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昭和五十九年十二月二十一日提出
質問第一一号

 フッ素の安全性に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年十二月二十一日

提出者  松沢俊昭

          衆議院議長 (注)永健司 殿




フッ素の安全性に関する質問主意書


 政府は、歯科保健対策の推進という名目で、虫歯の根本的予防策として五歳児幼若永久歯へのフッ化物塗布の試行的実施が三十五万都市八ヵ所において千三百万円の予算で行うとしている。
 フッ化物塗布を含めてフッ素の虫歯予防への応用には、その安全性や効果に関し賛否両論があり、その取扱いには慎重を期さねばならない。
 従つて、次の事項について質問する。

一 安全性や効果について
 1 フッ素塗布事業の総責任は厚生省のどこにあり、更に実施に当たつての現場責任が保健所にあるのか、あるいは委託された歯科医師会又は歯科医師にあるのかを明確にされたい。
 2 フッ素塗布に際しては、強制あるいは任意であるのか。
   特に、フッ素塗布が保護者の意向を無視して子供に強制的に実施される危険性はないのか。
 3 任意で保護者の同意書を得て実施した場合、副作用等についての政府の責任を明確にされたい。
 4 副作用等のモニターシステムをどのように行い、かつモニターのための第三者機関を設置するつもりがあるか明らかにされたい。
 5 フッ素塗布の疫学的効果をみるための追跡調査をどのような方法で行うつもりか明らかにされたい。
 6 試行的実施であるので、今後の長期計画、今回の概要を明示すると同時にフッ素塗布対象者五千名の選定方法を明確にされたい。
 7 厚生省は虫歯の原因をどのように考えているのか。また虫歯予防にはフッ素が最適であると判断しているのか明確にされたい。
二 フッ素の水質基準等について
 1 我が国及び世界の主な国におけるフッ素の水質基準はどのように規定されているのか、示されたい。
 2 虫歯予防のためのフッ素応用は、フッ素の過剰摂取を防ぎ、なおかつフッ素による虫歯予防効果を期待するものであるが、次のような疑問がある。
  @ 日本人はフッ素の一日摂取量として何mgを許容量としているのか、年齢に応じた許容量を示されたい。
  A 現在日本人は何mgのフッ素を毎日摂取しているのか、年齢に応じた摂取量を示されたい。
  B フッ素応用によつて何mgのフッ素を摂取することになるのか、フッ素塗布、フッ素洗口、フッ素入り歯みがき剤からそれぞれ何mgのフッ素を余分に摂取するようになるのか示されたい。
  C 日常生活で摂取するフッ素量とフッ素応用によつての摂取量にはそれぞれ幅があるが、フッ素摂取量を合計して何mgまで安全な摂取量と考えられるのか示されたい。
  D フッ素化合物は無機フッ素化合物と有機フッ素化合物とに分けられるが、現在までの測定方法では主として無機フッ素化合物のみの測定しか行われず、その結果に基づく研究の成果としてフッ素の総摂取量等の推定も行われてきたと聞くが、有機フッ素化合物に関しどのように考えているのか示されたい。
 3 我が国では、水道水のフッ素濃度に関する水質基準について〇・八PPMと定められているが、
  @ 〇・八PPMの水質基準に決定された根拠となる研究、論文を明示されたい。
  A 〇・八PPMのフッ素濃度とは、フッ素の慢性中毒症状の一つである斑状歯が発症する濃度であるか否か、もし斑状歯が発症するとしたら何%の子供に出るのか示されたい。
  B 諸外国では、フッ素に関する研究の進展によつて水質基準を見直した例は有るのか無いのか、示されたい。
  C 国は〇・八PPMの水質基準を見直すつもりはないか。
 4 飲料水のフッ素濃度と地域住民の斑状歯保有者率(判定基準の明確なもの)との関係について、
  @ 我が国でそのような調査をまとめた報告がある場合、アメリカのディーンらの同様の報告と比較してどのような違いがあるか、示されたい。
  A 前記日米の比較が可能であつたとき、その違いの根拠は何であるか示されたい。
 5 京都市山科地区で京都大学美濃口教授の指導のもとに十一年間にわたつて水道水フッ素化をしたことがあつたが、
  @ フッ素濃度はどのくらいだつたか、九年目の口腔衛生学会の調査成績及び十一年目の美濃口教授の調査成績はどうであつたか、示されたい。
  A 以上の成績から見て、我が国の現行水質基準の健康に対する安全性についてどう考えるか、示されたい。
 6 最近、中華人民共和国広州市において、十八年間にわたる水道水フッ素化を健康被害の発生のために中止したことに関する論文が発表されているが、
