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昭和六十二年九月十九日提出
質問第四一号

 沖縄の「空の安全確保」に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年九月十九日

提出者  上原康助

          衆議院議長 原 健三郎 殿




沖縄の「空の安全確保」に関する質問主意書


 さる七月二十三日、沖縄南方海上において自衛隊機のミサイルによると推量される「第1・一徳丸被弾事件」が発生した。続いて七月二十七日、沖縄の久米島北方海上において米軍機の投下した模擬爆弾によつて乗組員の一人が右腕切断の重傷を負う「ポメックス・サガ号被弾事件」が発生した。
 このことは、沖縄の陸上、海上そして空域までもが、軍事演習の激化に伴う事故が頻発していることを実証している。
 大量輸送機関である航空機の絶対安全飛行は、いかなることにも優先させて確保されるべきである。しかしながら、沖縄本島を中心とする空海域は米軍および自衛隊の軍事演習、嘉手納ラプコンの米軍管理、那覇空港の軍民共用等の悪条件が重なつて、民間機の安全飛行や船舶の安全航行に極めて危険な環境下におかれている。
 これらの悪条件を早急に除去すべき観点から次の事項について質問する。

一 「第1・一徳丸被弾事件」について
 1 事件発生当時の概要について明らかにされたい。
 2 現在までの詳細な調査結果について明らかにされたい。
二 「ポメックス・サガ号被弾事件」について
 1 事件発生当時の概要について明らかにされたい。
 2 現在までの詳細な調査結果と、今後の事件再発防止策について明らかにされたい。
三 嘉手納ラプコンについて
 1 いわゆる「嘉手納ラプコン」が、いまだに日本側に返還されない理由を明らかにされたい。復帰時の日米合意文書の全文、返還する場合のプロセスについて併せて明確にされたい。
 2 嘉手納ラプコンにより、那覇空港に離発着する民間機の安全性が妨げられていることは、数多くの関係者の証言により明白である。
   たとえば、那覇空港から出発する旅客機は、出発してから約二十四キロの時点までは、普天間、嘉手納基地への米軍機の進入コースを妨げないために、千フィートの高度で飛行することを余儀なくされている。千フィートといえば約三百メートル。航空機の離陸は、パワーを全開して巡航高度まで一挙に上昇することが安全運航上必要とされる。ということは、政府は現在、那覇空港を利用する数多くの県民や観光客に対し、非安全的なことを押し付けているということになる。この指摘について政府の所見を問う。
 3 運輸省は嘉手納ラプコンを日本に移管しても、航空管制能力、技術面で何等支障をきたさないことを国会においてしばしば答弁してきたが、その点確認できるか。
 4 しからば「日本国政府がこれら飛行場のレーダー進入管制業務を行うまで暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務を実施するものとする」(日米合同委の合意文書)で述べられている米軍実施の暫定期間にピリオドを打ち、嘉手納ラプコンを日本側に即刻返還すべきではないのか。
   いつたいいつまで暫定期間は続くというのか。復帰十五年が経過しても、いまだ暫定期間というのか。
 5 さる八月二十一日の衆議院外務委員会で外務省渡辺審議官は嘉手納ラプコンの返還問題について、大要“日本側が能力を備えた段階で改めて日米間で調整する”、“必ずしも日本側に返つてくるとは考えていない”、“嘉手納飛行場は米軍にとつて重要なので進入管制業務の移管は困難”と答弁を行つている。復帰時の日米合意から十五年が経過し、嘉手納ラプコンの日本への返還について米側が難色を示すや、外務省は米軍優先の立場に立つて、日米間の約束を反古にしようと画策したものと断ぜざるを得ないがどうか。
 6 一九八四年四月十二日の衆議院内閣委員会で私の質問に対し当時の運輸省山本航空局長は、大要“進入管制業務については、日本政府に引継くことが基本的な合意である”、“私たちとしては、この合意というものがあり、日本の管制でもつて一元的に将来は日本の空をカバーしていかなければならない”と明確に述べている。
   であれば、5で述べた外務省審議官の答弁と、この航空局長の答弁は明白に食い違つていると言わざるを得ない。この問題に関する政府の統一見解を明確にされたい。
 7 同じく一九八四年四月十二日の衆議院内閣委員会で私の質問に対し当時の細田運輸大臣は、嘉手納ラプコンの返還問題について八三年末に実務者レベルで米側に申し入れたことを初めて言明された。これとの関連で、さる八月二十七日の参議院運輸委員会で橋本運輸大臣は、米側は「慎重に検討する」と約束しながら四年後の今日まで回答がない、ことを明らかにしている。政府は、なぜ米側に検討結果を求めないのか。また実務者レベルでなしに、大臣レベルの公式申入れを早急に行うべきであると考えるがどうか。
 8 この際、嘉手納ラプコンの概要について説明されたい。那覇空港に離発着する民間機が嘉手納ラプコンによりどのような制限を受けているのか、図を用いて明確にされたい。
四 訓練空域の縮小撤廃について
 1 沖縄をはじめ、日本全国の空を覆うように設定されている米軍および自衛隊の訓練空域の現状はどうなつているのか。それぞれの空域名、面積(平面)、位置、領海空等区分、使用目的、使用時間、制限高度等について明確にされたい。
 2 那覇管制部のレーダー覆域の約四十%が米軍の訓練空域といわれるがどうか。米軍および自衛隊の訓練空域の同レーダー覆域部に占める割合を明確にされたい。
 3 いわゆる「アルトラブ」は航空路図にも載らず、米軍の要請に応じて随時、設定される幻の訓練空域といわれ、その設定件数は、年間約千件にのぼるというが事実か。
   アルトラブの定義、設定位置、使用目的、年間件数の過去五年間の推移等について明確にされたい。
 4 かかる訓練空域やアルトラブにより、民間機の安全性、定時性、経済性等がことごとく損なわれている。直ちに縮小、撤廃すべきではないのか。これまでの日米間における交渉の経過について併せて明確にされたい。
 5 とりわけ、伊江島空域(W178)の撤廃は、伊平屋、伊是名の空港設置の面からも急くべきではないのか。また、同空域を民間機が通航できるようになつたが、この措置は十分に機能しているか(元に戻つているとの指摘もあるが)。
五 かかる嘉手納ラプコンや訓練空域およびアルトラブなどの諸問題について対処する日米間の協議機関を設置し、検討を急くべきであると考えるがどうか。
六 那覇空港の民間専用化について
 1 全国の軍民共用空港の空港名、総発着数、民間機と軍用機の発着割合、乗降客数等について明確にされたい。
 2 那覇空港を民間空港として返還することは、復帰の目玉商品であり政府の公約であつた。沖縄振興開発計画のなかでも、民間空港として整備拡充することを明記してある。
   那覇空港では自衛隊機による事故も続出している。特に、八五年五月に発生した滑走路上における全日空ジャンボ機と自衛隊機の接触事故は、一歩誤れば大惨事になる実に戦慄すべき事故であつた。
   従つて、那覇空港の軍民共用を廃止し、民間専用空港を実現することは政府の航空行政の最優先課題であると考えるが、どうか。

 右質問する。





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