衆議院

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昭和五十八年十一月八日提出
質問第二〇号

 高校生の急増急減対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年十一月八日

提出者  山原健二郎  栗田 (注)

          衆議院議長 福田 一 殿




高校生の急増急減対策に関する質問主意書


 高校への進学率が昭和四十九年度以来九〇%を超え、本年度になつて若干下がつたとはいえ、九四・一%という高い水準に達しているなど、高校教育は準義務教育となつている。このことは裏返せば、いまや、高校教育が名実ともに、小中学校教育と並んで国民的教養の基礎の完成という課題を担つているということである。
 それだけに、すべての希望する生徒への高校教育の保障は国民的課題であり、この課題に応えることは、国及び地方自治体の責務である。
 とりわけ、文部省資料によつても、今後、高校生は昭和六十四年度をピークに急増し、同年度には今年度より百一万九千人増加するといわれる。この増加数は、二十四学級規模(千八十人)の高校の約九百四十四校分に相当する。これは、昭和六十四年度までに必要とする高校新増設校数ともいえるものである。とくに高校生の急増傾向が著しいのは、首都圏など大都市圏である。
 こうしたことから、高校生の急増及びその後にくる急減対策の策定が急がれているのである。
 ところが政府を始め、地方自治体も、明確な高校生の急増急減対策を策定していない。そればかりか、国は、これまでの高校新増設補助(補助率三分の一)を昭和六十年度までの継続を認めているだけであつて、昭和六十四年度までの急増に対する特別の手だてさえとろうとしていない。
 都道府県での高校生急増対策があつたとしても、ほとんどが昭和六十年度までのもので、しかもその内容も、公立高校新増設の抑制と私学依存、高校のマンモス化(学級増)と詰め込み(学級定員増)を基調としたものとなつている。
 国と都道府県が、高校生の急増に対応した特別の高校整備計画や手だてを講じようとしていない背景には、高校生の急増現象を“臨時的なもの”、“一過性のもの”ととらえて、その時期の高校生への劣悪な教育条件のしわよせによつて、これを乗り切ろうとしているからにほかならない。
 こうした国や地方自治体の無策の結果、一体、何が起ころうとしているだろうか。
 それは、現在、幼稚園に通つている子供たちから、中学生になつているすべての子供たちに対し、高校入学の門戸を狭ばめ、過酷な受験競争を強いるとともに、今後、毎年数十万人から百万人近くの子供たちを高校進学の道から排除することになるのである。そのうえ、例え入学したとしても、一クラス五十人以上の「すし詰め教室」に押し込められ、およそ教師との心のふれあいなどとはほど遠いマンモス校で、学ばなければならないことになる。
 すべての子供たちに豊かな高校教育を保障することの重要性にかんがみ、以下質問する。

一 国は、すべての希望する子供たちに高校教育を保障する立場から、高校生急増に対応した特別の整備計画を策定すべきと思うが、どうか。もし、かかる計画の策定は必要なしとするなら、その根拠を示されたい。
二 急増に見合つた高校整備計画を実効たらしめるには、次のような措置が必要と思うが、それに対する国の見解とその根拠を示されたい。
 1 今後、増加する高校生を公立高校に収容することを前提にして計画を立案するとともに、私立高校へは経常費の二分の一補助を早期に達成すること
 2 公立高校新増設への国庫補助率を現行の三分の一から、児童生徒急増地域の小中学校新増設と同じように三分の二に引き上げること
 3 当面、昭和六十年度までの現行の高校建設費補助をピーク時の昭和六十四年度まで継続し、かつ、進学率、空定員、授業料で算定する現行の配分方式を廃止し、すべての新増設を補助対象とすること
三 いま、ゆきとどいた教育が叫ばれているにもかかわらず、各都道府県では、これに逆行する施策が進められようとしているのが実態である。
 1 各都道府県では、私立高校への過度の依存を強めていることから、いまや私立高校では、過大学級、すし詰め教室が恒常化しているばかりか、今後、一層劣悪化しようとしている。
   例えば、東京では、四十〜五十学級の私立高校がざらで、なかには百学級を超える超マンモス校も誕生している。また、学級定員も平均で五十名前後となつている。これでは、教師と生徒の心のふれあいができるはずがなく、青年前期としての高校教育の発展に逆行する。
   文部省は、こうした状況を正常なものと考えているのかどうか。もし、不正常であるとしたなら、それを打開するため、どのような措置を講じようとしているのか。
 2 公立高校でも同様の事態が進行している。それは、各都道府県が今後の高校生急増を、既設高校の学級増、学級定員増という便法で乗り切ろうとしているからである。
   こうした方向は、文部省の指導によるものといわれているが、それは事実か。事実でないとしたら、どういう指導を行つているのか。
   とくに、各都道府県が、高等学校設置基準や公立高校標準定数法に反して、独自に、一学級当たり生徒数の基準を四十八人とするなどしているが、文部省はこうした方向を容認しているのか。学級定員を四十五人を超えて“つめ込む”ことは、公立高校標準定数法の主旨に反しないのか。
 3 以上に見る、法の主旨に反するような不正常な状況をなくすため、改善通達を出すなど、行政措置を講ずべきと思うが、どうか。過大学級問題では、小中学校と同じように、三十学級を超えるものをつくらず、つくらせないための行財政措置が必要と思うが、その意思はないか。
四 各都道府県の公立高校建設促進の最大のネックは、高校生数がマイナスになり始める昭和六十四年度以降の国の施策がないことだといわれている。とくに、生徒減になつた場合の教職員の人件費に対して国が財政援助をしないということが、高校建設のブレーキになつてくると思われる。
  もし、生徒減に伴う教職員への財政援助が確立されるなら、高校建設は今後、生徒増に見合つて進めることができるし、昭和七十年頃には、高校での四十人学級も実現され得るともいわれている。
  そこで、昭和六十四年度以降の生徒減を高校教育拡充の“好機”ととらえ、それを促進する立場から、昭和六十四年度以降の生徒減に伴う教職員の人件費に対する国の財政援助制度を確立すべきと思うが、どうか。
  とくに、各都道府県が生徒減に即して、独自に、四十人学級を指向し、実施した場合、それへの財政援助を現行と同じように行つていくべきと思うが、その意思はないか。

 右質問する。



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