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昭和五十八年十一月九日提出
質問第二一号

 大和川下流流域下水道事業の促進に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年十一月九日

提出者  三谷秀治

          衆議院議長 福田 一 殿




大和川下流流域下水道事業の促進に関する質問主意書


 大阪府下十四市町村を処理区域(面積一万八千八百九十ヘクタール、区域内人口百二十万人)とする大和川下流流域下水道は、昭和五十七年の「全国一級河川の水質現況」で全国第二位の汚濁河川とされた大和川の水質改善に重大なかかわりを持つばかりか、区域内市町村の都市整備促進のためにも、その早期完成が関係市町村と住民から待ち望まれている。
 ところが、事業予算の削減や不明朗な用地買収に伴う新たな用地買収の難航により、同下水道事業は著しく遅延し、関係者から憂慮の声があがつている。
 この事業計画の早期完成を願う立場から、次の事項について質問する。

一 事業推進に対する建設省の基本姿勢について
 1 この事業には、昭和四十五年事業認可以来の十四年間に総事業費(国庫補助対象事業)六百三億円(うち国庫補助四百十億円)が投入されているが、計画の完成までに何ヵ年かける予定か、また、その総事業費は、何億円を見込んでいるのか、今後の見通しを明らかにされたい。
 2 いうまでもなく流域下水道は、その区域内市町村の公共下水道との整合を図りつつ推進する必要がある。
   しかし、大阪府は、最近その下水道幹線建設・供用開始の年次計画を明らかにしていない。
   また、大和川下流流域下水道の国庫補助対象事業費は、昭和五十五年百三億円、五十六年百六億円、五十七年六十七億円、五十八年(予算)六十五億円と年々低下している。
   そのために、市町村の担当者が、「流域下水道幹線に接続する公共下水道事業の計画がたてられない」と困惑する事態が生まれている。
   建設省は、このような事実を承知しているのか。また、流域下水道幹線の供用開始予定も明らかにできない大阪府の工事遅延の原因はどこにあると考えているのか。
 3 この流域下水道事業区域内では、金剛団地などごく一部を除いて公共下水道の整備されたところはなく、大都市圏のなかでは下水道普及率の極めて低い地域である。この地域の昭和五十七年度末の下水道普及率は七%で、全国の普及率三二%の四分の一にも達していない。大和川の水質改善のためにも、同流域下水道の供用開始の早期実現は、関係市町村と住民の切実な願いとなつている。
   建設省は、このような事情を配慮して、年次計画の停滞している大阪府に対し、その促進を図る具体的措置をとるべきだと思うが、その方針を明らかにされたい。
二 今池処理場の用地買収について
 1 今池処理場は、大和川下流流域下水道の終末処理施設であるが、現在、その用地買収が難航し、計画推進上重大な障害となつている。今池処理場予定地の未買収地は約十二ヘクタールあるが、この用地買収難航の原因は、これに先立つて、昭和五十八年三月に行われた中島養豚場(松原市天美西六丁目)一・八ヘクタールの用地買収に第三者である部落解放同盟大阪府連幹部が不当に介入し、買収価格のつり上げを図り、法外な価格で買収させたためと聞いている。
   この用地買収問題については、既に大阪府議会において、我が党の府議が再三交渉経過や契約内容を明らかにするよう質問している。
   これに対し、府当局は、大阪府同和対策審議会委員であり、かつ、部落解放同盟大阪府連合会副委員長、同松原支部長の山口公男氏が中島養豚場の代理人として府との交渉に当たつた事実は認めたものの、契約内容の公表については、@契約者との約束、A今後の用地買収への影響の二点を理由として拒んでいる。
   しかし、この二つの理由は、大阪府民の立場からみて、いずれも納得できるものではない。なぜならば、@については、契約者が民間人であるとはいえ、この用地買収には巨額の公費が支出されていること、また、同じ今池処理場内の他の養豚場買収については、過去に契約内容を公表していること(大阪府議会土木建築常任委員会 ― 昭和五十六年三月十七日)、Aについては、中島養豚場の不当に高い買収価格等は既に地元関係者に広く知られており、そのことが引き続く用地買収の最大の障害となつているのである。
   従つて、府当局が率直に事実を明らかにして必要な是正措置をとることこそが、今後の事業計画の促進に役立つものであると考える。
   建設省は、契約内容の公表と必要な是正を行うよう大阪府を指導すべきであるが、その方針を明らかにされたい。
 2 用地買収に関する営業補償の場合、通常、確定申告書など公的証明書の添付が義務付けられている。
   ところが、中島養豚場買収に関して、大阪養豚(株)、関西ファームの二社に対して支払われた営業補償については、大阪府は、「協力が得られなかつた」(府議会土木建築常任委員会での府土木部用地室長の答弁)として公的証明書無しで契約を行つている。
   このような契約形態が常に全国的に行われているものなのか。そうでないとしたら、なぜこうした契約がなされたと思うか、経緯を明らかにされたい。
   また、営業補償の対象となる両社の収益はそれぞれいくらであつたのか、建設省は把握しているのかどうか。把握している場合は、それぞれの収益を明らかにされたい。
   さらに、建設省は、公的証明書無しのズサンな用地買収を認めたのかどうか、認めたとすれば、その理由を明らかにされたい。
 3 我が党の調査では、中島養豚場関係の法人二社を含む五人に支払われた用地買収費の総額は約五十四億円で、内訳は土地十七億円余、物件費五億五千万円、営業補償三十一億円となつている。これは、坪当たり九十万円という法外な価格となる。
   この調査内容は事実と一致しているのかどうか。また、この買収価格について建設省は適正だつたと考えているのかどうか明らかにされたい。
 4 流域下水道の終末処理場用地に対する国庫補助率は三分の二であるが、当該用地買収費に対して支出された国庫補助金の額はいくらか。また、補助金の交付申請及び決定はいつ行われ、その執行はいつなされたのか。
 5 今池処理場の未買収地にはさらに別の養豚場も残つているが、そこは今後の交渉条件を有利にするためか最近豚舎の増築さえ行つている。このようななかで、府民とりわけ関係地域の市町村と住民は、中島養豚場買収問題の行方に強い関心をもつている。
   建設大臣は、疑惑のある諸点について厳正な調査で事実解明を行うとともに、現行関連法に照らして必要な是正措置をとるべきだと思うが、その用意があるのかどうか。

 右質問する。





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