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昭和五十六年一月二十四日提出
質問第六号

 日韓大陸棚開発の強力的推進に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十六年一月二十四日

提出者  横手文雄

          衆議院議長 福田 一 殿




日韓大陸棚開発の強力的推進に関する質問主意書


 日韓大陸棚開発協定は、昭和四十九年一月に調印され、五十三年六月に至つて漸く発効したものであるが、その後における開発の進捗状況を見るに、昨年に入つて日本側が一本、韓国側が一本、合計二本の試掘を行つただけであり、また、今年も韓国側が二本、日本側が一本、合計三本の試掘を行う方針を立てているだけと伝えられており、その開発ベースは遅々として進んでいない。
 これを北海油田の開発の例に見るに、イギリスは着工後十年間に四百数十本の試掘を行い、九十八本目にして初めて湧出したと言われている。また、現在の技術水準から言つて、百本掘つて二、三本石油が出てくれば成功であると言うのが、今日の石油開発の常識とされている。ところが、日韓大陸棚の開発では、一年がかりで二本とか三本しか掘らなかつたと言うことになり、かくては代替エネルギーの開発、省エネルギー、輸入石油供給源の確保などと並んでエネルギー政策の柱とされている国産原油の開発は、真に前途遼遠と言うよりほかない。
 折しも、我が国が石油の七〇%以上を依存している中東地域においては、イラン・イラク戦争が長期化しており、もし戦火がやまずホルムズ海峡が封鎖されるような事態になるならば、我が国経済は立ち所に頓挫し、国民生活はたちまち大混乱に陥るであろうことは明らかであり、このことは韓国においてもまた、同様と見るべきである。
 ついては、この際、次の諸点に関し、政府の責任ある見解を承りたい。

一 我が国は、石油の九九・八%を海外に依存し、しかもそのうち七〇%以上を政情極めて不安な中東地域に依存し、その上絶えずこれら産油国の恣意により供給の削減や価格の高騰に脅かされている。かくて我が国経済は、国際収支の赤字やインフレとデフレが共存するスタグフレーションの危機にさらされているのである。
  これを克服するためには万難を排し、まず石油の自給自足を最小限にしろ達成することが緊急不可欠の要件である。従つて、日韓大陸棚の開発は、最重要な国策事業であり、国は総力を結集してこれを推進すべきものと考えるがどうか。
二 昭和四十三年の十月から十一月にかけて行われたエカフェ(国連アジア経済委員会)の海底調査によると、日韓大陸棚は地質構造上中東油田に匹敵する有望な油田地帯と報告され、また、昨年の二本の試掘の結果でも、石油の存在する兆候が認められたとして、極めて有望視されている。
  従つて、今後は韓国政府と相図り、昨年における第五小区域に一本、第七小区域に一本と言つたような、慢々的な工事振りではなく、すべからく全区域にわたり同時並行的に試掘を行い、早急に油田を掘り当てるよう必要にして十分なる手段を講ずべきであると考えるがどうか。
三 日韓大陸棚の場合、日韓双方が使用している掘削船は、日本海洋掘削株式会社が所有している第三白竜丸一隻だけで、これを交互に使用しているのが現状である。これでは一年がかりで二本とか三本しか掘れないのは当り前であり、かくては国産原油の開発に対する政府の熱意を疑わざるを得ない。
  かかる現状を打開し、日韓大陸棚の開発を強力に推進するためには、日韓双方が専用の掘削船を少なくとも二隻位づつ保有すべきであり、このためには取り敢えず外国の掘削船をチャーターするとか、また、直ちに国内で掘削船の建造に着手するとか、即刻所要の対策を講ずべきであると考えるがどうか。
四 現在、日韓大陸棚の開発は、日本石油開発株式会社が自社のリスクでこれに当たつているが、これをバック・アップする国の体制が必ずしもできていない現状である。石油の試掘は一本掘るのに二十億円から三十億円も要し、また、掘削船一隻の建造費は最新式のもので約百五十億円もかかると言われるほど、巨額の資金を必要とし、これは一民間会社の資力をもつてしては到底その負担に堪え得るものではないと思量される。
  従つて、政府は石油公団の資金を極力これに投入できるよう措置するとともに、日本石油開発株式会社に対し石油公団からの資金の借入について、これを積極的に助言、指導すべきであると考えるがどうか。
五 日韓大陸棚協定の批准に当たつては、国際紛争の可能性のある地域に対する石油公団の援助はしないとの附帯決議があり、当時の通産大臣は、中国との間に領有権のトラブルがあるうちは石油公団の金を使うことに否定的な発言をしている。
  しかしながら、昨年十一月に行われた日中間の事務レベル協議で日韓大陸棚の問題が初めて取り上げられ、中国側は日本の困難な石油事情に理解を示し、日韓大陸棚の開発については敢えて異を唱えずこれを容認する態度を示したとされている。この点から見るときは、石油公団の資金を投入することは、これにより日中友好関係を損なうおそれはなく、何ら差支えないと考えるがどうか。
六 日韓大陸棚の開発を進めていくためには、漁業関係者との調整、海洋汚染等環境整備の問題を無視することはできない。
  昨年十二月に行われた日韓大陸棚共同委員会第三回年次会議でもこの問題が真剣に討議され、十分な対策が準備されたと聞くが、その対策というのはいつたいいかなる内容のものであるか。
七 日韓大陸棚の開発は、日韓両国の共同事業であるから、日韓両国間に意思疎通と協力精神が十分に確保されることが、この事業を成功させる大前提と言うべきである。
  この意味において、日韓大陸棚共同委員会の運営の積極化と円滑化を図るとともに、我が国としては、これを一民間会社だけに任せず、我が国の経済力、技術力等、それらを総合的に結集して、一日も早くこれを成功させるようその対策に万全を尽くすべきであり、また、一方、韓国に対しても例えば掘削船の建造費用について円借款を供与する等、能うる限り経済協力、技術協力を惜しむべきでないと考えるがどうか。

 右質問する。





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