  @ 水道水フッ素化の濃度はどのくらいであつたか、発生した健康被害は何であつたか、そのような事態の発生した原因は何であつたと考えられるか、示されたい。
  A 以上の事実から考えて、我が国の現状水質基準の健康に対する安全性についてどう考えるか、示されたい。
 7 我が国の水道水中のフッ素濃度について
  @ それは年間何回測定されているか、それはどのくらいの濃度がどのくらいの頻度で存在しているか、示されたい。
  A 各地域の住民は、その水道水のフッ素濃度についての測定データをどのようにすれば知ることができるか、示されたい。
 8 骨中のフッ素濃度は年齢とともに増加していくといわれるが、我が国でそれを調査したデータがあるか。特に飲料水中のフッ素濃度と関係付けて調査したものがあるか。あるならそれを示されたい。
三 虫歯予防に使用するフッ化物の法律上の取扱いについて
 1 米・国立労働安全衛生研究所編「化学物質毒性データ総覧」(一九七六)によれば、ラットにおける五〇%致死量は青酸ナトリウム六・四mg/kg(メルク・インデックスでは一五mg)であるのに対し、フッ化ナトリウムは一八〇mg/kgであり、フッ化ナトリウムの毒性はかなり強く、かつ最低致死量はヒト七五、マウス九七、イヌ及びウサギ一〇〇mg/kgとほとんど種差に関係せず、体重比で決まるとされている。
   一方、骨フッ素症の家畜の骨からフッ化クエン酸が検出されたという報告もあり、最近のフッ化ナトリウム投与ラットでの観察所見に、これと符合するかのように生命現象にとつて最も基本的なエネルギー生産をつかさどる肝臓のTCAサイクル(クエン酸サイクル)の阻害をうかがわせるものが見られる。
   以上の諸事実から考えるとき、フッ化物はいかなる目的といえども人体に適用してはならない毒物であるというべきであるという意見があるが、国のこれに対する見解と、その根拠を示されたい。
 2 フッ素塗布に当たつて、口腔内に残留し体内に取り込まれるフッ素の害作用(腎機能障害のある者での排泄障害など)の存在を考慮するとき、腎機能検査を含む全身の診察を行わないで歯科医師がフッ素塗布を行うことは、医師法第二十条に規定されている無診察治療等の禁止に該当するものと考えられるが、政府の見解はどうか、示されたい。
四 フッ化物の歯面塗布について
 1 昭和四十一年医発第五三七号の二厚生省医務局長名の「フッ化物歯面塗布実施要領について」なる通知について
  @ 当時、フッ化物塗布が有効と判断した根拠は何か、示されたい。
  A 当時、フッ素塗布を無効とする報告はなかつたか。あつたならそれらを示されたい。
  B 右記@、A両論があつた場合、特に@を採用した根拠は何か示されたい。
 2 前記「実施要領」において、一歳児、二歳児、三歳児に対する塗布の実施を規定していることについて
  @ 諸外国でこのような低年齢児に塗布を行つた報告が当時及び最近において見られているか否か、示されたい。
  A @において低年齢児塗布の報告が見られない場合、その理由は何であると考えるか、示されたい。
  B 六歳以下の児童に実施すべきではないという見解を表明している報告を示されたい。
 3 歯面塗布に用いられる薬液について
   その薬品名は何か、それは医薬品であるのか。取扱い上の区分(普通薬、劇薬、毒薬又はそれに相当するもの)はどれに相当するか、示されたい。
 4 昭和五十二年十月に開催された第二十六回日本口腔衛生学会のシンポジウム「広い視野からみたフッ素の諸問題」において、当時の厚生省医務局歯科衛生課能美課長は、これまでにフッ化物の塗布を受けた一〜十五歳未満の児童の数はおよそ四十四万人に達していると報告しているが、塗布の有効度及び塗布に伴う害作用についての調査を行つた成績があるか。また、前記時点以後の塗布状況及びその有効度並びに害作用についての調査結果があるなら示されたい。
 5 昭和四十六年一月以降、中央薬事審議会医薬品再評価特別部会において、昭和四十二年九月以前に承認された医薬品の再評価が行われているが、虫歯予防のためのフッ化物歯面塗布について行われているならその状況を、行われていないならその理由を明らかにされたい。
 6 何らかの形で経口摂取されたフッ化物の生体に及ぼす作用について
   次の諸点について検討したなら、その見解を示されたい。
  @ 腸壁において、重要な栄養成分の吸収に及ぼす影響について、特にカルシウムの吸収の影響について
  A 体内に吸収された後、生理的に重要な科学物質との結合について。特に、フッ化酢酸を生成して肝臓でエネルギー生成を行うTCAサイクルを阻害する可能性について(発育、成長の阻害として現れる)
