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平成三年五月八日提出
質問第一六号

 激動する世界の情勢に即応した国際貢献のあり方に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成三年五月八日

提出者  小森(注)邦

          衆議院議長 櫻内義雄 殿




激動する世界の情勢に即応した国際貢献のあり方に関する質問主意書


 経済的に大きな力をもつに至ったわが国が今日の激動する国際情勢に即応した適格な国際貢献をする方法について、昨年来政府のとりきたった政策が憲法原則に矛盾し、しかもやるべきことに対しては後手後手の姑息なものと判断される。
 次の事項について質問する。

一 昨年の湾岸危機から本年の湾岸戦争に至る一連の政策の根拠を政府は憲法前文の「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって…」の部分を利用して、これを合理づけようとしてきた。しかし憲法の精神は同じ前文に明らかなように「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」ということと一体となっているものである。
  イラクのクウェート侵攻とその併合への制裁をおこなうとした湾岸戦争において、多くの非戦闘員が殺害された。「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」の憲法前文に照らして、日本の積極的平和外交は展開されるべきではなかったか。
二 「九十億ドル」は国連中心外交を旗じるしとしてイラクをあくまでも武力によって制圧することが目的の多国籍軍への支出であり、資金を提供して他国をして「武力による威嚇または武力行使」をさせることとなる。わが国の憲法の理念を考えるとき、自国がやってならないことを、他国にやらせるというのは、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって…」の精神に違背する行為ではないのですか。
三 難民救済を名目に政令を改めて中東に自衛隊機を飛ばせようとしたことや、ペルシャ湾内の航行の安全ということで自衛隊の掃海艇派遣にふみきった。前者は遂に実行しえなかった。後者は数ヶ国の掃海艇が機雷の除去にあたり、現状では大半の機雷が除去されていると伝えられている。外見上のその場のがれの掃海艇派遣がかえって国際社会において顰蹙をかうのではないかとの危惧がある。湾岸戦争の最中もわが国のタンカーは航行しつづけてきたが、航行に危険を感じ航路の変更など特別のことがあったのか。
四 わが国の経済的実力などから、やらねばならぬことは山積しているように思われる。例えばクルド族の難民対策にどう貢献するか、中東紛争の長い間の課題であるイスラエルの占領地問題の打開策や、カンボジア和平への具体的とりくみなどである。さらにごく最近の問題としては自然災害により困っているバングラディッシュへの救援対策をどうするかという問題もある。このようなことに積極的にとりくんではじめて「国際社会において名誉ある地位を占め」ることになるし、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という憲法の精神を生かす道である。
  以上の具体例に対して政府の今日的時点における具体的対応を質したい。
五 平和憲法に基づく積極的平和外交こそ、国際貢献の道であるし、すみやかな対応が必要である。「PKO」の組織を国民合意を基礎に、憲法精神に合致した形で実現し発足させることも現下の急務と言わねばならない。政府はこの「PKO」の法制化にいたずらに時間をかけ、ひたすら自衛隊を実動させることのみに腐心しているように見受けられる。もしそれが誤解だというなら、第百十九臨時国会の会期末以来、国民合意の形成になぜ六ヶ月もの日時を有効に活用しなかったのか。

 右質問する。





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