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答弁本文情報

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昭和五十五年八月五日受領
答弁第一号
(質問の 一)

  内閣衆質九二第一号
    昭和五十五年八月五日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員川本敏美君提出「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川本敏美君提出「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に関する質問に対する答弁書



一について

1 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法(以下「明日香村特別措置法」という。)に基づき、明日香村において保存の対象とされる「歴史的風土」とは、伝承飛鳥板蓋宮跡、伝承飛鳥浄御原宮跡、大官大寺跡、飛鳥寺跡、高松塚古墳、石舞台古墳、於美阿志神社、天武・持統天皇陵、大原の里、飛鳥川等の数多くの歴史的文化的遺産がその周囲の環境と一体をなして、明日香村における伝統と文化を具現し、及び形成している土地の状況である。

2 明日香村特別措置法が保存の対象とするのは、明日香村における歴史的風土であり、風俗、習慣等は直接の保存の対象とはされていないが、明日香村における歴史的風土の保存を図ることが、ひいては、風俗、習慣等の保存に資するものであると考える。

二について

1 明日香村特別措置法上、農業者(農家)の範囲について定めた規定はないが、農政上は、一般的に専業農家のみならず、第一種兼業農家及び第二種兼業農家をも対象として施策を進めており、明日香村特別措置法上も同様な範囲の農業者が施策の対象となると考えている。
  なお、農業センサスにおいては、経営耕地面積が五アール以上の農業を営む世帯又は一年間の農産物販売額が十万円以上の世帯を農家としてとらえている。

2 明日香村における歴史的風土の保存と民生の安定、向上を図るためには、農業振興が重要な役割を果たすことが期待されている。この場合、歴史的風土の保存と調和のとれた農業振興の在り方については、奈良県の指導、助言の下に、明日香村及び明日香村の住民が長期的視野からこれに取り組むことが基本的に重要であると考えている。その際、国としても、明日香村特別措置法の趣旨に従つて同法の特別助成の制度等を活用しつつ、明日香村における農業振興のための施策の推進に努める所存である。

3及び4 第一種歴史的風土保存地区においては、現に稲作を主とする農業が営まれており、明日香村において、地区の特性に応じた農業振興を進めるためには、同地区において稲作を含めた土地利用型農業の振興が重要な課題であると考えている。
  このため、奈良県及び明日香村と協議しつつ、稲作を含めた農業の生産性の向上、新しい作物の導入を中心として所要の農業施策を講じていく必要があると考えており、農業の担い手や後継者の育成、農産物価格の安定のための対策を含め、明日香村整備基金をも活用しつつ、営農条件の改善と農業所得の維持向上に努めてまいりたい。

三について

 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法に基づく土地の買入れは、同法第十一条及び同法施行令第九条の規定により、不動産鑑定士等の公正な鑑定評価を経た近傍類地の正常な取引価額等を考慮して算定した相当な価額により行われるものであるが、第一種歴史的風土保存地区内の土地の買入れ価額の算定に当たつては、近傍類地の選定は、第一種歴史的風土保存地区内にあることを要件とせず、近接市町村をも含めた最も当該土地に類似した近傍の土地としている。

四について

1 明日香村整備基金の運用益の各大字管理組合等への配分については、明日香村整備基金条例の定めるところにより、明日香村長が、明日香村の実情に十分配慮しつつ行うものである。国としては、基金の運用益の使途については、明日香村特別措置法第八条各号に規定する事業に当該運用益が適切に充てられるよう監督指導してまいりたい。

2 埋蔵文化財の発掘調査は、文化財保護法に基づいて行うこととなるが、同法第九十八条の二の規定により、地方公共団体は必要な埋蔵文化財の発掘を行うこととされており、一般的には県及び市町村が発掘調査事業を行い、同法第五十八条の規定により、国は特別な場合について発掘調査を行うこととされている。なお、国は、この外に、学術調査として行う場合がある。
  明日香村整備基金の運用益は、明日香村特別措置法第八条各号に規定する事業に必要な経費に充当することとされており、埋蔵文化財の発掘調査は、同条第一号に規定する歴史的風土の保存を図るために行われる事業であるから、明日香村がこれに当該運用益の一部を充てるものとしていることは、同法の規定に従つたものである。
  明日香村域における国、奈良県及び明日香村が行う遺跡の発掘調査については、明日香村特別措置法の成立に際しての衆議院及び参議院の建設委員会における附帯決議の趣旨に沿い、国、奈良県及び明日香村が話し合い、分担協力して進めることとしているが、その円滑な実施がされるよう配慮してまいりたい。

 右答弁する。




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