。現在検討されている価格安定事業や後継者育成事業では十分でないと考えるので、その他の施策方法について説明されたい。
三 本法第三条により第一種保存地区内の土地買上げ価格は、不当に低いものであり、歴史的風土審議会の答申でも「昭和四十五年十二月十八日飛鳥地方に於ける歴史的風土及び文化財の保存等に関する方策について閣議決定が行われ、これにより所要の措置が講ぜられて来たため、大阪市域までわずか三十分余りという地理的条件により潜在的な開発のポテンシャルが高いにも拘らず周辺の市町村と比較して地価の著しい格差を生じている」と指摘しているところであるが、この土地買上げ価格の基準を、近傍市町村の市街化区域の地価に見合うよう改定し、引上げることが本法制定に係る歴風審の投げた課題の一つだと思料するが、政府はどう考えているか。
四1 本法第八条に係る明日香村の設置する「整備基金」の運用益の各大字管理組合等への配分の基準は規制基準に従い、第一種地区と第二種地区により傾斜配分、優先順位等どのように指導するのか、その行政指導の基本姿勢を説明されたい。
 2 この基金の運用による事業として村が行う「発掘調査事業」等も含まれているが、「埋蔵文化財の発掘調査」事業費はすべて国と県で負担することが本法立法の趣旨と考えるがどうか。また国及び県の事業として採択される「発掘調査事業」の基準はどうなつているのか。

 右質問する。





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