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昭和五十八年十月三日提出
質問第六号

 幼稚園の障害児受け入れに対する国の助成措置等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年十月三日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 福田 一 殿




幼稚園の障害児受け入れに対する国の助成措置等に関する質問主意書


 学齢前の障害児も幼稚園にと願う声が高まつている。
 昭和五十五年三月の文部省の調査では、全国に一万人を越える障害児が幼稚園に入園していることがわかつた。
 にもかかわらず、私立幼稚園の障害児受け入れに対する助成措置については、一つの園が八人以上の障害児を受け入れなければ補助対象とならない。つまり、八人を受け入れて始めて国は、障害児一人につき年間三十四万五千円(昭和五十七年度)を支給する。
 一方、保育園については、昭和四十九年から障害児を一人でも受け入れた園に対して、国は、措置費の外に「障害児保育補助金」という名称の助成措置を講じているのである。
 最近、父母や園関係者の努力によつて障害児を受け入れる幼稚園は増えてきているが、国の基準に満たないために補助金を受けられず、大変苦労している。このことが、障害児の受け入れを困難にしている要因の一つともなつている。
 東京都の場合、昭和五十六年の調査では、私立幼稚園は千六十三園あり、そのうち三百八十五園に八百六人の障害児が入園している。
 そして、昭和五十七年度に国が基準とする補助対象となつた私立幼稚園は、わずかに五園、七十九人である。
 神奈川県、静岡県、東京都(昭和五十八年度実施)、札幌市、練馬区、町田市、小平市などの地方自治体は、独自に八人未満の受け入れ園に対しても助成措置を講じざるを得なくなつている。
 この問題を解決するために、国は、早急に対策を講ずべきと考える。従つて、次の事項について質問する。

一 文部省の調査によると、全国の幼稚園の障害児受け入れ状況は、四千四百七十二園、一万五百十七人で、受け入れ幼稚園の一園当たり二・三人に達している。このうち私立幼稚園は、二千二百八十三園、六千二百十人となつている(昭和五十五年三月現在)。
  沖縄県については、日本共産党は去る九月二十六、二十七日の両日、私立幼稚園二十八を対象に調査したが、現在、七園、十二人の障害児を受け入れていることが判明した。
  これらの園は、いずれも八人未満で国の補助対象とはなつていない。
 1 文部省調査で、国の助成措置の対象となつた私立幼稚園の園数及び障害児数を、沖縄県を始め各県別に明らかにされたい。
 2 文部省は、障害児受け入れ状況調査を昭和五十五年以降実施していない。改めて現時点での実態を調査すべきと考えるが、どうか。
二 一九六一年七月十四日に採択された「ユネスコ国際公教育会議における各国の就学前教育に対する勧告」は、そのなかで障害児の教育についてもふれ、「就学前教育施設に出席することは、あらゆる身体、精神的欠陥をすみやかに見つけ出すことに役だつということ、そしてこのような身体的精神的欠陥はできるだけ早く見つけ出されれば、より早く治療し改善することができるし、また、ことに身体的障害のある子どもたちは、他の子どもたちとともに、生活することになるべく早く馴れさせたほうがひじように有益である」と指摘している。
  これは、極めて重要な示唆を与えたものと考える。
  障害児の就学前教育の施策については、教育権を保障するという基本理念を踏まえると同時に、この勧告の立場に立つて進めるべきと考えるが、どうか。
三 昭和五十七年三月二十六日の閣議で、政府は「障害者対策に関する長期計画」(以下「長期計画」という。)を了承したが、それには「軽い障害の子供を中心として心身障害児の幼稚園への受け入れのための条件整備に努める」としている。
  さらに、昭和五十七年十月、特殊教育研究調査協力者会議は、「心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の在り方」と題する報告を文部省に行つた。
  同報告書は幼児教育の重要性を強調し、「特に心身障害児にあつては、できる限り早期に障害を発見し、その障害に即した教育を行い、幼児の障害の状態を改善ないし克服し、望ましい成長発達を図ることが重視されてきている」と述べている。
  そして、「幼稚園における対応」としては、障害の比較的軽い者は、特別な配慮のもとに可能な限り幼稚園で受け入れ、一般の幼児とともに教育を受けることが適当であり、そのために教職員の量的充実を図る外、施設・設備を整える必要がある旨の指摘をしている。
 1 障害児が可能な限り幼稚園で、就学前教育を受けられるよう条件整備等、具体的にどのような措置を講じてきたのか、明らかにされたい。
 2 私立幼稚園については、先に指摘したとおり八人未満の障害児受け入れ園に対して、国の補助がないため園の運営に大きな負担がかかつている。
   また、このことが一方では障害児の受け入れを困難にしている。
   八人未満の受け入れ園に対する助成措置に関して、昭和五十七年四月二十一日の衆議院文教委員会で、当時の文部省の三角初等中等教育局長は「必要な検討を行つてまいりたい」と答えている。
   しかるに、いまだ実現するに至つていない。検討の結果は、いつたいどうなつたのか。
   政府は「長期計画」に基づき、当面の対策として少なくとも八人未満の受け入れ園に対して、八人以上と同様の助成措置を速やかに講ずべきと考えるが、どうか。
 3 現在、八人以上の障害児受け入れ園に支給している助成額については、必要十分なものに改善すべきと思うが、どうか。
四 地方自治体が運営する公立幼稚園についても、障害児を受け入れた場合、国は財政措置を講ずべきと考えるが、どうか。
五 国際障害者年のテーマとなつた障害者の社会への「完全参加と平等」とは、社会から全面的に障害者に対する偏見と差別意識を除去し、障害者が一般市民と同様に、社会の一員として種々分野で活動するとともに、生活を営むことができるようにすることである。
  この意味で、障害者(児)の教育を保障する、そのために国が特別の努力をするということは当然のことである。
  幼稚園のみならず、障害児施設における障害児の就学前教育全般について、現状をどのようにみているのか。
  そのために今後どのような施策を講ずるのか、政府の見解を伺いたい。

 右質問する。





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