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平成三年三月二十九日提出
質問第八号

 不法滞在の外国人の医療費支払等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成三年三月二十九日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 櫻内義雄 殿




不法滞在の外国人の医療費支払等に関する質問主意書


 近年、観光目的である「短期滞在」や「研修」などの在留資格で我が国に入国し、滞在期間が切れても出国せず、不法に滞在している外国人が急増している。このような中で、不法滞在の外国人(以下「不法滞在者」という。)の医療費負担をめぐる諸問題が各地に起きている。通常、不法滞在者は健康保険に未加入で、病気になった場合、治療費は自己負担となっている。しかし突然、重篤な状態に陥り、高度な治療と長期入院が必要となった場合、本人が治療費を支払うことができないケースが発生している。
 最近の例として、不法滞在者が昏睡状態で、ある民間病院に搬入された。CTスキャナーで、クモ膜下出血と認められたため、緊急手術が必要となり、自治体の救急車で別の救急病院(脳外科)に転送。その病院で右破裂性中大脳動脈瘤によるクモ膜下出血の緊急手術を行った。ところが患者の所持するものは、パスポートのみで、治療費の支払ができず、出身国の在日公館に連絡したところ「ビザ切れを放置した日本側の責任で関係なし」との返事であった。また、日本の関係行政機関も不法滞在では対応の方法がないとして保護拒否の態度である。手術で一命を取りとめたものの、数百万円にのぼる治療費が払えず身元の引き受け手もないまま、患者も病院も困り果てているという現状である。
 国際社会における日本の責任が論じられる今日、かかる問題が放置されていることは極めて遺憾であり、人道的立場に立った行政が行われることが大切であると考える。
 よって次の質問をする。

一 短期滞在・研修などの在留資格で日本に入国し、在留期間が切れても出国しない不法滞在者は、何名ぐらいいるのか明らかにされたい。
二 医師法第十九条には「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とあるが、治療費を支払うことができない不法滞在者であることを理由に、医師は、診療を拒否できるのかどうか答えられたい。
三 自治体の救急車によって、不法滞在者が昏睡状態で病院に搬入された場合、医師は不法滞在者であることを理由に診療を拒否できるのかどうか答えられたい。
四 不法滞在者が治療費を支払えない場合、本人に代わり支払う者がいない限り病院側の負担となる。不法滞在者が急増する中、民間病院に負担を求めるだけでは、おのずから限界があると考えるが、厚生省はかかる現状をどのように把握し、対策を講じているのか明らかにされたい。
五 治療費を自己負担できない不法滞在者が、重篤な状態に陥り、長期入院が必要となった場合、当面の措置として国公立病院が引き受けるべきと考えるが、見解を明らかにされたい。
六 現在行政機関には、緊急の治療と援助を必要とする不法滞在者に対する相談の窓口すらない。政府は、人道的立場から不法滞在者に対する医療制度の検討を急ぐべきと考えるがどうか。
七 外務省は、新年度予算案のJICA交付金の中に「日系人就労者調査費」を計上し、いわゆる出稼ぎ日系人に対する相談センターの設置を図っている。一方、不法滞在者は、極めて劣悪な労働条件で、隠れた生活をしていることが、各種の報道によって指摘されているところである。早急に政府機関によって、不法滞在者の相談窓口を設置すべきであると考えるがどうか。
八 国連は、昨年十二月十八日いわゆる「すべての移住労働者およびその家族の権利保護に関する国際条約」を採択したが、政府は同条約の理念をどのように評価しているのか。

 右質問する。





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