  B 染色体に各種の障害を与える可能性について
  C 骨の発育に及ぼす影響について
  D 腎臓の排泄機能に及ぼす影響について
 7 フッ化物塗布の実施について
  @ フッ素塗布を実施する場合、口腔内に残存するフッ素量はどのくらいか、年齢別に示されたい。
  A 塗布後の血中フッ素濃度は時間的にどのような経過をたどるか、又はたどると推定されるか、示されたい。
  B 塗布前後の尿中フッ素及び尿中排泄量はどのように変動するか。それは年齢によつてどう変わるか、示されたい。
  C 腎機能の低下している児童とそうでない児童とで、塗布前後の尿中フッ素排泄量に差は見られないか、示されたい。
  D 塗布後、口内炎、歯肉炎などが訴えられることはないか。あるとすれば、それはフッ化物による刺激との関係はどうか、示されたい。
 8 フッ化物塗布の有効性について
  @ 二重目かくし(二重盲検)のもとでの対照試験によつてフッ素塗布の効果を検討した報告があるか。あるなら国内及び国外の調査結果を示されたい。
  A 前記の調査結果がある場合、フッ化物塗布の虫歯予防効果はどのくらいのものか、示されたい。
  B 厚生省は保健所等を通してこれまで数十万人の児童にフッ化物塗布を行つたというが、その有効性について追跡調査を行つたことがあるか。あるならその調査結果を示されたい。
  C フッ化物塗布の虫歯予防効果は、塗布後何年くらいの持続性を有するかについて検討されたデータがあるか。あるなら調査結果を示されたい。(年齢階層別人員数とともに示されたい。)
 9 フッ化物塗布の害作用について
  @ 塗布の反復によつて塗布性歯牙フッ素症が生ずる危険性について検討したことがあるか。あるなら、その結果を示されたい。
  A 乳歯期にフッ化物塗布を受けた児童の永久歯に、線状白斑その他の異常が見られないかどうかを検討したことがあるか。あるなら、その結果を示されたい。
  B フッ化物塗布を受けている児童の発育状態を、塗布を受けていない児童のそれと比較検討したことがあるか。あるなら、その結果を示されたい。
 10 フッ化物歯面塗布とフッ素入り歯みがき剤の使用を比較し、その有効性と害作用において、特にフッ素塗布が有効と考えられる点があるか。あるなら、その根拠を示されたい。
五 フッ素入り歯みがき剤の使用について
 1 フッ素入り歯みがき剤について
  @ 使用されているフッ化物の科学名及びその濃度はどのくらいか示されたい。
  A 一回の使用量中のフッ素の量はどのくらいか示されたい。
 2 フッ素入り歯みがき剤の害作用・有効性について
  @ 一回の使用において、歯みがき剤中のフッ素はどのくらい口腔内に残存するか。年齢別に検討した内外の報告があるなら示されたい。
  A フッ素入り歯みがき剤の使用に年齢制限や腎機能障害のある者あるいは妊娠中、授乳婦などについて使用制限を設けている国はあるか。あるなら、その国名と、その理由を示されたい。
  B フッ素入り歯みがき剤を使用した場合、使用した妊婦の胎児に及ぼす影響、使用した授乳婦の乳児に及ぼす影響、腎機能障害のある者における排泄障害について検討した報告があるなら、その結果を示されたい。
  C 我が国において前項のような者について使用制限を設ける考えはないのか見解を示されたい。
  D フッ素入り歯みがき剤の使用による虫歯の予防効果を、二重目かくし(二重盲検)法のもとでの対照試験によつて検討した報告はあるか。あるなら、その結果を示されたい。
  E 前記の報告がある場合、その虫歯予防効果はどの程度のものか示されたい。
  F フッ素入り歯みがき剤について、「フッ素配合」と標示することを義務付ける考えはないか。ないならその根拠を示されたい。
六 最近の虫歯保有率の動向について
 1 近年、我が国の三歳児検診において虫歯保有率の低下と重症度の軽減が見られていると報道されているが、右の事実を招来した原因は何であると考えられるか示されたい。
 2 静岡県新居町では、松本歯科大学の指導のもとに地域住民の口腔衛生知識向上に努め、十年間に学童の虫歯保有者率を二・五分の一に減少させたと報告されているが、
  @ この事実を知つているか。
  A 知つている場合、ここで有効であつた方法は主として何であつたと考えられるか示されたい。
 3 以上のほかに地域住民の虫歯保有者率の低下に成功した事例について調査したことがあるか。あるなら、その結果から特に有効と考えられるのはどのような方法であつたか示されたい。
 4 虫歯の発生には、砂糖の含有率の高いジュース類、プリン、菓子などの消費が関係しているといわれるが、これらの菓子、清涼飲料水等の氾濫について、厚生省はどのような対策を行つてきたか、示されたい。
