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昭和六十年十二月九日提出
質問第一六号

 コミューター航空に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十年十二月九日

提出者  斎藤 実

          衆議院議長 坂田道太 殿




コミューター航空に関する質問主意書


 現在の日本には高速交通体系から取り残された、いわゆる空白地域が散在し、こうした地域では経済、社会、文化の面で他との格差が目立つている。例えば航空について見てみると、空白地域が全国的に見られ、その居住人は四千万人弱と推定される。
 このような地域に居住する人々の生活の安定と、地域の活性化を図り併せて国土の均衡ある発展に資するためには、総合交通体系におけるコミューター航空システムの導入は、非常に高い機能を発揮するものであり、また、空白地域を埋めるためだけでなく、地域開発、地域振興の手段としてもコミューター航空が注目され、近年全国的に要望が高まつている。
 昭和五十八年十一月にコミューター航空に関心を持つ地方自治体が、「全国地域航空システム推進協議会」を結成して各種の活動を展開しているほか、各地で研究会やシンポジウムが開催されている。
 更に、昨年十一月に発表された四全総長期展望作業の「中間とりまとめ」をもとに、国土庁が地方自治体から意向聴取を行つたところ、コミューター航空の導入に対する要望が全都道府県・政令指定都市五十七団体のうち、三十団体(全体の五十三パーセント)から出された。
 また、政府は内需拡大、経済摩擦の解消の観点から、欧米の小・中型機、ヘリコプターの購入、活用を推奨しているが、これらの運行を厳しく規制した現行規定が、その導入、活用を阻害しているものと考えられる。
 一方、行政改革の一環として、民間活用の発揮、推進に資するよう公的関与につき必要な是正を図るため、規制行政の緩和に対応して所要の措置が講じられようとしている。
 従つて政府は、コミューター航空に対する全国的な要望に応えるべく、また政府の方針との矛盾を解消するうえでも、この問題に取り組む必要がある。
 よつて、次の事項について質問する。

一 現在、策定作業中の四全総の高速交通体系において、航空、特にコミューター航空をどう位置付ける方向で検討しているか。
二 コミューター航空の導入に当たつては、航空政策、空港整備計画全般にわたる見直しが必要と考えられるが、基本的見解を質したい。
三 具体的にいつて、第五次空港整備計画にコミューター航空用の空港の建設が含まれる可能性はあるか。
四 コミューター航空を導入する場合、限られた空域を効率的に活用するため空域・運航管制システムの改善又は新システムの導入が必要となろうが、このような技術的検討が行われているか。
五 コミューター航空事業は、事業目的により一般に経営が困難であるといわれているが、特に需要の少ない離島・辺地路線では採算が困難である。従つて、こうした路線では地域振興の観点から何らかの助成策が望まれる。この点については、どうか。
六 助成に関連していえば、現行制度では近距離路線の運航コストに占める通行税や航空機燃料税等の公租公課の割合が大きいが、コミューター航空の育成・推進のために、課税廃止及び負担の軽減を図る考えはないか。
七 コミューター事業における航空機の導入には、一時に巨額の資金を必要とし、その償却期間も長期にわたることから、長期かつ低利の安定した資金の確保が不可欠のものとなつている。
  従つて、財政投融資計画に基づく融資制度の充実を図るべきであると考えるがどうか。
八 コミューター航空の需要を開拓するには、
 1 首都圏、関西圏をはじめ千歳空港等の主要空港への乗り入れを認め、幹線・主要ローカル線との乗り継ぎを容易にすること
 2 定期航空との乗り継ぎ通し運賃を導入することが重要であるが、これらについて認める考えはあるか。
九 二地点間旅客輸送事業に関する現行の承認要件は、実情に合わなくなつてきているため全般的に見直す必要がある。
  特に、不定期航空会社の事業参入を規制している事業者の要件や、使用機種の制限、運航方式、客室乗務員の配置等について規制緩和を図る必要があると考えるがどうか。
十 コミューター航空の導入を、地域的条件に適合させ、全国的に普及させるためには、固定翼機の運用だけでなく、最近技術的に信頼性の高いヘリコプターを、地域産業、緊急用等との複合利用を含め、積極的に活用すべきであると考えるが、航空法規等の是正を検討する考えはないか。
十一 ヘリポートの設置は、コミューター輸送のみならず、災害応急対策や、緊急医療、産業等の面から極めて重要であるが、公共ヘリポートは官民合わせて三ヵ所しかない現状であり、全国的配置を早急に実施する必要があると考える。
 1 我が国においては、ヘリポートの進入区域の長さ、進入及び転移表面等の基準が欧米に比べ厳しい規制となつているため設置しにくくなつているが、少なくとも米国並みに設置基準を改善する考えはないか。
 2 現在、国土庁、運輸省、建設省がそれぞれ独自の計画を検討しているようであるが、これを調整し、適正配置の早期実現を図る必要がある。政府専用のヘリコプターの運航を控え、対処方針を明らかにされたい。
 3 ヘリコプターの利点を生かし、その活用を図るためには、都心部における河川敷地、屋上等の活用が不可欠であると考えるが、ヘリポート設置のための河川敷地の利用方針及び屋上利用のための建築基準等について具体化する考えはないか。

 右質問する。





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