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昭和六十二年四月十七日提出
質問第三一号

 平和相互銀行の馬毛島工作資金に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年四月十七日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




平和相互銀行の馬毛島工作資金に関する質問主意書


 私は、去る四月六日の衆議院決算委員会において、平和相互銀行(以下「平相」という。)の依頼を受けた元右翼の豊田一夫氏が、防衛庁が導入を検討している超水平線レーダー(以下「OTHレーダー」という。)を同行の関連会社が所有する馬毛島に設置させようと多額の資金をもつて、政界工作を行つたのではないかとの問題を取り上げたが、政府側の答弁は極めて不十分であつた。そこで、再び本件を衆議院予算委員会で取り上げる予定であつたが、残念ながらその機会を得ることができない状況となつた。この際、改めて馬毛島OTHレーダー基地工作をめぐる真相解明のため、次の質問をする。

一 先の決算委員会において、私は六十二年度防衛庁予算にあるOTHレーダーの調査費六百万円に関連し、同レーダーの候補地として馬毛島の調査を行つたことがあるのか、また防衛庁の内部資料として、各候補地の採点表が存在するのかどうか質問を行つた。これに対する政府の答弁は、
 栗原国務大臣「(前略)これを導入するかどうかということはまだ決めておりませんし、いわんやどこそこに設置をするというようなことについては一切検討しておりません」
 西廣政府委員(防衛局長)「(前略)公式の資料としてそのようなものは存在いたしません」
 とあり、同レーダーの候補地の調査、検討を否定した。ところが、(採点表に)類似するものはあるのかとの再度の問いに対して、
 西廣政府委員「(前略)それ以外は空中なり地図上でこういうものがあり得るというものについては一応当たつております」
 と答弁し何らかの調査、検討を行つていることを示唆している。政府の統一見解を求める。
二 そこで改めて質問するが、防衛庁はOTHレーダー設置に関し複数の候補地について検討したことがあるのか、ないのか答えられたい。
三 その際、OTHレーダーの設置場所を一ヵ所とするものと二ヵ所にするものの二つの案を検討したことがあるのかどうか伺いたい。また、あるとすればいずれの案を優先するのか、併せて明らかにされたい。
四 私は、先の決算委員会において「巨悪は眠らせない」との姿勢を貫く検察当局が「馬毛島工作資金が動いた」との供述調書を得ながら、何故その日に捜査の終結宣言を行つたのかとただした。これに対し岡村刑事局長は「(前略)ただ問題は、やはり証拠関係いかんということが一番の問題でございまして、証拠が集まるかどうかということ、これがやはり起訴できるかどうかということにつながつてくるわけでございます」と答えているが、私の質問は、その証拠を得るための努力を何故しなかつたのかと、積極的行動を求めたものである。重ねて言うが、被告から馬毛島工作資金を認める調書を取つた日に、捜査打切り宣言をする検察の姿勢に、国民は極めて納得しがたいものがある。証拠の収集を何故打ち切つたのか、当局の見解を求める。
五 検察官は、それぞれが独立の官庁であるが、同時に同一体として動くものとされる。このため、捜査について最終決定をする場合、主任検事は検事正、検事長、検事総長など上司の決裁を受けるものと聞いている。本件の捜査終結宣言は、検事総長を始めとする上司のどのような決裁を経たものであるか、明らかにされたい。
六 麻薬取引、とばく等からの違法所得でも「所得あるところには課税有り」というのが、税務当局の基本的態度と聞いている。検察当局は、平相からの工作費が流れたという供述がある以上、徹底した追及をすべきである。仮に豊田一夫氏が、平相並びに太平洋クラブから馬毛島工作資金として受け取つた二十億円のうち、同氏がその一部を報酬として受け取つているにもかかわらず所得申告をしていなかつた場合、その報酬部分について所得税法違反として刑事訴追できる対象となりうると考えられるが、一般論として答えられたい。
七 昭和五十九年五月、六月に平相は、豊田一夫氏に十億円を渡しているが、この金は、同行の内部資料によると豊田氏の東京都小平市の土地・家屋を担保に融資をしたとされるが、私が先の決算委員会で登記簿謄本をもつて指摘したごとく同物件には、本年三月三十日現在まで担保設定された事実はない。かかる融資について、同行の検査を行つた大蔵省銀行局の検査結果を報告されたい。また銀行局は、この融資について金融機関の健全性確保の上からどのような指導を行つたのか、その内容を明らかにされたい。
八 平相の乱脈融資は、多くの国民の金融機関に対する信頼性を失墜せしめた社会的大事件である。しかも平相の稲井田元社長は公判廷で「経営内容は変つていないのにいつぺんに優良銀行になつた。大蔵省検査では提出した書類をそのまま通してくれた。(中略)政治力を使つたと思う」と述べたと報じられている。銀行局の検査姿勢に疑義を感ぜざるを得ない。大蔵省の見解を求める。
九 平相並びに関連会社である太平洋クラブが、馬毛島工作資金を豊田氏なる人物に渡したが、次の各項について、課税対象となるのか、ならないのか、一般論として当局の見解を求める。
 1 平相などが、馬毛島工作資金を豊田氏に渡したが、それは豊田氏の借入金として仮装されたもので、実際は返済義務のないものであつた場合。
 2 当初は豊田氏の平相などからの借入金であつたが、ある時点で返済義務が次の理由で消滅した場合。
  イ 政界工作の報酬とした場合。
  ロ 豊田氏に返済能力があるのに、平相などが債務を免除した場合。
 3 豊田氏が平相などから馬毛島工作についての報酬(着手金・成功報酬)を含んで金銭を受領した場合。
 4 豊田氏は単なる仲介人であり、金銭は素通りしたが支払い先を明らかにしない場合。あるいはそれを証明できない場合。
十 宮澤大蔵大臣は、先の決算委員会で「(前略)平和相互銀行は、合併に当たつて所有する債権全体について洗い直しをいたしまして、償却すべきものを償却したというふうに聞いております」と答弁している。先にふれた融資の形をとつた政界工作資金は、この償却したものの中に含まれるのかどうか、国民的批判を浴びた問題であるだけに金融機関の健全性確保の立場から明確に答えられたい。
十一 平相などが、豊田氏に渡した金を償却しているとすれば、貸倒損失として損金扱いになるのかどうか。また、その間の未収利息についての課税関係はどう処理されるべきか、一般論として問う。

 右質問する。





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