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昭和六十二年四月四日提出
質問第二九号

 伊豆大島噴火災害被害に対する救済措置等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年四月四日

提出者  岡崎万寿秀

          衆議院議長 原 健三郎 殿




伊豆大島噴火災害被害に対する救済措置等に関する質問主意書


 伊豆大島三原山の大噴火により歴史上かつてない全島避難から三ヵ月を経た。日本共産党・革新共同国会議員団は、大噴火の直後に伊豆大島火山噴火災害対策本部を設置し、被災者の救助と避難先での救援、火山の観測・監視体制の強化、農漁業、観光業をはじめ帰島後の産業の振興と島民の暮らしを守るために、万全の措置を政府に対し要求してきた。政府はこの間の住民と我が党などの要求に対し、活動火山対策特別措置法に基づく避難施設緊急整備地域に指定するなど一定の対策を講じてきた。しかしながら、去る二月二十四日の政令で大島噴火災害を激甚災害法に基づく局地激甚災害に指定したものの、町商工会をはじめとする町民の強い要望にもかかわらず、中小企業者に対する資金の融通に関する特例(法第十五条)等中小企業に関する特別の助成措置を適用しないなど、政府の対策はきわめて不十分なものである。
 噴火災害の後遺症は深刻であり、中小企業者など大島町民に対する救済措置の強化及び安全確保の対策が緊要なので、以下質問する。

