質問本文情報
平成四年十二月九日提出質問第一七号
初動捜査ミスと狭山事件に関する質問主意書
提出者 野坂浩賢
初動捜査ミスと狭山事件に関する質問主意書
国民の注目する今般の佐川疑惑をめぐる不信のひとつは、検察の捜査の過程が国民に見えないこと、捜査に不明な点が多すぎることがあげられる。
刑事事件における警察の捜査についても同じような感じをもつことが多い。そこでつぎのとおり質問する。
二 捜査段階で集められた証拠のうち、被疑者の取り調べ過程で、いわゆるクロの証拠に対立・矛盾する証拠が明らかになることも当然考えられるが、警察では、このような証拠をふくめてすべて検察庁へ送るのか。それとも、自分たちに都合の悪い証拠は破棄するということはないのか。
三 狭山事件にかかわる初動捜査について伺いたい。
一九六三年五月六日の『朝日新聞(夕刊)』には、『善枝さん事件で対策を協議』という見出しで、『国家公安委員会は、六日午前十時から臨時委員会を開き、中田善枝さん殺害事件のくわしい報告を求め、今後の対策を協議した。席上、宮地(警察庁)刑事局長は「初動捜査に重大なミスがあった」と報告した。』とある。
1 この宮地警察庁刑事局長の『初動捜査に重大なミスがあった』とは具体的に何をさしているのか。
2 また、同年五月十日付の『朝日新聞』には、警察庁が、十日に全国刑事課長会議を開き、吉展ちゃん事件、善枝さん事件での警察のミスの原因を協議したとあり、その中で、初動捜査の体制を強化することを討議したとなっている。ここでいう警察のミスとは何をさすのか。
初動捜査の体制強化とは具体的にはどのようなことであったのか。
3 犯人を取り逃がした五月三日の早朝より山狩り捜査がおこなわれている。また、五月四日には、特別捜査本部が設置され、『県下各署のベテラン刑事約百人を動員して、地取り捜査に全力をあげた。県警がこれだけの大捜査網を張ったのはニセ札事件を除いてはこれがはじめてのこと』(五月五日付『朝日新聞』埼玉版)といわれる徹底した捜査がおこなわれていると思われる。どのような人員の配置、指揮命令などの体制で捜索がなされたのか。
4 事件当時、「トラック一台もある報告書や捜査書類」(『毎日新聞』一九六三年七月十日付)があったと報じられている。
これらの証拠のなかには、公判に提出されていない、いわゆる未提出記録が数多く存在すると考えられるが、どのような基準で証拠の提出、未提出の区分をされたのか。
また、これらの未提出証拠は現在、どのように保管されているか。
右質問する。