衆議院

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昭和五十五年十二月二十五日提出
質問第四号

 沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年十二月二十五日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 福田 一 殿




沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法に関する質問主意書


 第九十三回国会において私が提出した、沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律(以下「公用地暫定使用法」という。)及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下「米軍用地特措法」という。)についての質問主意書(以下「質問」という。)に対する昭和五十五年十二月五日付政府答弁書(以下「答弁書」という。)は、質問に何らまともに答えないばかりか、去る十一月十七日に、米軍用地特措法に基づく意見照会を行つた土地は、すべて現地に即して特定ができるとする政府の見解を何の論拠を挙げることもなく強弁し、公用地暫定使用法によつて強制使用している米軍、自衛隊用地を同法の期限切れ後も引き続き使用したいとする政府の願望の表明に終始するという極めて不当なものである。
 特に、答弁書の主張するように、米軍、自衛隊用地としての提供を所有者が明確に拒否し、返還を求めている土地を公用地暫定使用法の期限内には契約を結べるように努めると称し、当該土地を同法によつて使用することは、同法制定に際しての政府の言い分に即してすら、同法制定の目的を著しく逸脱するものであることを指摘せざるを得ない。
 更に、米軍用地特措法に関して言えば、政府がかつて繰り返し断言してきた、現地に即しての土地の特定ができないため手続が進められないという立場をよそに、沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法(以下「位置境界明確化法」という。)の手続が完了しないまま、「位置境界明確化作業を通じ、現地に即して特定できる状態になつている」(答弁書「二について」)などという恣意的概念を裏口から引き入れることによつて、同法の発動を強行したことは断じて許されるべきものではない。
 これらは、私の先の質問における「政府がいかに適法性をよそおうとも、米軍が問答無用で取り上げた土地を県民から奪いつづけることは、国民の権利擁護を厳正に規定した憲法体系に違反するものとならざるをえないもの」という指摘を事実をもつて裏付けるものであり、政府自らが、法の名を借りての脱法行為を行つているものであると断ぜざるを得ない。
 政府は、この不当な米軍用地特措法の手続を撤回するとともに、公用地暫定使用法の期限の終了を待たず、不当な土地使用を直ちに打切り土地所有者への返還手続に着手することを強く求め、以下の各項についての政府の見解を求めるものである。

