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平成三年八月八日提出
質問第一号

「風の子学園」の監禁致死事件に関する質問主意書

提出者  小森(注)邦




「風の子学園」の監禁致死事件に関する質問主意書


 我が国の文教行政は差別と選別の進学競争体制により、著しく荒廃の一途をたどりつつある。
 その貝体的な表われが義務教育課程からも見放されていく不登校の激増という事実である。かかる教育荒廃の事実との関連において広島県三原市鷺浦町小佐木島における「風の子学園」の少年少女二人がコンテナ内に監禁され死亡させられた事件となった。再び今回のような不祥事を繰り返さないための緊急な措置が必要と判断される。
 次の事項を質問する。

一 第一二〇回国会における衆議院予算委員会第三分科会における本員の質問に答えて、政府は「子供たちを取り巻く状況というのは、子供たちが大変育ちにくい状況というのも片一方であるわけでございまして、そうした中でこうした登校拒否ないしは中途退学というような問題が起きてきているのだろうと思います」と分析している。「育ちにくい状況」を文教行政の立場からどのように解決しようとされているか。
二 「育ちにくい状況」は目下のところ進行中と思われる。不登校の記録は年々更新され一九九〇年度の「学校基本調査速報」によれば五〇日以上欠席したものの数が四万八一七四人となり前年度より千人近くも増加している。これでは、憲法第二十六条に定められた「教育を受ける権利」が保障されていないことになる。私設の「風の子学園」のような更生施設が営利をかねて出現する根拠がここにあると分析するが政府の見解はどうか。
三 義務教育課程にあるものが法律に定めのない更生施設に入れられるという憲法、教育基本法など関係法令上の違憲、不当性を何故これまで放置しつづけてきたのか。
四 例えば姫路市教委からの紹介により「風の子学園」に入園し死亡した十四才の少年に例をとってみると、「住民登録」などの移動もなく、姫路、三原両市教委間への連絡もなく正規の教育機関から疎外し、現地三原市教委としても手のほどこしようがなかった。この具体的事実をどのように認識され、文教行政上の教訓をどのように確立されようとしているか。
五 第一一八回国会、第一二〇回国会と二度にわたって不登校にかかわる質問を行った。その際、五〇日以上の不登校のみならず、もっと詳しくその実態を把握しなければ、今日のような事態を改善することは出来ないと指摘したが、政府は一向にそれに着手しようとしない。
 「日の丸」「君が代」問題に対する全国的調査の機敏な取り組みに比して、あまりにも対照的である。五〇日に至らないまでも、教育権保障の基礎的資料を何故今日まで把握しようとしなかったのか。
六 すでに文部省は「風の子学園」の今回の事件に対処するためにこの種の施設の実態を正確につかむことも同時に行わなければ、どのような対策を立てるにしても「教育権の保障」という観点は貫かれない。今回の事件を教訓として本格的な調査を行う意志はないか。
七 この際すべての子どもたちの「教育権の保障」をすることをスローガンにかかげる同和教育運動に対し、文部省としてはどんな考え方をもっているのかも伺っておきたい。
 同和教育運動の昂揚があれば、対象者が被差別部落出身であるとないとにかかわらず、教育水準と密度にかかわって今回のような事態は避けられたと判断するからである。
八 真夏の炎天下にコンテナの室内は四〇度を超える高温となるが、こんなところに少年少女に手錠をかけて監禁をしたという事実について、法務省は、我が国の人権擁護行政の不徹底さを反省しなければならない。今回の事件に照らして、どのように人権思想の高揚につとめられるか方策を伺いたい。
九 国際的には「子どもの権利条約」の批准を迫られることとなっている。政府はすみやかに批准の諸手続きをとるべきであると思うが、取り組みの状況とその時期を明示されたい。

 右質問する。





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