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昭和六十二年十二月八日提出
質問第二号

 北海道電力等の料金改定に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年十二月八日

提出者  児玉健次

          衆議院議長 原 健三郎 殿




北海道電力等の料金改定に関する質問主意書


 暫定料金の期限切れを目前にして、北海道電力(以下「北電」と略す。)、北海道ガスなどが提出した料金改定の申請書は大きな問題を含んでいる。
 北電の申請内容を見ると、電力需要の過大見積りによる異常な資本費の膨脹、円高・原油安による膨大な内部留保の温存、燃料費の過大積算、灯力格差の拡大など低廉化に期待する国民の世論に応える内容になつていない。
 暮しに欠かせない電気、ガスは公益事業、公共料金として適正な運営、料金引下げが求められている。
 政府は、申請内容について一般家庭、中小業者、農漁民など道民の立場に立ち、厳正な査定を行うべきである。
 以下、具体的に質問する。

一 北電の申請書の総括原価表によると、資本費(減価償却費と事業報酬)を四〇%アップと過大に見積り、総括原価の値下げを五%台に抑え込んでいるのは不当である。
  減価償却費は六百三十億円としているが、低成長時代に見合つた定額法に戻すことによつて大幅に縮減させることができる。また、事業報酬(七百六十億円)には原発など建設中の資産、核燃料等も含めているのは不当である。さらに、報酬率七・二%は高すぎると考える。
  以上について是正するよう指導すべきではないか。
二 現行料金査定単価は一KWH当たり八・八円であつたが、円高・原油安の急激な進行によつて、六十一年度の実績で五・三円にとどまり、購入電力料も含めた燃料費差益は八百六十億円にのぼつている。この間、消費者に還元された差益は二百四十億円にすぎない。その一方で、北電は内部留保を積み増し、退職給与引当金、原価変動準備金、原発償却準備金など、すでに八百億円を超えている。
  今回の料金改定において、この是正を図ることが求められている。
 1 円高・原油安の差益、不当に積み増しした内部留保は全額消費者に還元し、電気料金の大幅な値下げを指導すべきではないか。
 2 原価計算で退職給与金四十四億円を計上しているが、これは、退職給与引当金での充当が可能であると考えるがどうか。
 3 また、その他経費を四五%増の四百二十億円と計算しているが、経済企画庁の諸物価の値上がり率(九%)からみて過大ではないか。
 4 燃料費は、八六年度より三十七億円縮小されているが、C重油トン当たり二万六千四百円は、八六年度実績二万千五百円からみても過大ではないか。
三 今回の改定の一つの特徴は、大口電力の引下げ幅を大きくし一般家庭用電灯の引下げ幅を低く抑え、灯力格差を拡大していることにある。
  今回の申請では、一般家庭で月六十二円しか安くならず、電灯と大口電力の格差は現行の一・七対一から一・九対一にさらに拡大している。これは、「家庭における生活必需的消費量について比較的低廉な料金を設定することにより、高福祉実現の一端を担うことが今後の電気事業の基本方向」(電事審七四年三月)との公共料金の在り方にも反し、不公平を拡大するものである。
 1 料金体系は、大口需要家の負担を軽減するのではなく、割高になつている家庭用、中小企業用、農業用などを大幅に引き下げるべきであると考えるが、どうか。
 2 さらに、社会福祉施設や生活保護世帯などに料金を割り引く福祉料金制度を導入するよう指導すべきであると考えるが、どうか。
四 申請書の事業収支見積りによると、八七年度販売電力量百七十億KWH、九二年度は百九十億KWHと拡大するとされているが、八七年度前期中間決算ではマイナス一・五%を記録し、とくに大口電力は前年度比一六・五%も落ち込んでいることから見ても、初年度から狂いが生ずることは避けられない。
  北電は、八二年の施設計画で八六年の販売電力を二百十六億KWHに増大すると見ていたが、増えるどころか百七十億KWHにも達していないのに、電源設備は過大投資によつて五百三十七万KWにまで到達している。
 1 電事審需給部会は十月二日、需給見通しを下方修正したが、これでもまだ過大であるとの批判が出ている。これに見合つて、北電の過大な設備計画を縮小し、資本費等の縮減を図るべきであると考えるが、どうか。
 2 北電の設備投資費の六〇%以上が原発工事に向けられている。
   仮に九六年度、最大需要電力が四百三万KWに増えたとしても現在の電源設備で十分であり、泊原発建設の必要性が喪失したことは隠しがたくなつている。不要な泊原発計画を中止させるべきではないか。
五 北電は、石油ショック時も含め地域石炭産業や国内炭火力発電所と一体となり発展してきたのであるが、昨年からまだ十分使用できる内陸火力発電所の休廃止を相次いで進めている。計画では十年間で七十七万KWの内陸火発を中止することになつている。これが実施されると、江別は全廃、奈井江も半減し、地域経済に打撃的な影響を及ぼすと同時に、道内炭の需要減に直結するものである。内陸火発の休廃止計画の見直しを指導すべきであると考えるが、どうか。
六 北海道ガスは、暫定料金より四・一五%引き下げる申請をしたが、引下げ原資はわずか十一億円にすぎない。
  北海道ガスの八六年度決算による経常利益は五十一億円、別途積立金の累積は九十五億円にものぼつている。これは、円高・原油安還元の不十分さを示すものである。
  現行料金はブタン一キロ百九円で積算されているが、購入実費は、四十円強にすぎないなど、円高・原油安によつて八六年度だけで六十六億円もの差益が発生しているにもかかわらず、差益還元は二十七億円しか行われていない。
  今回の料金改定において、徹底した査定を行い、差益の全額が還元されるよう指導すべきではないか。
七 北海道ガスの申請によると、月六十立方メートル消費の四人家族の場合、月八十九円の引下げ(一・五八%)にすぎないのに、月三千五百立方メートル使用の中規模ビルは一七・七%も引下げとなる。明らかに、大口需要家優先であり、従来の大口に安く家庭用に高い料金格差の不公平をさらに拡大するものである。このような料金体系の改悪をやめ、一般家庭の引下げ幅を拡大し、負担を軽減するよう指導すべきではないか。

 右質問する。





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