 5 虫歯の発生予防には、食後の口腔清掃が重要であるといわれるが、この点について学校給食の献立及び食後の湯茶の提供などについてどのように配慮しているか、示されたい。
七 フッ化物による洗口及び新潟県における実施について
 1 新潟県教育委員会は、市町村教育委員会教育長にあてた「通知」において「フッ素洗口法は、……副作用等の安全性にも問題はない……」と、小学校、保育所等に周知、助成措置を受けられるよう指導を指示している。
   政府の「フッ素洗口」に対する見解並びに、新潟県教育委員会の「副作用等の安全性にも問題はない」とする判断に対する見解を示されたい。
 2 新潟県教育委員会教育長は、フッ素洗口に伴い作成する「歯の検査(管理)票」を、学校保健法施行規則第六条で定める「歯の検査票」として取り扱うことを通知している。
  @ 政府は、学校保健法施行規則第六条で定める「歯の検査票」以外の文書を、「歯の検査票」と同等に取り扱うことができるかどうか、政府の見解を示されたい。また、取り扱うことができるとするなら、その法的根拠を示されたい。
  A 学校保健法施行規則第六条で定める「歯の検査票」と同等に価値ある諸票として取り扱う場合(例えば、「歯の検査(管理)票」)の基準は何かを示されたい。
 3 新潟県教育委員会教育長は、「この事業(フッ素洗口事業)を実施する場合、学校においては保健管理の一環として位置づけ、学校長、学校歯科医、学校薬剤師、保護者等と十分協議連絡し理解を得た上で実施すること。」と、市町村教育委員会教育長あて通知の中で述べている。
  @ フッ素洗口が各学校において実施されるとき、「保健管理の一環として位置づける」ことのできる法律的根拠を、政府の見解に基づき示されたい。
  A 新潟県教育委員会教育長がフッ素洗口が「学校においては保健管理の一環」であるとするなら、ことさら保護者との十分な協議、連絡、理解を求めなければ実施することができないのか、政府の判断と見解を示されたい。
  B 新潟県教育委員会教育長が、フッ素洗口が「学校保健管理の一環」とするなら、フッ素洗口を拒否する児童・生徒保護者は、学校保健管理上の義務違反となり、何らかの法的制裁を免れないものと思われる。その時の法的根拠と制裁内容について政府の見解を示されたい。
 4 新潟県におけるフッ素洗口実施学校数は、昭和五十八年三月現在、三百二十七実施学校数、実施率一六%と報告されている。政府が把握するう蝕予防に係るフッ素利用の校種別学校数並びに人数を都道府県別に、また年度別実施状況を示されたい。
 5 新潟県衛生部公衆衛生課、同民生部青少年福祉課、同教育庁保健体育課連名の冊子「昭和五九年度フッ素洗口研究協議会報告書」を昭和五十九年七月に発行している。この公的文書の中で「III、特別講演抄録」として、新潟大学歯学部文部教官筒井昭仁氏の「フッ素洗口法の安全性について」を収録している。この抄録によれば、筒井昭仁氏はフッ素洗口について「学者間で、賛否両論あると聞くが……」という設問を立て、自ら答えて「学者間で賛否両論は、ありません。」と述べている。
  @ 政府は、公的文書において掲載されている筒井昭仁氏の「賛否両論がない」見解に同意されるかどうか示されたい。もし、同意されるとするならその根拠を示されたい。
  A 公的文書において発行責任主体が何らの評価も加えず前記主張を掲載することは、同主張に発行責任主体が同意していると通常受け取られる。この件に関しての政府の見解を示されたい。
 6 新潟県を始め、フッ素洗口を実施している施設に対して、また保護者に対して、フッ素洗口によるう蝕予防に賛否両論があることの情報を公平に提供されるべきと考える。
  @ 新潟県を始め、フッ素洗口を実施している施設並びに保護者に対して、いかなる情報が公平に提供・伝達されているか実態を明らかにされたい。
  A 政府は、フッ素洗口に関して、いかなる公平な情報(賛否両論を含め)が、提供されるべきと考えるか、提供されるべき具体的文書・文献名を示されたい。
 7 フッ素洗口実施校の一部においては、フッ素洗口法による「フッ素うがい」を「学校行事(遠足・運動会等)や教科(国語・社会・算数・理科等)の学習と同じ学校教育であります。」また、フッ素うがいをやらない子供がいることは、望ましい教育の姿ではないと保護者に主張している。
  @ フッ素洗口法による「フッ素うがい」が、学校行事や教科と同じ学校教育であるか、政府の見解を示されたい。また、同じであるとするなら、その法的根拠を示されたい。
  A フッ素洗口によるフッ素うがいをやらない子供がいることは、望ましい教育の姿ではないとする見解に対する政府の判断を示されたい。
