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昭和六十三年七月二十一日提出
質問第二号

 陸上自衛隊施設学校の爆破訓練場建設に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十三年七月二十一日

提出者  柴田睦夫

          衆議院議長 原 健三郎 殿




陸上自衛隊施設学校の爆破訓練場建設に関する質問主意書


 防衛庁は、茨城県勝田市にある陸上自衛隊施設学校の爆破訓練場建設のために、住民の反対を押し切つて、同県西茨城郡七会村塩子字岩谷地内三三ヘクタールにおいて、この工事を続行中である。
 もともとこの地域は、那珂川水系に属し豊かな自然資源に恵まれたところで、御前山県立自然公園に指定され、遊歩道が走り、絶滅寸前の状態にあるオオタカをはじめ、近くを流れる相川付近にはカワセミなどの珍鳥も生息している。周辺は、御前山特別鳥獣保護区域等に指定されている。
 このような地域に建設する爆破訓練場は、施設学校に入校する隊員の橋梁、陣地等を爆破する技量を一層高め、ひいては、陸上自衛隊施設科部隊、いわゆる工兵部隊の戦闘機能を強化しようとするものである。
 県立の自然公園のなかに、しかも、自衛隊の戦闘力増強につながる爆破訓練場を新設することは、絶対に容認できない。
 私は、爆破訓練場建設の即時中止と撤回を強く要求する立場から、以下の点について質問したい。

一 自然公園法第一条は「すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図」るとある。また、自然環境保全法第二条は「自然環境の保全は、人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないもの」と規定している。
  自然公園法並びに自然環境保全法の理念、趣旨からいつて、県立の自然公園に指定された地域内に爆破訓練場を建設することは、許されるのか、いつたいどのような根拠と理由に基づくのか、今後もこのようなことが可能だということか、これらについて説明されたい。
二 爆破訓練場は、地元住民の反対を無視して強行している点でも重大である。現に、この建設をめぐつてと思われるが、反対派の住民が、殺人未遂、放火にあうという事件まで起こつており、警察が捜査中である。こうしたなかで、住民の間では、「自衛隊が建設工事をなりふりかまわず強行している」と怒りの声が広がつている。また、住民のなかには、爆破訓練場の建設と事件との関連性を指摘する声もある。
  事件発生後、二年余を経過しているがいつこうに捜査の進展が見られない。捜査状況は、どうなつているのか報告されたい。
三 昨年二月十四日、東京防衛施設局長、自衛隊施設学校長、茨城県西茨城郡七会村村長は、茨城県知事を立会人として爆破訓練場の設置、使用に関する協定を締結した。
  重大なのは、防衛施設庁が「協定当事者の意向を聞いたうえで」という口実で、事実上、その協定全文を住民に公表することを拒否してきたことである。地元関係者の話によれば、防衛施設庁は、村当局に対しても、協定全文の公表を差し控えるようにいつていたということを聞いている。そして、村の掲示板には、「陸上自衛隊施設学校訓練場に係る協定書関係資料(要点)」なるものが貼り出されただけである。協定全文が公表されたのは、工事着工後一ヵ月経つた昨年の十月八日である。しかも、関係住民への自衛隊側の説明は、二回簡単に行われただけである。
  こういうことが、地元住民の理解と協力を得ていることになると政府は考えているのか。
四 公表された協定そのものは、極めて簡単かつ抽象的な内容である。これ以外に、村当局との間に文書あるいは口頭による詳細な約束、取決めがあるのではないのか。もし、あるとすればそれを公表されたい。
五 協定は訓練内容について、「火薬類を使用する小規模な基礎的訓練」と記すだけで具体的な訓練内容については明らかにされていない。
  爆破訓練とは、橋梁やトーチカの爆破、さらに、地雷源の爆破等も行うのか、その中身を詳細に明らかにしていただきたい。
六 また、「築城等の一般訓練」とあるが、それは、橋梁の架設、陣地構築などを行うのか、その内容を具体的に明らかにされたい。
七 協定によれば、訓練日数について一般訓練を百日、火薬類を使用する訓練は百十日とするとある。一年三百六十五日のうち二百十日の訓練、しかも、百十日が爆破訓練ということである。一日の訓練時間は、何時から何時までか。また、火薬の種類、使用量、使用方法について明らかにされたい。
八 協定は、「自然環境等の保全」について「自然環境の保全に努める」とある。県立公園のなかに爆破訓練場をつくり各種の爆破訓練を行うこと自体、自然環境を破壊することになる。どうして、自然環境を保全できるのか、具体策を示されたい。
九 さらに、協定では「住民の安全」について、「住民の生命、身体及び財産に対し損害を与えないよう十分配慮する」とある。
  しかし、爆破訓練場における住民の安全対策はいうまでもなく、弾薬類の運搬の際の安全上の措置についてもなんら具体的に説明されていない。地元住民は、爆音、危険性、河川の汚染、土砂の流出等について危惧を表明している。
  以上、指摘した点について具体的にどのような対策を講じるのか、詳しく説明されたい。
  また、火薬、弾薬類の搬入路について、当該県道を拡張するやに聞いているが、計画並びに段取りを明らかにされたい。
十 先に指摘した村の掲示板に貼られた「協定書関係資料(要点)」には、「訓練場周辺の生活環境整備については、東京防衛施設局長及び茨城県から次の事業にたいする助成等の確認を得ている」として次の事業があげられている。
 @ スポーツ施設(体育館、水泳プール、照明設備等)
 A 無線放送施設
 B 水道(塩子地区)
 C 農業用水施設
  防衛施設庁は、七会村当局との間に、これらの事業について助成の約束をしたのか。約束をしたとすれば、その具体的内容及び予算措置を明らかにされたい。
十一 茨城県内において、防衛施設庁は、陸上自衛隊施設学校独自の爆破訓練場を確保するために候補地を探してきた。しかし、住民の強い反対運動によつて、同県の高萩市、十王町などでは、爆破訓練場建設を取りやめている。これは、当然のことである。
  今回の七会村塩子地区の爆破訓練場建設については、住民が、強く反対しているにもかかわらず強行したのである。防衛施設庁は、今月中にも、第二期工事を開始する旨の通告を村当局にしてきた。これは絶対に認めることはできない。
  爆破訓練場の建設について再検討すべきと考えるがどうか。

 右質問する。





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