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平成八年十二月十六日提出
質問第四号

苫田ダム建設事業に関する質問主意書

提出者  秋葉忠利




苫田ダム建設事業に関する質問主意書


 ダム建設事業は、ダム貯水池における水没予定地域への影響のみならず、当該河川流域全体の社会・経済・文化・健康・生態系などに対し様々な影響を及ぼす。
 岡山県奥津町に計画されている苫田ダム建設事業は、昭和三十二年に発表された苫田ダム建設構想に始まる。吉井川上流に計画されたものである。苫田村議会(当時)は直ちに反対を議決し、村民大会はダム建設絶対反対を決議し、苫田ダム建設阻止期成同盟会を結成した。苫田村、羽出村、奥津村が三村合併で奥津町となってから以降も町をあげてダム建設に反対してきた経緯がある。本年で構想発表より三十九年を経ている。
 昨平成七年に、建設省より「ダム等事業評価システムの試行」という河川局長通達が出された。その試行の審議対象とする事業の一つとして苫田ダム建設事業が選ばれた。
 建設計画の発表から既に三十九年を経ている。事業計画の根本的見直しが図られて当然と考えられる。
 通達により設置された苫田ダム建設事業審議委員会は計三回の委員会を行ったのみで審議を終えたとし、答申を提出している。
 答申の内容からは、苫田ダム建設事業の根本的見直しのための審議が十分に行われたとは解しがたい。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 建設省の「ダム等事業評価システムの試行」通達について
 1 「ダム等事業評価システムの試行」における審議委員会の法的位置付けはどうなっているのか。
 2 評価システムの試行による「審議委員会」の設置の意図及び目的は何か。
 3 なぜ、苫田ダム建設事業を評価システムの試行対象としたのか。
 4 審議委員会に何を諮っているのか。
 5 審議委員会の答申をどう扱うのか。
二 苫田ダム建設事業審議委員会の試行について
 1 建設省河川局の「ダム等事業評価システムの試行」通達に基づいて設置した「苫田ダム建設事業審議委員会」(以下「審議委員会」という。)のメンバーは誰か。また、メンバーの選考は、誰がどのような観点で行ったのか。
 2 審議委員会の会合は、いつ開催されたのか。会合ごとのメンバー及びメンバー以外(建設省の担当者を含む)の出席者は誰か。
 3 審議委員会は非公式な会合を行っていたのか。行っていたとすれば、その日時とそれを非公式とした理由は何か。
 4 審議委員会のメンバーは苫田ダム建設予定地あるいは関連地域の現地視察を行ったか。行ったとすればいつ、誰が、どこを、どのように行ったのか。同行者は誰か。メンバーに配布した資料はあるか。あるとすれば誰がいつ作成したものか。
 5 審議委員会の会合における議事録、議事メモ及び配布資料はあるのか。ないとすれば、ない理由を述べよ。そうした記録、資料の管理責任者は誰か。
 6 審議委員会の会合で、審議の参考として用いた資料はあるか。あるとすれば、誰がいつどのような立場で何について作成したものか。
 7 審議委員会の会合で、メンバー以外の出席者は発言したか。発言したとすれば、審議内容に関わるものか否か。
 8 審議委員会の会合では、各回の終了後に何らかの報告書を出しているか。それらは公表されているか。
 9 審議委員会の会合で、マスコミ関係者の立ち会いなしで進行した場面はあるか。あるとすれば、その目的とその理由は何か。
三 苫田ダム建設事業審議委員会で扱った、岡山大学の作成した見解について
 1 審議委員会の過程で、岡山大学の作成した苫田ダムに関する見解を聴聞する場面があったが、岡山大学に対して、誰がいつ、誰に対して、どのような権限に基づいて、どのような形で依頼するに至ったのか、その経緯を示せ。また、その委託は有償でなされたのか、なされたとすればその費用はどこからどのような名目で支出されたのか。
 2 1が事実であるならば、その見解は、誰がいつどのような立場で何をどのように調査したものに基づくのか。また、誰のどのような立場による見解か。
 3 lが事実であるならば、同様の見解の聴聞を他にも行ったか。行ったならば、誰をどのような立場で、いつ、どのような観点に関する見解を聴聞したのか。行っていないならば、なぜ行わなかったのか。
四 岡山県による「協力感謝金」の交付について
 1 「ダムとたたかう町」(苫田ダム阻止写真集刊行委員会・手帖舎)によると、昭和六十一年度から「協力感謝金・生活再建対策費」という名目の金が水没予定地の地権者に対して交付され始めたとしているが、事実か。事実でないまたは事実が確認できないとすれば、どのような調査の上で確認できないのか。
 2 1が事実であるとした場合、「ダムとたたかう町」の記述によれば、協力感謝金については、ダム建設に同意した時期により五〇〇万円、さらに二五〇万円、ついには不交付と、最高五〇〇万円からゼロまで差をつけた、とされるが、これは事実か。事実でないまたは事実が確認できないとすれば、どのような調査の上で確認できないのか。
 3 2が事実であるとした場合、公共用地取得に伴う損失補償要綱に違反しないか。
五 進行中のダム建設事業関連工事について
 苫田ダム建設事業の審議委員会における審議が進行している間にも関連の建設事業が続行された。審議開始時に既に部分的に着工している場合、工事の進行を一時停止し得るか。その場合どのような基準でどの段階で停止するか。その判断は誰が行い、さらに誰が解除を何によって判断するか。
六 苫田ダム建設事業関連費用について
 1 苫田ダム建設事業関連費としてこれまでに使った事業費用の使途はどうなっているか。費目と金額を示されたい。
 2 事業計画全体の予算概算に対してのこれまでに使った事業費用の割合は、当初計画の予算概算の割合と適合しているか。その根拠は何か。
 3 事業計画全体の予算概算は、当初の予算概算と適合しているか。また、その根拠は何か。
七 苫田ダム建設事業関連事業の負担費用について
 1 苫田ダム建設事業の目的を達するために必要な関連事業はあるか。あるとすれば、その事業名、事業の内容、事業関連予算及びその財源と償還計画はいかなるものか。
 2 苫田ダム本体及び前1項の関連事業の維持管理費概算を示されたい。
八 苫田ダム建設事業及び関連事業の便益について
 苫田ダム及び関連事業が完成した場合の、便益はどのように算出されているか。算出されている場合はその根拠、されていない場合はその理由を問う。

 右質問する。





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