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昭和六十二年二月十八日提出
質問第七号

 山梨県の模範社をめぐる諸問題と当面する蚕糸政策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年二月十八日

提出者  竹内 猛

          衆議院議長 原 健三郎 殿




山梨県の模範社をめぐる諸問題と当面する蚕糸政策に関する質問主意書


 我が国の伝統的産業である蚕糸絹業は需要の減退、一元輸入二国間協定があるにしても事実上の輸入の自由化により、構造的不況を余儀なくされており、今や極めて深刻な状況にあることは、一九八二年末七、四〇〇人の製糸労働者が八六年九月末には四、六〇〇人と三六%の減少をみただけでも明らかである。
 既に昨年末から問題になつている山梨県中巨摩郡敷島町の蚕糸販売農業協同組合連合会模範社と山梨県信用農業協同組合連合会(以下「信連」という。)との関係は社会問題化している。
 加えて国の蚕糸行政に関しても万全の行政措置がとられているとはいい難く、第二、第三の模範社的傾向が生じる可能性がある。
 従つて、次の事項について質問する。

一 模範社と信連の関係について
 1 信連は、農協系統組織の金融機関として傘下農協事業体を支援、育成強化する立場にありながら、苦況にある模範社の経営に対し、体質改善、再建のためいかなる具体的支援を行つたか。例えば、この五年間、融資面において貸付金利の引下げなどについての優遇措置などを行つたかどうか。
 2 信連は、同社の累積赤字解消、金利負担軽減のため、同社所有の遊休土地資産の売却を指導しながら、具体的な買手がつくや、同社の原料繭に信連の譲渡担保権を設定しているにもかかわらず、借入金を全額返済しないかぎり、同社の土地、建物に対する抵当権を解除しない旨を通知し、資産売却を阻止したことについて、系統金融機関の指導としてどのように考えるか。
 3 信連は昨年六月、同社がまだ十分な資産能力があるにもかかわらず、同社理事に拘束性の預金五、〇〇〇万円を強要し、これを信連に定期預金担保として差し入れさせ、この枠で貸付けを行い、同社の運転資金の操作をするなど歩積み両建てをやつている事実を、監督機関の農水省としてどう考えるか。
 4 信連が、同社当該労使間で何ら協定されていない同社の製糸部門の閉鎖問題について、昨年十二月二日に、昭和六十二年一月末をもつて閉鎖することを確認し、中央会に状況説明し、指導を要請したことは、同社労働組合の団体交渉権の侵害と考えるが、この点はどうか。
 5 信連は、同社の再建より、むしろ債権確保、貸付金回収にのみ力点をおいて指導してきたのではないか。例えば、同社と同労働組合の間に昨年十二月二十二日に、「事業所閉鎖問題について当分の間、労使誠意をもつて協議し、双方合意のないかぎり一方的にこれを行なわない」という確認書があるにもかかわらず(なお、この確認書成立の場所には信連の小松融資部長が同席)、しかも、本件について具体的な交渉が年内はなかつたにもかかわらず、信連は一方的に同社の原料倉庫の鍵を持ち去り、同社を本年一月六日以降意識的に操業停止、事業所閉鎖に追い込んでいる理由は何か。
   これは明らかに金融機関としての労使問題への過度の介入であり、労働者の団結権、交渉権、生存権を無視するものと思われるが、その見解は如何。
二 当面する蚕糸政策について
 1 繭糸価格安定法第一条の目的に沿い、今後とも、繭糸価格安定制度を所管行政当局として堅持される方針かどうか。
 2 現生糸年度中、基準糸価一二、〇〇〇円は堅持される方針か。また、次生糸年度においてもこれを堅持される方針をとられるかどうか。
   これとの関連で、一月二十二日付日経朝刊で「農水省は基準糸価の切り下げを検討中」との記事があるが、今期中(生糸年度)又は来期に基準糸価を切り下げる方針かどうか。切り下げるとすればその具体的理由を明示されたい。
 3 昨今の生糸価格が現物でも基準糸価を割り、更に六ヵ月先では大きく割り込んでいる現状からみて、糸価安定のためいかなる対策を具体的にとられるのか(同法第二章で規定した措置を含め)。
 4 蚕糸業の安定を図るため、当分の間、織物を含め、生糸輸入を規制する考えはないか(国内生産、輸入を合わせて総供給量とし、総需要量との均衡をとるため)。
 5 廃棄された過剰設備の買上げは促進されるのかどうか。
 6 もし売上税が実施された場合には、繭、生糸、撚糸、織物並びに繭生産資材の取引について、どの段階まで、いかなる品目を非課税取扱いとされるのか。所管官庁としての具体的な見解を明示されたい。
 7 ここ十年間、蚕糸業は縮小再生産の道をたどりつつあり、これに対して養蚕農家の作付け転換についていかなる指導を行うのか。
 8 前記5、6項と関係し、更に製糸業界は本年四月以降三〇〜二五%の設備封印によるカルテルを考えているが、それは行政としても指導しているのかどうか。また、これらの措置によつて一部縮小廃業に追い込まれた製糸企業では人員整理が行われようとしているが、雇用問題について、いかなる具体的対策を考えられているか。
   今日、大量失業時代を迎え、産業政策と雇用政策は密接な関連をもつているが、これをあくまでも労働省所管の問題として扱つていかれるつもりかどうか。
   とりわけ、農村経済、地域経済と雇用の視点からどうされるつもりか。
 9 蚕糸業の中・長期安定のため、需要量と生産量、輸入量、設備規模、雇用量などを含め、蚕糸業の在り方についての具体的な計画、ビジョンを明確にされたい。

 右質問する。





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