衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成元年一月十三日受領
答弁第三二号

  内閣衆質一一三第三二号
    平成元年一月十三日
内閣総理大臣 竹下 登

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員松本善明君提出パレスチナ問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松本善明君提出パレスチナ問題に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 我が国は、中東和平問題の解決には独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権の承認が必要であるとの立場をとっており、昨年十一月にアルジェで開催されたパレスチナ民族評議会におけるパレスチナ国家樹立宣言の採択はパレスチナ人の長年の民族的悲願の意志表明として重要な意義を有するとの認識をもっている。
 他方、国家承認が行われるには、国家としての要件を充足していること、具体的には、一定の領域においてその領域に在る住民を統治するための実効的政治権力が確立していることが最低限必要であるが、政府としては現状では本件宣言が言及するいわゆる「パレスチナ国家」がかかる国家の要件を充足しているものとは考えていない。
 御指摘の国連総会におけるパレスチナ問題に関する決議案の採択においても、我が国はこのような考えに基づき棄権した。

三について

 昨年十一月八日カッドゥーミ・パレスチナ解放機構(PLO)政治局長との会談において竹下総理は、我が国として国際協力構想の下で平和維持、経済協力、文化交流の三分野に重点を置いて世界に貢献していくとの方針を伝えた。
 我が国は、パレスチナ問題が中東和平問題の核と認識し、中東和平はイスラエルが一九六七年戦争の結果占領したすべての地域からの撤退、独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権の承認及びイスラエルの生存権の承認により達成されねばならず、さらにパレスチナ人を代表するPLOが何らかの形で和平交渉に参加することが必要である、との立場をとっており、これまでかかる立場から関係国への働きかけを行ってきており、今後とも和平実現への関係当事者の和平努力に対し積極的に貢献していく所存である。
 また、我が国は、これまで国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を通じパレスチナ難民を対象とする現金拠出、食糧援助及びUNRWA職業訓練センターへの技術協力を実施し、パレスチナ人の民生安定に貢献しており、さらに従来のUNRWAを通ずる難民を対象とする援助に加え、本年度、西岸・ガザ地区のパレスチナ人の民生向上に資すべく、国連開発計画(UNDP)に日本・パレスチナ開発基金を設立し、右基金により西岸・ガザ地区の経済・社会開発プロジェクトの実現のため、現在具体的プロジェクト選定作業を進めているところである。

四について

 PLOを国家として認め得ない現状において、PLO東京事務所への外交上の特権及び免除を付与する考えはない。

五について

 宇野外務大臣は、昨年六月のイスラエル訪問の際に会談したシャミール首相及びペレス外相に対し、イスラエル政府が西岸・ガザにおけるパレスチナ人の蜂起については国際法及び人道にもとるような行為はとらぬよう申入れを行うとともに、中東和平はイスラエルが一九六七年戦争の結果占領したすべての地域からの撤退、独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権の承認及びイスラエルの生存権の承認により達成されねばならず、さらにパレスチナ人を代表するPLOが何らかの形で和平交渉に参加することが必要である、との我が国の立場を先方に明確に伝えるとともに、和平実現のためにイスラエルが柔軟な政策をとるよう勧奨した。
 同会談の中心テーマは、中東和平問題であり、経済関係については、一般的な形での言及にとどまったが、宇野外務大臣からは、今後アラブの隣人との平和裡の共存の道が開かれればイスラエルの発展も疑いなく、我が国との経済交流も拡大して行くであろう旨の一般的指摘が行われた。





経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.