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昭和六十三年十二月二十一日提出
質問第三二号

 パレスチナ問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十三年十二月二十一日

提出者  松本善明

          衆議院議長 原 健三郎 殿




パレスチナ問題に関する質問主意書


 十二月十四日、アラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長が行つた声明で、PLOが、国連決議一八一、二四二、三三八の三つを受け入れたこと、あらゆる形のテロを拒否すること、すべての問題を中東和平国際会議で討議すべきことを明らかにし、「我々の生存はイスラエルの生存を奪うものではない」ことを強調した。これに対して、レーガン米大統領は同日、「PLO代表との間で実質対話」に入ることを米国務省に指示した、と声明した。シュルツ国務長官はこの声明を受けての記者会見で、「米国は独立パレスチナ国家の宣言を承認しない」との立場を繰り返したが、大統領声明は、レーガン米政権が過去八年間パレスチナの正当な代表であるPLOを排除した中東政策を追及して、何等の成果も上げ得なかつたばかりか、最近では国際的な孤立が明らかになつてきたことによる一定の修正を余儀なくされた結果である。他方で、PLOの側も、先にアルジェで開かれた最高意思決定機関であるパレスチナ民族評議会(PNC)で、国際世論の共感を広げることができるような方針を一層鮮明にしたという要因もある。
 日本共産党は、これまで@イスラエル軍のアラブ占領地域からの全面撤退、Aパレスチナ・アラブ人の独立国家樹立を含む民族自決権を承認し保障することが中東問題解決の基本と主張しつつ、PLOの側もイスラエルの国家的存在の承認を明確にしてこそ侵略に反対しパレスチナ人民の自決権を擁護するその闘争に国際的な道理と妥当性をより一貫して与えると指摘し、同時に一般市民を対象としたテロ行為に賛成しない立場を表明してきた。
 以下パレスチナ問題について質問する。

一 十一月十五日、PNCはパレスチナ国家樹立宣言を行つた。現在、世界の五十九ヵ国が国家を、五ヵ国が宣言を承認し、また、これまで国連で用いられてきた「PLO」の呼称を今後「パレスチナ」と変更するなどを内容とする国連総会決議案が、十二月十五日ジュネーブで百四力国の賛成で採択された。これは「パレスチナ独立国家」が国際社会において認知されたことを意味している。今やPLOは国際的支持を受けつつある。政府は、これまで独立国家を含むパレスチナ人の民族自決権尊重を政策にしてきたが、今回のアラファトPLO議長の声明によつてPLOの独立国家として承認する上での障害は取り除かれたはずである。今こそ政府はパレスチナ国家を承認する時期だと考えるが、その意思があるか明らかにされたい。
二 右の国連総会決議に対し日本政府は棄権の態度をとつた。その理由を明確にされたい。
三 十一月八日行われた日本パレスチナ議員連盟主催のPLOカドウミ政治局長歓迎昼食会の席で、同局長並びに伊東正義同議連会長は、竹下首相がPLOに対し「政治的、文化的、経済的に支援する」ことを約束した、と述べたが、政府は具体的にどのような支援策を講じようとしているのか明らかにされたい。
四 PLOの東京事務所は一九七七年に開設されて以後、外国企業の東京事務所と同様の扱いのままいまだに外交特権などを供与されていない。十五日には宇野外相がPLOのモネム東京事務所代表と初めて会談した。PLOを独立国家として承認しない限り現在も今後も「外交関係に関するウィーン条約」に基づく種々の外交特権の一切を供与しないつもりか。それとも準外交特権というようなことを考えているのかどうか、明らかにされたい。
五 イスラエルのかたくなな態度が目立つており、国際世論の非難を浴びているが、宇野外相は日本の閣僚として初めて今年六月、イスラエルを訪問した。イスラエル側としては、「国際社会で認知されている」ことを印象づけ、孤立した態度を立て直し、日本との経済交流強化を図りたいとの思惑があつたはずである。宇野外相は、シャミル首相、ペレス外相と会談したが、そこで@イスラエルのパレスチナ人に対する行為は国際法と人道にもとるもので直ちに停止すること、A占領地からの速やかな撤退、Bパレスチナ人の民族自決権の尊重、その唯一の合法的代表として国際的に承認されているPLOを認めること、などを明確に述べたのか明らかにされたい。また経済交流強化について話し合われたのか、話し合われたのならば、その内容をつまびらかにされたい。

 右質問する。





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