答弁本文情報
平成三年八月二十日受領答弁第一号
内閣衆質一二一第一号
平成三年八月二十日
衆議院議長 櫻内義雄 殿
衆議院議員小森※(注)邦君提出「風の子学園」の監禁致死事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員小森※(注)邦君提出「風の子学園」の監禁致死事件に関する質問に対する答弁書
一について
登校拒否や高校中退等の学校不適応の原因・背景は、学校、家庭、社会のそれぞれの要因が複雑に絡み合っている。
したがって、この問題の解決のためには、まず学校が教育の専門機関として取り組むとともに、関係機関・保護者等とも連携協力し、学校、家庭、地域社会が一体となり、子供を取り巻く状況を改善し、それぞれが積極的な取組を行うことが必要であり、このような観点に立って、現在、関連施策の充実に努めているところである。
登校拒否の児童生徒に対しては、学校外における適応指導も含め、その状況に応じた多様かつきめ細かな指導が必要であり、学校としては、児童生徒の学校への復帰を目標に、一人一人の児童生徒を大切にした温かい指導に努める必要があると考える。
個々の児童生徒にとって掛け替えのない学校生活を送ることができないことは、教育上極めて大きな問題であり、このため国としてもこれまで様々な施策を講じ、登校拒否対策に取り組んできたところである。
登校拒否の児童生徒が学校に行くことのできない間の当面の措置として、学校外における適応指導を受ける場合には、学校や教育委員会は、当該機関・施設の実態をよく把握の上、それらの機関等と十分な連携が得られるよう努めるとともに、児童生徒について定期的にフォローアップを行うことが必要である。今回の事件を契機として、今後この点について十分指導していく必要があると考えている。
欠席日数が五十日未満の児童生徒の中で登校拒否傾向を有する者の数について、可能な限り実態を把握することも必要であると考えており、科学研究費補助金による専門家の調査研究やいくつかの県における実態調査などを通じて、現在その把握に努めているところである。
登校拒否問題への対応を図っていく上で、可能な限り民間施設の全国的な実態を把握することは必要であると考えており、現在、都道府県教育委員会に対して調査を依頼し、その把握に鋭意努力しているところである。
同和教育については、基本的人権尊重の教育が全国的に正しく行われるようにすること、地域の実態を十分把握しこれに即するよう配慮すること、教育の中立性が守られるよう留意することを基本として、その推進に努めているところである。
法務省としては、関係法務局において人権擁護の観点から関係者に対する事情聴取を行うなど、今回の事件について、鋭意、情報収集に努めているところであるが、このような事件が再び生ずることのないよう、心身ともに健全に育成されるべき子供の人権擁護のため、今後とも関係機関と協力し、積極的かつ効果的な啓発活動を展開していく考えである。
御指摘の「児童の権利に関する条約」については、できるだけ早期に締結できるよう、現在関係省庁による検討作業を急いでいるところである。