一 答弁書に何ら言及のない以下の各項について、言及のなかつた理由及び政府の見解を明らかにされたい。
 1 米軍用地特措法に規定する意見書を作成する必要上、土地所有者から、土地の現況、米軍による土地の使用、管理の状況を明らかにした資料提出若しくは基地内への立入調査をしたい旨の要求があつた場合、政府はこれに全面的にこたえる責務があると思うが、政府はこの責任を果たす用意があるか。
 2 当該土地の接収にいたる経緯、米軍の基地使用のもたらしている県民への被害の実態、更には新規使用の合理性の解明など短時日に意見書を作成するには課題があまりにも山積している。
   土地所有者から回答提出期限の延期の申出があつた場合には当然これを受入れるべきであると考えるが、政府の見解を求める。
二 質問において、「公用地暫定使用法の期限切れ後新たに米軍用地特措法によつて私権制限を行うにたる合理的理由を具体的に明らかにした資料提出の要求」が土地所有者からなされた場合の対応をただしたのに対し、答弁書は「駐留軍用地特措法により使用しようとする土地に係る使用目的及び使用方法については、昭和五十五年十一月十七日の意見照会文書において説明しているところである。」(答弁書「三について」)とのみ述べている。
  これは、米軍用地特措法の発動の疎明は、意見照会文書によつてつきていると政府が考えていることを示すものか。
  或いは、別途疎明文書を土地所有者に提出する用意のあることを意味するものか。
三 防衛施設庁当局者は、国会答弁或いは土地所有者との折衝に際し、公用地暫定使用法を適用している自衛隊用地については土地収用法による強制使用は考えず、同法の期限切れ後は土地所有者に返還したいと明言しているにもかかわらず、この件に関する質問に答弁書での言及がなされていない。
  よつて、以下の質問に答えられたい。
 1 前国会の本院沖繩及び北方問題に関する特別委員会における、以下に引用する森山武防衛施設庁施設部長の答弁は当然のものと言えるが、政府としてこの答弁を再度確認されたい。
   「○森山(武)政府委員(略)それから第二点の自衛隊関係、これは那覇空港の近くに三基地ばかりありますが、防衛施設庁、それから防衛庁本庁、両方含めまして慎重に検討した結果、現在ある未契約地を、更地のところはそのまま返し、建物敷地になつているところはそれを移転することによつて対処したい、そのことによつて若干の不便は自衛隊側としては当然生ずるけれども、そういう対処の仕方でできるという結論を得ましたので、自衛隊用地につきましては、駐留軍用地特別措置法ではなくて土地収用法でございますが、こちらの適用はしないことにした、このような方針決定をしたわけでございます。」(沖繩及び北方問題に関する特別委員会議録第四号一三頁)
 2 当該土地の返還についての手順、段取りを明らかにされたい。
四 答弁書の二についてに関し、以下の点を明らかにされたい。
 1 昭和五十五年十一月十七日及び十二月十五日に意見照会を行つた土地のうち、当日現在に位置境界明確化法第十七条の手続を経た上、国土調査法第二十条第二項の規定による公簿、公図の変更を終了しているものはどれくらいあるか、米軍施設毎の件数、面積、所有者数を明らかにされたい。
 2 「現地に即して特定できる状態」とはどのようなことをいうのか明らかにされたい。
五 答弁書四から七までについてでは、「二についてにおいて述べているようにすべて特定できるものであり」と断定している。これについての以下の質問に答えられたい。
 1 この断定の根拠は何か。
 2 那覇防衛施設局長は、沖繩県の位置境界不明地域内にある一筆毎の土地の位置境界について判断し、決定する権限を保有しているのか。
 3 前項について、権限があるとすればその根拠は何か。
 4 前二項に関し、那覇防衛施設局長は位置境界の判断、決定ができるとする立場に政府が立つているとすれば、第八十回国会に我が党などが提出した地籍明確化法案に規定した、集団和解が最終的に成立しない場合には、一義的には、適正な補償を伴う行政裁定によつて位置境界を確定するとする条項に関連して示された、以下の答弁によつて代表される政府見解「御専門の先生にはくどいようでございますけれども、私どもの現在までの検討の結果で申し上げますと、御案内のように現在の土地の権利の確定、確認という行為が、いわゆる民事法体系上から申しまして、最終的にこれの紛争解決の手段はいわゆる民事訴訟によるところの訴訟体系に組み入れられているわけでございます。しからば、これを行政裁定という形でなし得るかということでございますけれども、われわれが政府及び関係方面と論議をいたしました現在までの結論では、現在の民事体系上行政裁定という一つの行政行為によつてこれを確定をするということには相当無理がある、問題がある、こういうふうな結論を持つておるわけでございます。」(昭和五十二年五月九日、衆議院内閣委員会における亀谷政府委員の答弁。第八十回国会衆議院内閣委員会議録第十四号二二頁)― に反するのではないかと考えるが、これに関する以下の質問に答えられたい。
  イ 那覇防衛施設局長が、いわゆる集団和解未成立の土地内の一筆地について現地に即しての土地の特定をするということは、事実上、土地所有者の合意による位置境界の確定への道を閉ざし、行政裁定によつて当該土地の位置境界の確定をすることになるが、政府の見解はどうか。
  ロ 前項に関し、政府が行政裁定による位置境界の確定を是とする場合は前記答弁と明らかに矛盾するが、これについての政府の見解を求める。
  ハ 政府が、那覇防衛施設局長による当該土地の特定は位置境界についての行政裁定ではないとするのであれば、逆に那覇防衛施設局長による当該土地の特定は根拠を欠いた不当行為であり、当該土地は現地に即して特定できる状態にないことを政府が自認しているという結論に帰着せざるを得ないが、これに関しての政府の見解を求める。
六 防衛施設庁関係者は、位置境界明確化法による作業の進展していない土地であつても、土地収用法の体系によれば現地に即しての土地の特定は可能であると称している。
  沖繩の位置境界不明地に関する政府当局者の、しかも、位置境界明確化作業の実施担当庁当局者のこのような不当極まる言辞は言語道断のものと言わねばならないが、念のため土地収用法に関して以下に政府の見解を求めたい。
 1 境界争いのある一筆地について、紛争が未解決のままで当該一筆地のみへの土地収用法の適用は可能か。
 2 前項に関し、可能とする場合、当該土地の土地調書は、誰が、どのようにして作成するのか明らかにされたい。
 3 前二項に関し、当該土地周辺の形質変更がはなはだしく、境界確認のための物証の収集が困難であるとき、旧状を示す航空写真、当該土地の周囲の土地所有者の証言を根拠にして作成された地図は、土地調書としての効力を有するか。
 4 前項に関し、効力を有するとする場合、その有効性を担保するものは何か。
 5 前記各項に示したような事情にある土地に土地収用法を適用した例があるか。
   あるとすれば、その件名、土地の所在地、裁決年月日をそれぞれ明らかにされたい。
七 前回の質問に対し、答弁書中言及のない次の事項について再度政府の見解を求める。
  「沖繩における米軍、自衛隊基地用地の取上げの根拠となつている公用地暫定使用法は、制定当時政府自身違憲立法であることを否定しきれず、憲法が適用されていない沖繩で憲法に基づく所要の措置を講ずるための手続の期間を限つて暫定的に土地使用の空白を生じさせないことを目的とするものであり、決して延長などは考えない旨をくり返し強調し、強行成立させた稀代の悪法である。
  ところが、一九七七年には、沖繩の米軍、自衛隊基地用地は土地の地籍が明確でないため一般法による強制使用の手続がとれないため、地籍を明確にし、一般法が適用できるようになるまでの間引きつづき公用地暫定使用法を延長したいといいだし、県民と国民の怒りによつて期限内成立を阻止され一旦消滅した権原でもふたたび生じせしめられるというこじつけを行つて五年の延長を行つたという前代未聞の悪法である。
  この悪法の延長など絶対に許されることではないと考えるが、政府として、同法制定後すでに九年を経た今日、同法の延長を根拠づける合理的理由をあげることができるか。できなければふたたび延長はしないと明言すべきであると考えるが政府の見解を求める。」

 右質問する。



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