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昭和六十二年三月二十四日提出
質問第二三号

 霊感商法に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年三月二十四日

提出者  寺前 巖

          衆議院議長 原 健三郎 殿




霊感商法に関する質問主意書


 街頭あるいは戸別訪問で手相をみてあげるなどと近づき、人の弱味につけ込んで短命とか離婚の相があるなどと告げて不安に陥れ、家系図を書かせて「あなたの不幸は何代か前の先祖に因縁。これを絶つには出家するか、血と汗と涙の結晶であるお金をなげうち開運の壼をさずかるか」などと印鑑や壼、多宝塔などを法外な値段で売りつける霊感商法が大きな社会問題になつている。
 この商法は、商品の販売目的を隠して消費者に近づくこと、軟禁状態にして数人で取り囲んで脅しすかして判断能力を失わせること、放心状態となつた者に神がかりで救済のみちを説き商品を購入させること、また原価の十倍から五百倍にも及ぶ暴利販売を行つていることなど社会通念上許されない不法行為を行つている。
 この商法は、文鮮明を教祖とする韓国製反共謀略団体「世界基督教統一神霊協会」(略称統一協会)の謀略資金集めとしてやられているものであり、国会でもしばしば追及されてきた。壺や多宝塔などの輸入元である株式会社ハッピーワールド(東京都渋谷区神南一 ― 十九 ― 十丸恵ビル、代表取締役古田元男)は、全国の統一経営を行つており、全国を十ブロックに分けて卸元の会社をおいている。例えば近畿地方には株式会社世界のしあわせ大阪(大阪府吹田市垂水町三丁目しあわせビル、代表取締役福良弘幸)がある。そしてその下に、各都道府県ごとに販売店(京都府 ― 双葉、奈良県 ― 大和一、大阪府 ― 天宝堂・あおば・双葉・福一・愛光堂等々)があり、そこの委託販売員が消費者に接触するということになる。株式会社ハッピーワールド以下の会社の構成員並びに委託販売員は、すべて統一協会員であるといわれている。
 霊感商法による被害の実態は以下にみるように甚大である。いくつかの新聞社の報道を見ても、昨年末全国の消費者センターを対象にした調査によれば、昭和五十九年から六十一年上半期までで苦情相談件数は一万六百十一件もあり、判明した被害額は四十億円。被害は北海道から沖縄県まで全都道府県に及んでいる。
 また、今年二月東京で行われた霊感商法被害者救済弁護士連絡会の相談は、首都圏を中心に三百九十件、被害総額は二十五億三千万円にもなつている。同時期に京都では、一日の相談だけで五十一件、二億七千六百万円の被害に及んでいる。
 国民生活センターの調査では、昭和五十一年から五十七年で二千六百三十二件、十六億九千万円。それ以後昭和五十八年二百四十三件、五十九年六百二十一件、六十年千百六十七件、六十一年(今年三月まで)千七百四十五件、被害総額五十五億五千万円にのぼり、ここ数年激増している。
 これらに現われた被害は氷山の一角であり、多くの被害者がはずかしさと恐しさから泣き寝入りしているのが実態である。これ以上の被害者をださないためにも、有効で具体的な対策が緊急に求められている。
 従つて、次の事項について質問する。

一 「先祖のたたり」「怨念」といつて消費者を不安に陥れ、法外の高値で売りつけ莫大な利得を得ている販売方法は、詐欺罪や恐喝罪等に当たるものであり、少なくともまがいの商法であることは明白である。関係省庁は、取締りを強化し、また実効ある被害者の救済措置を図るべきと考えるがどうか。
二 昭和六十年五月に発足した通産省の訪問販売トラブル情報提供制度にこの霊感商法を適用し、手口、企業名を公開することによつて消費者保護を図るべきだと考えるがどうか。
三 特に、前述した統一教会系霊感商法関係については、直ちに企業名及び彼等特有の手口等をすべて公表するなど、今後、被害者が発生することのないような諸措置をとるべきと考えるがどうか。
四 霊感商法など消費者被害を防止するため、滋賀、鳥取県など数ヵ所の地方自治体で条例改正を行い、消費者保護に当たつている。また、大阪弁護士会も今年一月現行訪問販売法を改正すべく独自の「訪問取引業規制法案」を発表している。
  通産省は、業界の自主規制による自浄作用に期待するやに伝えられるが、このような詐欺行為の霊感商法を用いる悪質業者には自浄作用は期待できない。
  今こそ現行訪問販売法を次にあげる内容で抜本的に改正し、消費者保護を図るべきであると考えるがどうか。
 1 対象商品を政令指定で特定する現行方式をやめ、商品はもとより役務を含め原則としてすべての有償契約を対象とし、今後の新手の悪徳商法も規制できるようにする。
 2 勧誘行為に関する規定を設け、勧誘員の所属事務所、氏名、品目等を明示しない勧誘を禁じ、処罰対象とする。また、長時間にわたるもの、早朝深夜にわたるもの、執拗なもの、威迫を交えたものなど悪質な行為を禁止するなどの規制を行う。
   同時に、違法な勧誘行為があつた場合、勧誘員及び違法行為を指示したその雇主である事業者を処罰する。その際契約は無効とし、損害賠償請求もできることとする。
 3 関係省庁は、勧誘員、事業者の違法行為等について、職権又は消費者などの申出に基づき、必要な場合には事業者等に対して報告の聴取、立入調査、指導等が行えることとする。
   また、悪質な業者については、業務の改善命令、事業者名、勧誘員及びその手口の公表、業務停止処分等の措置がとれるようにする。

 右質問する。





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