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昭和六十三年二月二日提出
質問第六号

 桜島火山対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十三年二月二日

提出者  安藤 巖  藤田スミ

          衆議院議長 原 健三郎 殿




桜島火山対策に関する質問主意書


 桜島の火山活動は一九七二年から連続して大規模な爆発や火山灰、火山ガスの噴出を続けており、住民の生命、生活を脅かし、農業などの産業にとつても重大な障害を与えている。昨年は、かなり活動が弱かつたが、それでも一〇六回の爆発を記録し、噴石による家屋や車への直接の被害も約三〇件に上つており、ひつきりなしの降灰に市民、県民が悩まされている。火山活動はエネルギーの蓄積・放出の過程として「当分活動が止むという状態にない」(京大桜島観測所)といわれており、火山対策の強化は極めて重要である。現在、活動火山対策特別措置法により各種の防災対策が行われているが、昨年我が党が行つた現地調査によると多くの問題点が明らかになつている。
 「火山と人との共存」などともいわれているが、それは緊急時対策はもちろん、日常の降灰除去の徹底や、営業が成り立つ万全の手だてを取つてこそ可能であり、住民犠牲を前提とするものであつてはならない。桜島火山対策は、火山国である我が国にとつて全国的にも貴重な経験・実績となるものであり、政府の抜本的な対策強化を求めて、以下の点を質問する。

一 降灰対策の徹底
 @生活や営業の障害となつている降灰対策は特に道路の灰の除去が重要であり、交通事故防止にとつてはもちろん、健康問題にも密接にかかわつている。散水車、ロードスイーパーを増強し、豪雪地帯で出勤前に除雪を図るように、徹底して降灰除去を行い、そのためにも雪寒道路法のように県管理の道路にも補助をし、機械整備にも三分の二以上の補助をすべきではないか。
 A学校のグラウンドは、現在活火山法による降灰除去の対象になつていないが、速やかに対象に加えるとともに、グラウンドの降灰除去のための効果的な機械を開発・整備し、教職員、児童・生徒の負担を軽減すべきではないか。
 B学校、保育所など教育施設、社会福祉施設の降灰防除対策において、環境維持のための空調施設の電気料等の維持費が大きな負担になつている。国からの財政的措置も含め降灰防除施設の運用に支障がないよう必要な手だてを講ずるべきではないか。
二 所得税の雑損控除の改善
  家庭における手押式の降灰除去機購入を雑損控除の対象と認めるべきではないか。また、災害等における雑損控除は現在五万円を超える損失額から適用されているが、これを三万円に引き下げ、救済措置を拡充するべきではないか。
三 健康対策
  農業者に対するあるアンケート調査では、降灰時の農作業後に七割の人が肌荒れを訴え、半数がのど、目の痛みを訴えている。また小・中学生の健康診断でも降灰の影響が指摘されている。仙台市が一九八六年にまとめた道路粉じん健康影響調査によると、人肺の汚染は鹿児島市が他の都市より特に進んでいることが明らかにされている。しかし、現在、国による火山性ガス、火山灰が人体に及ぼす影響についての研究は行われていない。国による調査・研究を継続的に実施し、必要な健康対策を講ずるべきではないか。
四 防災営農対策
  鹿児島県は「克灰農業すなわち施設化である」としてビニールハウスなどに力を入れている。
  農民は、降灰で余儀なくされた施設化のためにビニールへの補助を切望しているが、政府は初めの一回補助するのみで、張り替え補助はごく激甚な地区にしかも一回だけ行つているに過ぎない。ビニール張り替えの補助を強化し、「克灰農業」を促進させるべきではないか。また、生産組合等への新規加入者もビニール補助の対象にすべきではないか。
五 公共事業対策
  活火山法では、避難施設整備として道路、港湾等の整備を進め、降灰、土石流等による災害防止として治山治水対策の強化を掲げているが特別の補助は実施されていない。常時の爆発、降灰などの状況を踏まえ、桜島等の活火山の周辺においては地域的な補助のかさあげ措置を講ずるべきではないか。
六 観測、研究対策
  桜島の観測、研究の強化のためにも大学(京大、鹿児島大など)や気象官署の体制を強め、機器の整備、更新に努めるべきではないか。そのために予算の増額、人員の配置増を行うべきであるがどうか。
  また、噴火の動静を機敏にとらえた火口の観測、調査のためにも、自前の航空機を持つ必要性が関係者から訴えられているが、気象庁に観測用の航空機を配備する考えはないか。

 右質問する。





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