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平成元年十二月十三日提出質問第一八号
輸入食品の安全検査に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成元年十二月十三日
提出者 岡崎万寿秀
衆議院議長 田村 元 殿
輸入食品の安全検査に関する質問主意書
国民の生命と健康にとって、毎日摂取する食品の安全確保の重要性はいうまでもない。とりわけ、この十年で輸入食品の件数が倍増して六十五万五千件になり、我が国の食糧需要量の約半分にもなっているもとで、その安全確保はすべての国民の強い願いである。アメリカの対日圧力によって、農産物の輸入自由化が進められ、そのうえ輸入された食品の監視が極めて不十分な状態にあるため、国民の不安はつのらざるをえない。
私は、過日、東京検疫所を訪れ、輸入食品の安全検査について調査を行った。その調査の結果、輸入食品の安全検査の抜本的な強化が急務であることが、改めて明らかになった。
輸入食品の安全検査を行う食品衛生監視員は、全国で八九名しかいない。東京検疫所が扱う件数は、一九八四年から八八年の五年間に約九万二千件から十四万件へと五〇%以上も増えている。ところが、監視員の数はこの十年で十名から十二名になったに過ぎない。この人数で一日で七百件の書類審査を行うわけであるから、臨検や試験検査が十分に行えるはずがない。
よって、次の事項について質問する。
1 輸入食品の安全検査体制をさらに強化することを政府の消費者行政の重点的急務とすべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。
2 東京検疫所では少なくとも四十名の人員をとの要望が出されている。国民の生命と健康を守るのは国の責任である。来年度予算で全国の食品衛生監視員の数を大幅に増やすべきだと考えるが、どうか。
3 輸入食品が増大するもとで、監視体制の強化のための中・長期計画を作成すべきではないか。
4 いまのように、書類審査を基本にしていては国民の不安は解消しない。安全検査をより確かなものとするためには、監視員を増やし行政による臨検検査、試験検査の比重を高めることが必要であると考えるが、どうか。
5 東京検疫所では事前相談の窓口をつくっているが、相談に当たるのは監視員である。監視業務以外には政府の責任で別途人員を配置し、監視員が自らの業務に専念できるようにすべきではないか。
二 残留農薬の安全検査について
1 政府はここ数年、残留農薬の基準作成のための実態調査の予算を計上してきた。この調査の内容、現在までの調査結果について明らかにされたい。
2 ポスト・ハーベストの残留基準の設定に当たって、現在の農薬残留基準が緩和されることは許されない。収穫後農薬の残留基準作成は、日本の農業生産や食生活の実績と伝統を踏まえ、自主的に行うべきではないか。
3 検疫所の検査機器の性能を高めるべきである。国民の不安にこたえる意味からも、すべての検疫所に、いま基準がない農薬についても検査できる機器をそろえ、研究を進めるとともに、その結果を公表するべきだと考えるが、どうか。
右質問する。