衆議院

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昭和五十九年四月二十六日提出
質問第一三号

 栃木県塩谷町に建設中の産業廃棄物処理場に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年四月二十六日

提出者  経(注)幸夫

          衆議院議長 (注)永健司 殿




栃木県塩谷町に建設中の産業廃棄物処理場に関する質問主意書


 表記産業廃棄物処理場は、緑陽興産株式会社(宇都宮市今泉町四三一番地)が廃棄物の処理及び清掃に関する法律第十五条第一項の規定に基づき提出した産業廃棄物処理施設設置届が、昭和五十七年四月三十日付けで栃木県当局に受理されたことによつて建設されようとしている管理型処分場である。
 現在、この処分場建設を巡つて、水源地の汚染や水害など公害に不安を持つ地元住民と法的不備はないとして工事強行を図る緑陽興産(株)側が対立し、三月二十三日には、トラブルで負傷者が出るなど緊迫した状況が続いている。このままの状況を放置すれば、さらに新たなトラブルの発生も考えられる。
 よつて、住民本位の立場から問題の抜本的解決を進めるために、以下の質問を行うものである。

一 処分場設置の問題点について
 1 建設予定地の富沢は、地形的に山合いの沢地であり、下流には居住地と耕地が広がつており、生活用水、農業用水の源流となつている。同処分場は、構造的には、山腹を切土して、ぎよう灰岩の岩肌を露出させ、浸透性の強い割れ目はコンクリート、ミルクコーキングでふさぎ、表面にはゴムシート原料を吹き付けることとなつているが、これによつて、水の地下への浸透を完全に防くことが可能と考えているのか。また、その根拠は何か。
 2 処理方法としては、再生不能な産業廃棄物を投棄し、順次覆土するという埋戻し方式となつている。
   しかし、環境基準値内にあるとはいえ、有害物も含まれることになつている。蓄積された有害物が化学反応を起こし、流出水や地下水を汚染する可能性が指摘されている。船生地区では、過去にカドミ汚染米問題も起こつており、住民は強い不安を抱いている。厚生省は、このような危険性についてどのように考えているのか。また、それはいかなる根拠に基づくものか。
 3 建設予定地は、過去に異常出水による水害が起こつている。処分場をせきとめるえん堤工事の強度は、年間の平均降雨量を算定基準としており、関係者は、異常出水時に果たしてえん堤が耐えられるのかとの強い疑問を持つている。
   えん堤の強度は、どの程度の一時的雨量を想定しているのか、具体的に明らかにされたい。また、それは、いかなる調査に基づくものか。
二 処分場設置過程での問題点について
 1 県当局が緑陽興産(株)の処分場設置届を受理する以前、同社が出していた処分場計画は面積が二ヘクタールを超え、県の許可を要する「大規模林地開発」に相当し、「事前協議」が義務付けられていた。ところが、同社は、処分場の実態を変更しないにもかかわらず、三期工事に分割して、その一期分として申請し直したのである。これによつて、同処分場の設置は許可制から届出制の「受理」へと手続き要件が大幅に変更され、塩谷町当局や住民の反対意見が全く無視されたのである。同社の申請差し替えは、法の網の目をくくりぬけるための姑息な手段といわなければならないが、厚生省は、このような経過を承知しているのか。また、町当局や住民の反対を知りつつ、同社の申請差し替えを認め、受理した県当局の処理を正当だと考えているのか。
 2 県は、緑陽興産(株)の申請について、法的には不備はないとの態度をとつているが、申請「受理」の段階での処分場予定地内の国有地払下げは、「申請中」で届けられていた。その後、町当局は、用途廃止の手続きを取り下げたことによつて、現在も処分場予定地内に国有地が存在している。塩谷町当局は、現在、緑陽興産(株)を国有財産(不動産)侵奪罪で告発しているが、政府(建設省)は直ちに、国有財産の保全措置をとるべきだと考えるがどうか。
 3 現在、処分場設置に反対する運動は、富沢川関係流域区から船生地区(旧村)全体に広がり、町当局はもとより、町議会も全会一致で「反対決議」を行つており、処分場設置反対は全住民の意思である。
   このようななかで、県当局も、申請「受理」の撤回を表明するに至つたのである。ところが、緑陽興産(株)側の「行政不服審査」申立てに対し、厚生省が「撤回」はありえないとの「裁決書」(昭和五十八年九月)を出したため、今日の事態を招いたのであり、厚生省の責任は極めて重大である。厚生省は、裁決書で、法的効果のみを理由としているが、行政判断の最大の基準は、何よりも住民の利益でなければならない。厚生省は、町当局や住民の意見及び処分場設置を巡るこれまでの経緯にはいかなる考慮を行つたのか、明らかにされたい。
 4 この処分場設置に関する事務は、国(厚生省)の県に対する機関委任事務であるが、厚生省が裁決を出した以上、厚生省はこの問題の解決に責任を負う必要がある。
   厚生省は、県とともに現地に赴き、建設予定地を視察するとともに、町当局や関係住民の意見を聞くべきだと考えるがどうか。

 右質問する。



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