  B フッ素洗口によるフッ素うがいは、本来任意であり、親権に属するものと思われるが、「フッ素うがい」は、施設設置者である各自治体・法人の権限であるのか、保護者の権限にあるのか、政府の見解を示されたい。
  C 各自治体の保健行政(指導)の名のもとで、各学校長が保護者に対して、フッ素洗口法によるフッ素うがいを「全員が行うことになつております」と主張することができるか、できるとするなら法的根拠を含めて政府の見解を示されたい。
 8 学校の養護教員が、フッ化ナトリウムを薬剤師・医師・歯科医師から計量してもらい、学校においてポリタンク等に調合する行為は、適法的行為かどうか、政府の見解を示されたい。
 9 一般に劇薬指定された薬から普通薬を作る行為は、いかなる資格又は免許・許可された者が行うことができるのか、法的根拠を含めて政府の見解を示されたい。
 10 政府は、フッ素洗口を禁止又は停止すべき児童・生徒の健康的・身体的・精神的基準を持つているか。基準を持つていないならば、その理由を示し、基準があるならば一つ一つの項目につき根拠を示されたい。
 11 次記の職務命令は成立するか、成立するとすればその法的根拠を示されたい。新潟県衛生部長の通知(昭和五十六年十二月四日付け公第二一九〇号及び昭和五十七年二月六日付け公第一八〇号)に基づき、各市町村自治体が管内の学校で「フッ素洗口」実施を決定し、教育委員会(教育長)を通じ管内学校長に実施するよう文書が配布された。
  @ 校長は、フッ素利用の安全性等未解決な問題があると判断し、教育委員会(教育長)に意見具申を行うとともに、当校ではフッ素洗口を実施しないと決定した場合、職務命令違反となるか否か。
  A 校長が、教育委員会の文書に基づきフッ素洗口の実施を決定し、口頭で教職員に通知した。教諭の一人又は数人が、フッ素洗口に疑義をもち、自己の学校での実施を拒んだ。この場合、職務命令違反となるか否か。
 12 新潟県衛生部公衆衛生課は、昭和五十九年一月十三日中頸城郡吉川町を経由して提出された質問に対し「フッ素の予防効果以外の好ましい副次効果を生んだことは、フッ素洗口を実施したことに起因し、これも含めてフッ素洗口の効果と呼んで良いと考えます。」と、回答を行つている。
  @ 政府は、フッ素洗口効果を判定する場合、新潟県衛生部公衆衛生課のかかる「副次効果」まで含めてフッ素洗口効果と見なし得るとの見解を支持されるか否か、示されたい。
  A 新潟県下のフッ素洗口実施校においては、いわゆる副次効果まで含めてフッ素洗口効果として一率に統計を作成し公表されているが、そのような統計上の指導を政府が行つているのか否か、示されたい。
 13 政府は、「小学校・歯の保健指導の手引」(昭和五十三年七月三十一日発行)の三十三頁で「集団的にフッ素塗布、フッ化物などによるうがいを行うときは、十分に専門的な理解をもつた上で、適切な手段の下で注意深く行わなければならない」、と述べている。
  @ 「十分に専門的な理解」とは、具体的にいかなる内容を指示しているのか回答されたい。
    なお、回答に当たつては、フッ素塗布、フッ化物などによるうがいのそれぞれについて、各職種(医師、歯科医師、薬剤師、養護教諭、施設の長、保母、一般教諭)並びに自治体別に具体的に示されたい。
  A 「適切な手段の下で注意深く行われなければならない」という具体的内容を示されたい。フッ素塗布、フッ化物などによるうがいを実施している自治体・施設に対し前記の点に関する指導監督上、いかなる手段をとられているのか、またいかなる文書を発行されているか示されたい。
 14 日本口腔衛生学会・フッ素研究部会(委員長 堀井欣一)は、一九六九年第二十二回WHO(世界保健機構)総会の勧告文の一部を引用し、同学会誌に「う蝕予防プログラムのためのフッ化物応用に対する見解」(一九八二年)を発表している。同見解は、「WHO総会の勧告文・諸決議などを、自己のフッ化物利用の正当性の根拠の一つとし、さらに生涯を通じて有効である」と述べるに至つている。
  @ 政府の一九六九年第二十二回WHO総会勧告文全文に対する見解を示されたい。
  A 前記WHO勧告文中の、フッ素研究部会が引用・評価を避けたと思われる次記の内容に関し、政府の見解を示されたい。
    第一に、フッ化物の使用をそれぞれの住民集団の総意に任せるという決議をWHO総会が採択したこと並びに内容について
    第二に、WHOの事務局長に要請された ― 本質的な医学的な問題点のより深い研究の要請、全体のフッ素摂取量を問題にすべきだという指摘など ― 諸研究の推進に関する内容について
