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平成九年十一月十三日提出
質問第一二号

我が国における外国人諜報部員の把握に関する質問主意書

提出者  西村眞悟




我が国における外国人諜報部員の把握に関する質問主意書


 我が国は、巷間、いわゆるスパイ天国と言われていたところ、我が国における外国人諜報部員(スパイ)による活動の把握に関しては、当職は、法の不備にも拘わらず、我が国捜査機構はその能力を有していると理解していた。
 しかるに、橋本内閣総理大臣は、平成九年十月三十日の衆議院予算委員会における当職の、総理が中国語通訳としてかつて接触していた人物が中国の諜報部員であったか否か、という質問に答え、「諜報部員であったかどうか…調べるといったって…調べようがありません」(衆議院予算委員会議録)と述べ、さらに、同委員会後に記者からの、同人物が中国の諜報部員であったか否か調べるのかとの質問に答えて、「そんなの調べられるか。それで解るようなら、情報部員とはいえないだろう」と述べた、と報道されている。
 ところで、政府の閣僚と深く接触する人物が、外国の諜報部員(スパイ)もしくはそれと関係のある人物であるか否かの問題は、国家の機密が奪われたか否かという国益に関わる問題であり、したがって、諸外国の例においては、或いはイギリスのプロヒューム事件では、プロヒューム陸相は接触した人物がソビエト大使館幹部とも接触があったとの事実が明らかになり辞任し、或いは、西ドイツのプラント首相は、自らの私設秘書ギョームが東側のスパイであったゆえに同じく辞任しているのである。蓋し、このような疑惑が明らかになれば、対外的関係においても、他の同盟国は、そのような疑惑が生じた政府と、安心して機密にかかる情報を交換しまた共有できなくなり国益の毀損甚だしいからである。したがって、当職は、右委員会において、当該人物が諜報部員であるか否かの調査を総理大臣に依頼して、質問を締めくくったのである。なぜなら、総理が、右委員会で交際を認めた人物は、既に、「週刊文春」九十七年九月十一日号、同九月十八日号、同九月二十五日号で「中国の情報部員であった」と報じられており、既に、総理が、この報道を無視し、何ら弁明しないこと自体が、諸外国の裁判制度上の常識からみて、総理が、この報道が真実であることを認めたと受け取られかねない事態になると危惧したからである。
 しかし、橋本総理大臣は、前記の通り、あたかも我が国の国家機構が、本件の如き調査をする能力を全く有していないかのごとき発言を行ったのであり、これは総理大臣自ら、我が国の捜査機関の本件領域に対する無能力を世界に公言し、もって、我が国が文字どおり「スパイ天国」である旨を認めたことにほかならず、我が国の対外的信頼を失墜させること甚だしいものがある。
 よって、橋本総理大臣の右予算委員会における「調べようがありません」、また記者に対する「そんなの調べられるか」との発言が事実であるか否かを確認することは、我が国の国益に関わることであり緊急を要すると考え、次の事項について質問する。

一 我が国の国家機構は、外国の情報部員(スパイ)と疑わしき人物を調査する能力を有しているのかいないのか回答されたい。
二 能力を有しているとして、それは十分か否か、能力を有していないとすれば、今後如何に対処するか、回答されたい。
三 右調査能力をいささかなりとも有しているとして、前記「週刊文春」や「アエラ」十一月三日号で報道され、前記予算委員会で橋本総理が交際を認めた人物に関し、我が国国家機構は、調査していたのか、調査していたとすれば、同人は、中国の情報部員であったのか否かを含むその調査内容を回答されたい。
四 週刊誌で「中国の情報部員」と報道された右人物は、我が国の公安当局の「監視対象者」であり、同人のファイルが保管されていると報道されているが(「週刊文春」十一月十三日号および「夕刊フジ」十一月十二日付)、この報道は真実か虚偽か、回答されたい。真実とすれば、そのファイルの内容を回答されたい。
五 「週刊文春」十一月十三日号によれば、警視庁は、橋本総理と右人物の関係に対し、国家の機密管理という視点から強い危惧をもつに至り、橋本総理と右人物を徹底的に視察する捜査を開始したところ、暫らく経過して、突然、上層部からこの視察・捜査活動の中止命令が下り、同活動は中止された、とある。この報道における、捜査機関が橋本総理と右人物を視察・捜査していたことがあるとの部分は、真実か虚偽か回答されたい。真実であれば、どの捜査機関が捜査し、またその捜査で得た事実は何か回答されたい。さらに、この報道における、視察・捜査活動が、上層部の指示により中止されたとの部分は、真実か虚偽か回答されたい。真実であれば、その中止の理由および誰の指示により中止されるに至ったのか回答されたい。
六 過去における右人物についての調査の有無に拘わらず、この度の週刊誌等の報道と前記予算委員会の質疑を契機として、内閣として、国家機密漏洩の有無という観点から、右人物の活動について、担当部局に、調査を命じたのか、未だ命じてないのか。未だ、調査を命じてないとして、今後調査を命ずる予定か。その予定もないのか。
  仮に、既に調査を命じまたはこれから命ずる予定であるとするならば、その調査結果を公表する予定はあるのか。
  仮に、調査を命ずる予定がないとするならば、その予定がない理由は何か。橋本総理が、「そんなの調べられるか」と発言しているからか。回答されたい。
七 平成九年十一月五日の衆議院法務委員会において、昭和四十七年の外務省機密漏洩事件で明らかなように公務員の機密漏洩を罰する法律はあるが、国務大臣はどうか、という当職の質問に対し、政府は、「国務大臣は特別公務員で、(機密漏洩について)取り締まる法律がない」とし、取り締まる新規立法については、「慎重に検討を要する」と答弁した。政府として、国家の機密保持に関し、現行法体系に不備があると考えているのか。不備があるとするならば、それを正す方策をいかに考えているのか。
速やかに回答されたい。

 右質問する。





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