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昭和六十一年七月二十五日提出
質問第四号

 オーバー・ドクター、オーバー・マスター問題など大学院生にかかわる問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十一年七月二十五日

提出者  山原健二郎

          衆議院議長 原 健三郎 殿




オーバー・ドクター、オーバー・マスター問題など大学院生にかかわる問題に関する質問主意書


 今日、大学院生にかかわる問題で、オーバー・ドクター(OD)、オーバー・マスター(OM)問題ほどその解決がいそがれているものはない。
 「オーバー・ドクター問題」は、学術会議なども指摘しているように、オーバー・ドクターとなつている院生の個人的事情(たとえば学業不振など)で発生するのではなく、我が国の貧困な学術体制そのものから構造的につくり出されてきたものである。
 それだけに、我が党が国会等で繰り返し要求してきたように、「オーバー・ドクター問題」の解決は、なによりも国が学術体制の拡充とあわせて、全力をあげてとりかかるべき課題であり、国はその責務を担つているのである。
 にもかかわらず、歴代内閣は、これまでその責務を果たしてこなかつたばかりか、中曽根内閣にいたつては、逆に教育切り捨ての臨調「行革」の一環として、学費の値上げ、奨学金の有利子制の導入を強行し、更に、オーバー・ドクターに対する授業料減免措置に制限を加えるなどの指導を強化している。
 こうした結果、せつかく学問の深奥を究めつつある若き多くの学究達が、生活費の面から研究・勉学の継続ができなくなり、途中で研究室から去らざるを得ない状況がつくりだされている。
 こうしたことは、我が国の学問研究、学術の発展、将来の学術体制のあり方にとつてゆゆしき問題であり、一刻も放置できないと考える。
 以上のような観点にたつて、今後とも「オーバー・ドクター問題」の解決をもとめていくとともに、当面、次の三つの件について質問する。

一 授業料減免措置について
  国立大学における授業料・入学金が年々上昇している中で、昨年度の後期分の授業料減免措置の運営に対してOM・ODを成績不良者と同一視する形で、OM・ODに対する授業料減免措置に制限を加えようとする指導が会計検査院・文部省によつて行われている。このような指導は、自らの研究能力を発展させ、生かしたいと欲しながらも、ドクターコースの間口の狭さ、あるいは就職難によつて留年を強いられているOM・ODにとつて、ただでさえ苦しい生活をさらに窮地に追いこむもの以外のなにものでもない。
  OM・OD問題自体の解決をはからないまま、こういう政策をとることは、若手研究者の養成にとつて大きな障害をもたらし、ひいては、日本の学術研究の発展を阻害する行為であると言わざるを得ない。
  そこで次の点について回答されたい。
 1 政府は、OM・ODであることを理由とした授業料減免廃止の指導を直ちにやめるべきと思うが、どうか。
   かかる廃止措置の指導を維持していこうとするなら、その理由を明らかにされたい。
 2 授業料減免措置における個別の判断は、各大学の大学自治の範囲内で行われるべきものであると思うが、どうか。
   また、減免措置での文部省が判定枠としてもつている部分についても、OM・ODの現状を配慮し、運営されるべきではないか。見解を示されたい。
二 育英奨学金の拡充について
  育英奨学金については、ODをふくむすべての大学院生に、希望におうじて奨学金を貸与するとともに、貸与額の大幅引き上げ、返還免除職の拡大、返還免除期間の延長、返還開始後での免除職就職による返還残額免除などの充実をめざすべきと思うが、どうか。
三 特別研究員制度問題について
  六十一年度の文部省予算では、目本学術振興会特別研究員が、昨年度実績一四四人から、新たに二四四人の新規採用としているが、同時に同会の奨励研究員制度は廃止されることとなつた。
  採用のほとんどがODを対象としていた奨励研究員とは異なり、特別研究員制度では、採用枠の約半数のみがODむけとなつているため、ODの利用できるフェローシップとしては大幅に後退したものとなつている。
  若手研究者養成上の最大の問題は、ODの研究能力が無駄にされていることであつて、この事実がまた大学院生の将来展望に対して悪影響を与え、創造的な研究を阻害する大きな要因ともなつている。OD問題を放置したままで、優秀な若手研究者を確保・養成することは不可能であるのに、現状の特別研究員制度においては、むしろOD問題を深刻化させるものである。
  そこで、日本の学術研究の発展を願う立場から、特別研究員の採用枠の大幅な拡大と同時に、ODを対象とした採用枠を、少なくともかつての奨励研究員制度に匹敵する人数に拡大する措置を講ずるべきと思うが、どうか。

 右質問する。





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