  B WHOの第二十二回総会以降、第二十八回総会(一九七五年)、第三十一回総会(一九七八年)においてフッ化物利用に関する勧告・決議並びにWHOによつて発行された専門委員会の発言があります。
    第一に、各総会で採択された諸文書は、全出席国代表の全員の賛成を得たものかどうか示されたい。満場一致の賛成でないのならば、賛成、反対、棄権等の各国の態度の内容を示されたい。
    第二に、専門委員会の次の文書に対する見解・認識を示されたい。
    WHO Techn. Report No. 494: The Etiology and Prevention of Dental Caries. Genf 1974, ref. GWF 115(1974)
  CWHOは、飲料水フッ素化の無条件な推奨を主張していないし、フッ素研究部会の見解にみられるごとく「生涯を通じて有効である」と主張していないと考えるが、政府の見解を示されたい。
 15 日本歯科医師会企画調査室は、「フッ素化に対する基本的見解」を一九七一年に発表した。
   これに対し日本口腔衛生学会は、「上水道弗素化推進に関する見解についての答申書」(一九七二)において全面的支持を与えている。
   政府は、この「基本的見解」「答申書」に対して、いかなる見解を保持されているか明らかにされたい。
 16 中華人民共和国広州市は、広州市衛生局による調査の結果、十数年来の実験で水道水フッ素添加は多害少利という結論に基づき、水道水フッ素添加を一九八三年十月一日より禁止し、水道局は直ちにフッ素添加を停止した。
   この処置に対して、日本の一部の自治体、団体、学者は、広州市行政の責任ある地位にあり医学者でもある広州市副市長陳氏の否定にもかかわらず、「技術上のミス」「フッ素濃度が高すぎたため」と、一方的主張を行つている。
   @ 政府は、前記の広州市の決定について、外交ルートを通じ正式に広州の水道水フッ素添加禁止の事実と理由を問う考えがあるか態度を明らかにされたい。なお、問い合わせの必要を認めないならば、その理由を示されたい。
   A 政府の監督、指導下にある(新潟県)自治体衛生部等が、広州市の処置に対し「技術上のミス」「フッ素濃度が高すぎたため」とする見解を掲載した文書を配布していることに、いかなる見解を持つているか示されたい。
 17 フッ素洗口実施校でのフッ化ナトリウム粉末の管理は、通常有資格者が計量分包し、保健室に保管されているのが実態である。
   政府は、劇薬であるフッ化ナトリウムを非資格者のみしかいない施設で常時保管されている状態について、法的に問題がないか見解を示されたい。
 18 フッ素洗口に使用されているフッ化ナトリウム粉末(易水溶性)の人における服用量、致死量について、示されたい。
 19 フッ素が人体にとつて必須栄養素であり、フッ素の利用が自然の法則を我々人類が見つけ出し、その自然の法則を応用したにすぎないとする学者・諸団体がある一方で、全身へのフッ素摂取量を考慮すべきであり、迷惑物質である。また、フッ化物は地球規模で監視測定すべき環境汚染物質であるとの反論もある。その主張が真つ向から対立している。
   政府は、フッ素(フッ化物)が人体並びに環境にとつていかなる物質であると判断されているか示されたい。
 20 フッ素の人体への有害性について、二つの相反する見解がある。
   一つは、「各国別一人当たりの食糧供給量から一日フッ素摂取量を算出してみると国別の差違はほとんど認められない」として、気温の相違による水分摂取量のみを考慮し、いわゆる至適フッ素濃度を決定する見解である。今一つは、我が国の研究をみても、フッ素の有害性を肯定することができ、フッ素汚染地帯では、食品中のフッ素含有率が異なり食品そのものによつても含有率が異なつていることから、気候の相違からくる水分摂取量のみでなく、生活様式・食物の差・環境等を考慮し、人体内へ侵入する総フッ素量を考えるべきである。フッ素は人体にとつて蓄積毒とする見解であるが、政府のフッ素の人体・環境への影響についての基本的見解を示されたい。
 21 フッ素利用を推進する学者・諸団体が、最終目標を水道水フッ素添加に置いていることは、政府も十分承知されていると思う。水道水にフッ化物が添加される場合、様々な問題が生じると思われるが、
   @ いわゆる至適フッ素濃度について、学者又は学会等における統一見解があるのか。政府は、至適フッ素濃度についていかなる見解を有しているのか。また、その濃度を定められているなら数値を示されたい。
   A 水道水フッ素添加は、個々の住民は好むと好まざるとを問わず飲用せざるを得ない。水を飲む習慣の相違(例えば、高熱作業に従事する人)、年齢差があつても体内フッ素摂取量に問題はないか否か。
