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平成元年五月九日提出
質問第二一号

 蚕糸価格安定制度等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成元年五月九日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




蚕糸価格安定制度等に関する質問主意書


 私はかねてより蚕糸・絹業を取り巻く諸問題を繰り返し採り上げてきたが、農水当局はこれを無視し、抜本的な改革を行わず、ついに今日のような蚕糸行政における無政府状況を招いたことは極めて遺憾である。我が国の生糸価格は、昭和六十二年十二月より約一年半もの長期間にわたり、蚕糸価格安定法に基づく安定上位価格である一万六百円を超えたままという前代未聞の異常事態が続いている。その間、蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「蚕糖事業団」という。)は、生糸価格を安定価格帯内に引き下げるため、三十八回にわたる生糸の一般売渡しを行ったにもかかわらず、ついに一度も安定価格帯の中におさめることができなかった。これは、我が国蚕糸行政の根幹である蚕糸価格安定制度が需給調整機能を失い、破綻したことを示すものであり、制度に対する国民の信頼は裏切られたといえよう。このような事態を招いたのは、各方面からの度重なる提言を無視し続け、正常化に向けて実効ある措置を講じなかった農水当局の責任であることはいうまでもない。
 また一部の報道によると、当局は平成元年生糸年度より安定上位価格を一万三千九百五円に、安定基準価格をこれまでの九千八百円から一万七百十二円にそれぞれ引き上げると聞く。これは安定価格帯を大幅に超える現状に即しての措置と思われるが、これまで再三指摘したとおり、我が国の生糸価格は海外に比べ極めて高く、この措置により内外価格差は一層広がることになる。
 とくに蚕糖事業団については、臨調最終答申が、制度の抜本的検討を行うこと等を求めた外、会計検査院や衆議院決算委員会において数々の指摘を受けているはずである。時代とともに蚕糸・絹業を取り巻く環境が大きく変化する中、行政当局の蚕糸価格安定制度に対する改革は緊急の課題である。
 よって蚕糸・絹業の健全な発展を願う立場から以下の質問を行う。政府の誠意ある答弁を求める。

一 蚕糖事業団による度重なる生糸の一般売渡しにもかかわらず、生糸価格は、昨年六月に昭和六十三年生糸年度の安定価格帯が設定されて以来、ついに一度も安定価格帯内におさまらないまま年度末を迎える。このような異常事態は、そもそも安定価格帯設定に当たり、農水当局の見通しに誤りがあったからではないのか。率直に答えられたい。
二 当局が法に基づき安定上位価格を超えた高値を抑制できないのとは対称的に、当局の蚕糸価格政策の重要な柱である生糸の輸入制限をするいわゆる「一元輸入制度」は厳格に守られてきた。その結果、この「一元輸入制度」が生糸価格高騰の大きな要因になり、蚕糸価格安定制度が需給調整機能を失ったとの指摘がある。「一元輸入制度」は、国内生糸価格を保護するための政策であるが、法で定めるところの安定価格帯内に生糸価格をおさめることができないなら、この際、内外価格差の一因ともなっている「一元輸入制度」を撤廃すべきと考えるが当局の見解を求める。
三 蚕糖事業団の生糸一般売渡しは、蚕糸価格安定法に基づき上値抑制策として行われるものである。ところが平成元年二月八日に入札が行われた第三十六回売渡し分から、それまで設定されていた最低入札価格を二千円以上も引き上げたものがあり、安定上位価格を大きく上回ることになった。これは、結果的に上値抑制策を放棄したことになるが、このような水準に設定した理由は何か、明らかにされたい。
四 横浜・神戸の両生糸取引所では、生糸価格が高騰して本年二月末から連日ストップ高となり、取引がほとんど成立しない状態が続いている。更に、両生糸取引所の四月限納会においては、受渡し数量がゼロとなる異常な事態になったと聞く。当局は今後、正常な形にするためどのように対応をするのか、明らかにされたい。
五 横浜・神戸の両生糸取引所は、本年二月より市場正常化を図るべく、再三にわたり臨時の市場管理委員会及び理事会を開催したというが、市場の異常事態は一向に解消されていない。このような事態にもかかわらず、監督官庁たる農林水産省は、当然原因究明のため取引員に対し監査を実施しなければならないはずだが、それを行わない理由は何か、明らかにされたい。
六 佐藤農林水産大臣は、昨年九月と十一月の二回にわたる衆議院決算委員会における私の蚕糸行政に関する質問に「いやしくも相場によって政策が振り回されるようなことがないように(要旨)」と答弁しているが、そもそも先物取引市場の上場商品に、国が価格安定制度を作り需給調整を行い、輸入制限までしていること自体に無理があるのではないか。公正な価格形成により我が国の蚕糸・絹業が健全に発展するためには、現在の蚕糸価格安定制度や「一元輸入制度」を廃止・撤廃し、生糸の輸入自由化をすべきと考えるがどうか。またこれができないなら速やかに先物取引市場における生糸の上場廃止を検討するか、それに代る抜本的施策を採るべきと考えるが当局の見解を明らかにされたい。
七 商品先物取引において、委託者が取引によって得た利益を隠ぺいするため、過去に損勘定になっている他の委託者口座を利用している例があるが、国税当局はどのように対応しているのか、明らかにされたい。
八 商品先物取引の委託者に対し、過去において損勘定になっている他の委託者口座を課税逃れの目的で提供した取引員並びに営業担当者について、農水当局はそれぞれどのような措置を採るのか、一般論として答えられたい。

 右質問する。





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