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平成九年一月二十八日提出
質問第二号

遺伝子組換え農作物の安全性に関する質問主意書

提出者  長内順一




遺伝子組換え農作物の安全性に関する質問主意書


 厚生省食品衛生調査会バイオテクノロジー特別部会は、平成八年八月二十六日、欧米農薬メーカーから申請されていた遺伝子組換え技術を利用し開発された、大豆、ナタネ、トウモロコシ、ジャガイモなど七品種の食品の安全性が確認されたと答申した。
 これを受けて農林水産省も、同年九月二十六日、遺伝子組換えの脱脂ダイズ、脱脂ナタネ、及びトウモロコシの飼料の安全性を確認したと発表した。
 確認された遺伝子組換え農作物は、除草剤耐性と害虫抵抗性の二種類で、既存の近縁種同士の掛け合わせによる品種改良技術の延長では決して生まれてこない農作物である。従って、この使用許可にあたっては慎重の上にも慎重な対応が望まれる。
 以下、遺伝子組換え農作物の安全性、環境破壊について質問する。

一 輸入される遺伝子組換え農作物は、自然界には生まれることのない作物で、遺伝子の組換えにより予期せぬ副作用の起こることが懸念される。厚生省の「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」によると、安全性評価の考え方は個々の組換え農作物が既存のものと「実質的同等性」であるならば、組換え農作物も「安全であり」「表示はいらない」としている。
  しかし、これは生物の長い進化の歴史を無視したもので、遺伝子組換え農作物を市場に流通させるなら「新規の食べ物」として、厚生省は厳格な安全性確認を行うべきである。今回の認可にあたって、安全性確認の根拠となったデータをお示し願いたい。
二 遺伝子組換え農作物は、除草剤や害虫に強い性格をもたらすたんぱく質が個々の細胞でつくられるため、食品として摂取するときは想像以上に大量になる。人間に対する毒性が低い、ということで開発が進められてきたが、その桁違いの摂取量や長期にわたる連続摂取に関し、人体への安全性試験はどのように行われたか明らかにしていただきたい。
三 輸入される遺伝子組換え農作物は、大豆が油・醤油・豆腐、ナタネは油やマヨネーズ、ジャガイモはフライドポテト、トウモロコシはコーンフレーク・コーンスターチなど、加工食品として市場に出る。しかし、表示義務がないため、遺伝子組換え農作物を使用したか否か、消費者は購入する際に避けようと思っても知るすべがない。
  遺伝子組換え農作物が健康や環境に及ぼす潜在的危険性について、いまだ十分な安全性が立証されていない今日、消費者の選択する自由は保証されるべきであり、選ぶ権利がある。既に、スイス連邦政府は、昨年十二月より遺伝子組換え農作物の表示義務を課している。表示を義務づけるべきであると考えるがどうか。
四 除草剤耐性農作物は「除草剤の使用量を減少できる」と宣伝されている。しかし、遺伝子組換え農作物は抗生物質耐性と同様の広がりを持つ危険性があり、デンマークの国立研究所によると除草剤耐性のナタネを栽培したところ、周辺の雑草に除草剤耐性遺伝が移行したという報告もある。また、植物に組み込んだウイルスの一部と、感染させたウイルスの間で遺伝子の交換が起きたという報告もされている。長期的には農薬の大量使用によって環境破壊が広がっていくことも十分考えられるが、この点をどう認識しているのか。また、どう対応されようとしているのかお示し願いたい。
五 ヨーロッパ二十ヶ国の食品小売・卸売業界やドイツ、ノルウェーなどの食品団体は、遺伝子組換え農作物の使用を見合わせている。食糧の輸入依存度が高い日本は、今後、広範多種の遺伝子組換え農作物の導入にどのような対応をしていくのか。また、現在確認申請中の遺伝子組換え農作物を具体的にお示し願いたい。

 右質問する。





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