一 被害の正確で全面的な把握は災害対策の大前提であるが、今回の救済措置の基礎となつた被害調査は実態を反映しない不十分きわまりないものと言わざるを得ない。
  特に中小企業者の場合、政府は被害額を四億千七百八十八万円と発表しているが、これは物損だけに限定するばかりか、調査対象である八百二十七企業のうち六割にも満たない四百八十九企業からの回答の合計に過ぎない。これでは、被害に対する適切な措置がとれる筈はない。
 1 なぜ被害企業すべてから被害実態を聴取しなかつたのか。また、聴取しなかつた残りの四割の企業についても追加聴取をして、被害実態を正確にすべきと思うがどうか。
 2 もともと被害調査を物損に限定したこと自体が問題である。昭和五十三年八月の有珠山噴火災害では、避難による売上減少額を調査し、公表しているが、今回は営業被害について一切明らかにされていない。救済を言うならば、このような被害をも把握すべきは当然である。この点でも、追加的調査を行うべきであると思うがどうか。
二 町議会は「各種貸付金の優遇措置の実施・充実に関する意見書」を全会一致で採択し、既に政府にこれを提出している。帰島後三ヵ月を経た島の実情を踏まえるならば、同意見書の趣旨を十分に尊重し、農林・水産・観光等、島の基幹産業の復興のために長期、かつ低利の融資の創設をはじめ特別の措置を緊急にとるべきと考えるがどうか。
三 島の経済を支える民宿・旅館等観光業における営業被害は一層深刻であり、その救済は政府の責務と言わなければならない。
  大島観光協会によれば、全島避難による営業損失は町内百九十軒の民宿・旅館の宿泊キャンセルだけで七万三千五百泊人分、約十四億円にのぼると言われている。これだけで平年の観光収入の一五%に相当する。また、島の復興への熱い期持を込めて「椿まつり」が開かれたが、観光協会の調べによれば同期間中の来島者数は前年比で二割減、しかも来島者のほとんどが日帰り客で、前年の民宿・旅館等の宿泊収入十四億九千百二十万円に対し今年は二億二千七百七十六万円と推計されており、「帰島後、三ヵ月で宿泊客がたつた六人」、「春休みの予約がいまだに全くない」等民宿・旅館業者をはじめ観光業を中心に自営業者の経営は深刻の度を強めている。
 1 昨年十二月四日の衆議院災害対策特別委員会において我が党の中島武敏議員は、昭和五十二年八月の有珠山噴火災害の際「今回の噴火が長期にわたり人心に他に類例をみない危ぐを与えることにより中小企業者等の経営が著しく不安定をきたしている実情にかんがみ被害を受けた中小企業者等の健全な経営と安定した事業活動を保持することが緊要であると認められるので、被害を受けた中小企業者等に対する五機関からの融資については、特段の措置として、激甚災害の例に準じ」特別措置を講じるとした閣議決定を示し、今回の伊豆大島噴火災害についても、民宿や土産物店などが営業ができなかつたためにその経営が著しく不安定となつている実情を踏まえて、激甚災並みの特別の対策をとるよう求めた。これに対し、国土庁長官は「それらの状況やその後の被害等も踏まえて政府としては考えていきたい」と答弁している。
   政府は、有珠山噴火の際には物損とともに営業被害も考慮に入れた特別措置を講じたが、大島の場合@全島避難等による営業被害を考慮に入れたのか。Aその営業被害額はいくらと把握しているのか。Bあるいはもともと考慮されていないのであれば、その理由について説明されたい。
 2 民宿・旅館等観光業における営業被害が私の指摘したような甚大なものである以上、先の国土庁長官答弁に基づき、速やかに有珠山噴火の際と同様の救済措置を講じるべきであると考えるがどうか。
四 今回の噴火災害で乗馬組合の馬方三十九人が職を失つたが、現在失業保険認定を受けている六十六人をはじめ、観光の落込みによる潜在的失業者はかなりの数にのぼると見られている。大島町の求職者の斡旋窓口となつている飯田橋公共職業安定所によれば、島内での求人は全くないため求職者から相談があつても斡旋ができないということである。島内における雇用機会の創出・確保は切実な問題であり、各種公共事業において島民が優先的、かつ安定的に就労できるよう、政府として特別の措置を講じるべきであると考えるがどうか。
五 全島避難の際、親戚等へ避難した縁故避難者について、政府は昨年十二月四日の衆議院災害対策特別委員会で、「親戚等へ避難されておられる方の問題でございますけれども、私どもは、食品の給与とか日用品の支給、また学用品の支給等につきましては、そういう方々に対しても同様に取り扱うように当局の方に指導していきたい」と明確に答弁しているが、今日なお四千人に及ぶ縁故避難者に対して食品の給与等は行われていない。しかも、給与が行われていない事態に対して、大島町長は「物品的な損失は我慢、各個人には悪いと思いますが我慢していただく……国とかの指導も大体は何とかそうしていただきたいということでございますから、一つ我慢していただくということ以外ないと思います。それから、自主避難者についてでございますけれど、……やはりこれも国や都の指導でございますけれども、やはり今のままでしか考えられない」(昭和六十二年一月二十八日臨時大島町議会)と答弁し、縁故避難者について災害救助法による各種給与・支給を行わないよう政府の指導があつたとしているが、このような事実があるのか。また、そのような指導を行つたとするならば、その根拠について説明されたい。
  さらに、今日までこれらの給与・支給が行われていない縁故避難者に対してなんらかの措置を講じる考えはあるのか、説明されたい。
六 活動火山対策特別措置法に基づく避難施設緊急整備事業の一つとして元町港の改修が行われるが、同港の船客待合室は東海汽船の所有するもので、老朽化が著しい。
  住民、観光客の集中する元町地区に退避こう等の施設がないことから、避難施設を兼ねた船客待合室の新設が島民から強く求められている。東京都は将来計画として新たに船客待合室を建設することを検討しているが、この際、避難施設緊急整備事業として元町港の改修と併せ、船客待合室の早期実現を図るべきであると考えるがどうか。
七 帰島に伴う安全対策として、気象庁大島測候所・東京都大島支庁・大島町役場・警察署・東大地震研の相互間にホット・ラインを整備したとのことであるが、これらはNTTの回線によるものである。これらの機関のうち気象庁大島測候所を除いては既に無線機が設置されている。この際、大島測候所にも無線機を設置し、NTT回線に万一事故が起こつた場合には相互に無線連絡ができるようにすべきであると考えるがどうか。
  また、新たに設置された各種の観測機器も一部を除いてすべてNTTの回線によつてテレメータ化されているということであるが、島民の安全のために現地で昼夜を分かたず観測に当たつている測候所の職員からは、「大島のNTT回線は島内を周回していないために予備回線がなく、万一再噴火時に回線の一部が切れると観測データが集中されなくなり、噴火の動向を判断できなくなる危険性がある」との強い不安が指摘されている。
  従つて予備回線の新設、あるいは観測機器の無線化が必要であると考えるがどうか。

 右質問する。





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