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昭和五十七年八月十九日提出質問第二六号
失業対策事業の充実・改善に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十七年八月十九日
提出者 小沢和秋
衆議院議長 福田 一 殿
失業対策事業の充実・改善に関する質問主意書
現在、失対事業は全国の四十三都道府県を含む約六百余の自治体で実施され、約七万四千人が同事業に就労している。
各自治体では、小中学校のプール建設や道路舗装、用水路の建設・補修などをはじめ、街路や公園の清掃など多様な住民要求に根ざした事業を実施し、多くの自治体住民に喜ばれている。しかし一方、これらの事業に従事する就労者の処遇は極めて劣悪なものである。賃金は高い方の乙事業でさえ、一ヵ月九万四千八百円(二十二日就労)であり、甲事業では同じく七万七千四百円という低さである。
政府は、この十数年来一貫して失対打ち切りを進め、昨年は約一万八千人を「引退」という名目で、失対事業から追い出している。
加えて、伝えられるようなマイナス・シーリングにより、来年度予算が大幅に減額されることになれば、同事業の円滑な実施は重大な困難に直面し、就労者の就労日数の減少は、生活を破綻に導かざるを得ない。
このような事態は厳に避けねばならない。この立場から、今後の失対事業について以下のとおり質問する。
また、従来生活保護基準の引上げに見合つて賃金も引き上げられてきたが、今後もこの姿勢を堅持すべきだと思うが、どうか。
二 失対事業を地域の生活環境整備などに一層役立てようとする場合、各自治体がぶつかる最大の障害は資材費単価が低すぎることである。これまでも政府は、その改善に努力する旨繰り返し約束してきたが、素直に言つてほとんど変化がない。
今後、資材費単価をどうするのか、政府の方針を明らかにされたい。
三 マイナス・シーリングの方針で、失対関係予算について五〜一〇%の削減が伝えられているが、同事業を実施する自治体は財政上も大きな負担となり、事業の縮小を余儀なくされることにならざるを得ない。
政府は、就労者が就労日数減による賃金の減収、本人の意志や労働能力を無視した乙事業から甲事業への強制移転、引退の強要などが起こらないよう措置すべきだと思うが、どうか。
四 就労者が失対をやめ、民間雇用や自立をする場合、就職支度金が一人六万円支給されている。しかし、この金額は過去五年間にわたり据え置かれたままとなつている。制度の目的から言つても据置きは不当である。従つて、就職支度金は大幅に引き上げるべきだと思うが、どうか。
五 日本経済の危機の深刻化のなかで、失業者が増大し、高度成長時代につくられた失業対策では対応できなくなりつつある。
私は、かねてから公的就労事業の再確立を主張してきたし、この立場から、政府が今年度中にモデル的に新しい「特定地域開発就労事業」を開始すると答弁したことに注目している。今年度も前半を終わろうとしているが、新事業の準備はどうなつているのか。その実施地域・対象人員・事業内容など、その概要を明らかにされたい。
来年度の失業情勢は一層の悪化が必至である。その場合、この事業の規模は当然拡充すべきものと考えるが、どうか。
六 これに関連して、北海道など積雪寒冷地の冬期雇用対策としての、現行の雇用促進給付金制度は今年度限りとなつているが、昭和五十八年度以降の対策はどうするのか。具体的な方針、若しくは検討内容を明らかにされたい。
右質問する。