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平成五年二月十日提出
質問第二号

筆跡鑑定と科学捜査に関する質問主意書

提出者  小森(注)邦




筆跡鑑定と科学捜査に関する質問主意書


 これまでの冤罪事件や誤判事件では、自白偏重とともに、警察側の当初の鑑定が誤りであったことがその原因として考えられる。そこで、警察の捜査で、どのような鑑定が行われているか、筆跡鑑定を中心に質問する。

一 現在の科学捜査において、筆跡鑑定がどのように行われているか説明されたい。筆跡鑑定の結果は、指紋の一致や血液型の一致と比較して証拠の価値に軽重があるか。
二 筆跡鑑定では、対照する資料の文字について、書きぐせなどの類似点を比較することになると考えられるが、似てるか似てないかは鑑定する人の「勘」に頼るものなのか。
  指紋検査などと比べて鑑定する人の主観がはいりこむ危険性が高いと考えられる。筆跡鑑定をより客観化するために、どのような方法がとられているか。
  とくに、筆跡鑑定を行っているのは、多くの場合、警察の鑑識課や科学警察研究所である。鑑定はその後の捜査に影響をおよぼす重大なものであり、恣意的な内容がはいりこむことは許されない。警察の行っている筆跡鑑定が、捜査側にかたよらず公正で、客観的な鑑定である保障はどのように確保されているのか。
  イギリスなどでは、筆跡にかぎらず、指紋、法医学などの科学捜査、鑑定などを第三者的な公的機関が行い、弁護士からも鑑定を依頼できるようなシステムがあると聞く。日本でも、そのような公的機関をつくることは考えられないか。
三 狭山事件における捜査と筆跡鑑定について尋ねる。
  狭山事件では、事件の発端となったのが被害者宅に届けられた脅迫状であった。そこで捜査段階で筆跡に関する資料が多数収集されたと思われる。現に、逮捕された石川一雄さんについても、かつての仕事先であった東鳩製菓保谷工場での早退届が筆跡鑑定資料に供されている。
  これはこの保谷工場にあった石川一雄氏の早退届のすべてか。現在、検察庁にはこのほかに捜査段階で集められた筆跡関係資料はないのか。
  鑑定資料とされた早退届は、間違いなく石川一雄氏のものなのか。それはどのように証明されるのか。
四 一般的に、筆跡鑑定では、検討する資料相互の「常同性」・「稀少性」・「相同性」・「相異性」のテストを行うことが必要であるとされる。現在、警察の行っている筆跡鑑定では、このようなテストを厳密に行っているのか。
  また、狭山事件が発生した一九六三年当時の筆跡鑑定では、「常同性」・「稀少性」・「相同性」・「相異性」のチェックを行っていたか。
五 狭山事件で埼玉県警鑑識課が行った筆跡鑑定がある。(一九六三年六月一日付けで埼玉県警鑑識課員の関根技師が同じ鑑識課員の吉田技師と行った鑑定)
  この鑑定によれば、この筆跡 筆跡 が類似点があり、同一人の筆跡だという。ちなみにこれは、ともに「時」という字である。
  明らかに、字画の配置や筆速など違いを見出すことができ、同一人の筆跡とは思えないが、警察ではこのような字を似ているという筆跡鑑定を行っているのか。
六 また、同じ警察の筆跡鑑定では、ひらがなの「ま」を比較しているところがあるが、つぎに見るように、鑑定資料としている被疑者の「上申書」に出てくるすべての「ま」を比較せず、被疑者が誤って書いた、そして犯人の文字とまったく似ていない三番と五番の「ま」 筆跡:ま を鑑定対象文字からはずしている。

筆跡
  このような鑑定はまさに、恣意的な筆跡鑑定と言わざるをえないが、このような鑑定を警察ではやっているのか。

 右質問する。



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