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昭和五十九年四月二十八日提出
質問第一六号

 児童扶養手当削減に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年四月二十八日

提出者  辻 一彦

          衆議院議長 (注)永健司 殿




児童扶養手当削減に関する質問主意書


 昭和三十四年国民年金制度が創設され、父親との死別母子世帯に母子福祉年金が支給されることになつたが、離別母子世帯はその対象とならなかつた。従つて死別と生別を問わず、母子世帯の社会的、経済的実態は同じであることから生別母子世帯について保障措置を講じないでおくことは公平に失するということから児童扶養手当制度が創設された。その後、所得制限、金額いづれも母子福祉年金に準じて毎年改善が図られてきた。
 また、昭和五十六年四月一日には、参議院予算委員会においても政府は、「未婚の母、父親が蒸発した者は幅広く対象として基本的な法律の目標に従つて今後も支給に当たつては運用を拡大していくのが当然であり皿と表明している。このような運用により児童扶養手当法は仕事と育児の一人二役を担つて苦労している母子世帯の生活を支え、子の扶養と高校就学にも大きな役割を果たしてきた。
 近年離婚の増加により、生別母子世帯がその半ば以上を占めるに至つたが、その背影には現代社会の構造的変化、一方的に忍従しない妻の自立を目指す生き方が反映していることを理解すべきである。離婚による母子世帯、未婚の母、父子世帯の増加は現代社会の新たな福祉の問題である。一部には批判される点もあるが、その多くは社会的な矛盾やそれぞれの事情によるものであり、原因はともあれ、福祉の対象となる弱者であることは間違いない。今や福祉はこのような社会構造変化に対応することが必要な時である。
 しかるに今回の政府改正案は、財政難を理由に弱者切捨てにつながるものであることはまことに遺憾である。
 以上の理由により政府に対し、以下七点について質問する。

一 母子世帯の所得が年百万円から二百万円が大部分を占める中で、所得制限を二段階に分け年収が百五十一万円以上の場合は一万円の切下げとしていることは母子家庭の実態に則したものとなつていない。改定すべきでないか。
二 手当額の引上げは従来母子福祉年金に連動して改正が行われてきたが、今回の政府予算では母子福祉年金より三百円安く格差が付けられている。今後手当額が、据え置かれる懸念はないか。
三 手当の支給期間は改正案では、義務教育終了までと切り下げられている。高校進学が九四・三パーセントとなり、義務教育化している中で、この切下げは高校就学を著しく困難にすると思うがどうか。
  政府説明では、児童扶養資金については無利子で貸与するというが、担保、保証人なしで無条件で貸与できるのか。
四 未婚の母については、扶養や保護を要する子の福祉を重視する立場から、婚姻をしているか否かを問わず、手当を支給すべきものと考えるがどうか。
五 改正案では、前夫の所得が政令で定めた額を超えた場合は支給しないとしているが、前夫がいかに資産家でも母子の面倒をみるとは限らない。社会保障制度審議会は、「民法上の扶養義務が十分に履行される手だてなしには、児童の福祉が確保されないことにもなりかねないので、この方面に対する検討を別に行われたい。」と答申しているが、どのような保障措置があるかを明らかにされたい。
六 費用負担については、地方自治体に負担を求める臨調答申に強い反発がある。政府説明では地方自治体の二割負担は、地方交付税の中で財政措置を講じているというが、これでは国の税金を使う点からは同じことである。地方自治体へのしわよせでないのなら、従来どおり国費全額負担でいくべきでないかと考えるがどうか。
七 以上の観点から本改正案を撤回する意思はないか。

 右質問する。





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