   B 水道水フッ素添加は、人工透析を受けるような比較的重症の腎障害者に新たな問題を生じさせないか否か。
     もし、腎障害者にとつて好ましくないとするなら、フッ素添加された水道水から腎障害者が自己防御するためにいかなる手段が可能か。
   C 水道水フッ素添加は、虫歯予防を目的とするものであるが、一方で住民を選択することなくフッ化物の常時服用を強要する結果を招来させます。ところで、フッ素による虫歯予防を必要としない個人(良い歯の所有者や総義歯所有者)や、フッ素供給を行つてはならない個人(腎疾患患者、過敏症者、妊婦など)が、この強要から免れるためにはどうしたらよいか。
   D 公共上水道は、公共性が著しく高いために厳しく水質基準の保持を義務付けられている。水道水フッ素添加に同意しない被供給者が、水質基準に義務付けられた水道水の供給を要求することができるか否か。
     虫歯予防を目的とする水道水フッ素化と消毒を目的で行われている水道水塩素添加は、目的においても人体・環境への作用上においても異なつていると思われます。水道水フッ素添加をしようとするとき、被供給者・被供給施設の同意を個々に得る必要があるか否か。
   E 水道水フッ素添加は、公共上水道に関係する諸法律において、現行法律上可能であるか否か。可能・不可能いずれの場合も、その法的根拠を示されたい。
 22 水道水フッ素添加が、いわゆる至適フッ素濃度によつてコントロールされたとしても、年齢差のある(例えば、出生時の乳児、六歳児、十二歳児)子供が、飲料水消費量を異にする中で、それぞれ正しいフッ素用量摂取を行うことができるのか、政府の見解を示されたい。
   例えば、次記のような場合、明らかに水消費と特殊なフッ素摂取量との間に不一致が生じる。ある学者の見解によれば「幼児における受け入れ可能な毎日の至適濃度一歳から十五歳まで〇・〇三mg/kg、最高値は〇・〇四mg/kgにある」、また別の学者によれば「乳児には一日用量〇・二五〜〇・五mgのフッ素三歳までの子供たちには〇・五mg」という研究報告がなされている。
   この研究結果に立脚すれば、水道水フッ素化によつてすらフッ素の過量摂取といえないであろうか。
   政府は、「同じ地域に生活している子供達の飲水量にはほとんど同じ量になる」と主張されるであろうか、政府の見解を示されたい。
   この見解を支持されるとするならば、飲水量の増大する期間・日数が、どの程度まで安全と認識されているか、科学的根拠を示されたい。
 23 フッ素利用による集団において、歯牙萌出遅延、斑状歯の出現が世界各国の少なからずの研究・報告書の中に散見されるが、
   @ フッ素利用と歯牙萌出遅延と密接な関連があると政府は考えているか、考えていないのならば根拠を示されたい。
   A フッ素の影響による斑状歯の出現について、二つの見解がある。一つは、中等以上の斑状歯において、審美的に問題であるにすぎないとする見解である。一つは、斑状歯は、この唯一の症候に限定されることのない他の疾患を予告する前兆であり、物質代謝の障害の警告合図であるとする見解である。
     政府は、いずれの見解又は第三の見解を有するか示されたい。
 24 フッ素利用による虫歯予防の効果を主張する場合、統計の科学的な方法論と医・歯科学上の二重盲検法に基づくものでない限り、厳密な意味で効果の数値に信頼性を欠くと思わざるを得ないと考えるが、政府の見解を示されたい。
 25 フッ素の障害を起こす要因として、カルシウムの摂取不足、フッ素による甲状腺腫にはヨードの摂取不足が関連していることは確実であるといわれている。そうすると日本人は、国民栄養調査でも日本人平均一人一日当たりのカルシウム摂取量不足が指摘されている中で、虫歯予防とはいえ、フッ素利用を行うことが、一層フッ素障害を助長する要因となるのではないか。政府の見解を示されたい。
 26 新潟県で実施されているフッ素洗口は、口腔内残留量からみて又は口腔粘膜から急速に吸収される量において、斑状歯で有名な宝塚市や我が国の研究者の成績に示されている〇・五〜〇・六PPMより斑状歯が急上昇するという量と関連して問題がないのか。政府の見解を示されたい。
 27 水道水フッ素は、虫歯予防を目的としながらも、フッ素による虫歯予防を必要としない人(総義歯所有者、良い歯の所有者)、フッ素供給を行うことが望ましくない人(腎疾患患者、過敏症者、妊婦など)、フッ素供給を拒否する人や施設においても事実上の強要とならざるを得ない。
   この強要は、憲法第十一条〔基本的人権の享有〕、第十三条〔個人の尊重と公共の福祉〕、第二十五条〔生存権、国の社会的使命〕に著しく抵触する疑いがあると考えられるが、政府の法的見解を示されたい。
 28 新潟県においてフッ素洗口の安全性を論ずるときに一週間に一回、二回、五回と異なる回数洗口を行つているのに、毎回飲み込むフッ素量を一週間七日で除して一日に飲み込む量を計算し安全性を論じている。
   これは、一週間分の薬を毎日七回に分けて服用する場合と、一週間分を一回で服用する場合の薬品の安全性とを同一視する誤つた考え方へ国民を導く危険な考え方だと考えるが、政府の見解を示されたい。
八 フッ素の環境汚染問題について
 1 国は医薬部外品としてフッ素添加歯みがき剤を認可し、フッ素洗口剤ミラノールを医薬品として認可し、フッ素塗布を推進しているが、
  @ 前記二つ以上のフッ素応用法を併用しても問題はないのか、見解を示されたい。
  A フッ素の摂取量をコントロールする、つまり個人のフッ素摂取量を一定に保ち、フッ素による健康被害を防ぎつつ、フッ素による虫歯予防効果のみを得ようとする場合、例えば二人の子供がいて、それぞれ食事、飲料水、茶から異なる量のフッ素を摂取し、なおかつ、フッ素添加歯みがき剤を異なる量、異なる回数使用し、異なる量のフッ素を摂取し、なおかつ、フッ素洗口、フッ素を飲み込みながら、二人とも一定の量のフッ素摂取量にコントロールする方法があれば、示されたい。
  B 国がフッ素洗口剤として認可しているミラノールについて、注意書に腎疾患児への投与を避けるよう指示していますが、フッ素洗口のときに飲み込むフッ素量は、フッ素塗布、フッ素入り歯みがき剤を使用するときに飲み込むフッ素量と大体同じ量であると考えられるが、腎疾患を持つ子供へのフッ素塗布やフッ素添加歯みがき剤の使用は問題があるのか否か、政府の見解を示されたい。
 2 フッ素化合物による環境汚染が問題となつており、フッ素化合物による環境汚染地域で農産物、特に米と葉茶類のフッ素濃度が高まり、それを食べることによつてフッ素の過剰摂取となる可能性を指摘する研究が発表されているが、
  @ 国は、全国各地のフッ化物による大気汚染の実態を把握しているのか否か、把握していないのなら、今後調査を必要と考えているのか否か、見解を示されたい。
  A 国は、全国各地のフッ化物による大気汚染地区から産出される白米と青緑色野菜類のフッ素含有量を把握しているのか否か、見解を示されたい。
  B フッ化物による大気汚染地区では、大気からと大気中のフッ素を濃縮蓄積した農作物から過量のフッ素を日常的に摂取することとなり、このような地区での虫歯予防のためのフッ素応用は行うべきではないと考えるが、見解を示されたい。
  C 少なくともフッ化物による大気汚染の可能性のある地区においては、虫歯予防のためのフッ素応用は中止すべく指導すべきだと考えるが、早急にフッ素による大気汚染地区を定めるべきではないのか、見解を示されたい。
 3 近年有機フッ素化合物の工業的利用が進んでいるが、有機フッ素化合物による生体へのフッ素負荷について、
  @ 有機フッ素化合物の環境汚染、生体への汚染について研究はあるのかどうか、把握しているなら示されたい。
  A 有機フッ素化合物の生体への負荷が高まつた場合の生体への影響には、どのようなものが考えられているのか、把握しているなら示されたい。
  B 無機フッ素化合物の動植物生体内での有機フッ素化はあるのか否か。あるとするとどのような影響を生体に与えるのか示されたい。
 4 フッ素化合物による環境汚染が今後、進行するのか軽減していくのか、見解を示されたい。
  @ フッ素化合物排出源としてどのような産業が考えられているのか、フッ素化合物排出量は年間何tと推定されているのか。
  A 今後フッ素化合物の排出量は増加するのか、減少するのか、フッ素化合物による大気汚染の地域は広がつているのか、狭まつているのか。
 5 国は、フッ素化合物による環境汚染防止のため大気汚染防止法及び水質汚濁防止法にフッ素化合物を定め、フッ素による環境汚染の防止に努めているが、他方、フッ化物応用による虫歯予防も推進しているが、この矛盾について、
  @ フッ化物による環境汚染を防止する目的は動植物に対する被害の防止、人体へのフッ素による健康被害の防止のはずであるが、虫歯予防のためのフッ化物応用は、直接子供達の身体にフッ化物を飲み込ませることとなるが、法律の目的に反する行為ではないのか。
  A フッ化物による環境汚染が進行した場合、虫歯予防のためのフッ素応用は中止しなければならなくなると考えるが、その場合の基準をどのように考えているのか。

 右質問する。





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