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平成九年十二月十二日提出
質問第二五号

旧国鉄債務のJR強制負担問題に関する質問主意書

提出者  坂上富男




旧国鉄債務のJR強制負担問題に関する質問主意書


 政府は、二十八兆円近くに上る旧国鉄長期債務についてJR各社に鉄道共済年金を、厚生年金に統合したさいの移管金の一部、約三千六百億円を二十年払いで、年間二百五十億円の負担を要請し、JRが最後まで負担を拒否した場合は、日本国有鉄道改革法等施行法を改正し、JR各社に、強制負担をさせようとしている。この移管金と今回の追加負担は、対価的関係に立ったもので無く、追加負担とは全く関係も無く、取締役会の「多額の借財」に該当するものでない。従ってこの追加負担は、いかなる法律をもっても、JRに強制負担は勿論、任意負担もさせる事は出来ないものである。仮に、JR各社が旧国鉄債務を追加負担するとした場合、JR各社としては多額の債務負担によって企業収益力の低下を招く事になるだろうし、また、業績への悪影響、企業経営の圧迫、引いては株価及び株主配当への影響も株主権侵害に当たると懸念される。
 他方、取締役会の構成員である取締役は、会社に対して善管注意義務(商法第二五四条第三項、民法第六四四条)及び忠実義務(商法第二五四条ノ三)を負っており、取締役がこれらの義務を怠った場合には、会社に対して損害賠償の責任が生じる(商法第二六六条第一項第五号)こととされている。また、取締役が、会社の目的の範囲以外の行為、その他法令または定款に違反する行為を行い、その結果、会社に回復することのできないような損害が生じるおそれがある場合には、六ヵ月前より引き続いて株式を有している株主は、会社のために、その行為を中止するよう取締役に求めることができる(商法第二七二条)こととされている。更に、会社自身がその責任追及を懈怠している場合に、会社に代わって、株主が責任ある取締役に対して民事訴訟を提起できる株主代表訴訟制度が認められており(商法第二六七条)、JR各社が旧国鉄債務を追加負担した場合の影響として、会社に対する損害、株主等の利益侵害等の問題の発生、それに伴う取締役の責任追及等の問題が生じるおそれがある。よって旧国鉄債務のJR追加負担についてつぎの点について質問する。

一 強制負担は、憲法第二九条第一項の財産権の侵害の憲法違反に当たるのではないか。
二 追加負担は、商法第二六〇条第二項第二号「取締役会の権限」にも含まれないので取締役会は、強制負担、任意負担を決議することは出来ないのではないか。
三 追加負担を、株主総会においても、例え決議したとしても、その決議は違法な決議となるのではないか。
四 仮に、JR各社が右の追加負担をした場合は、株主代表訴訟の対象となり、取締役はその責任を問われるのではないか。
五 よって、法律によっても、JR各社に追加負担を強制することは出来ないし、JR各社が任意に債務負担をしたとすれば、右第一項から第四項に該当する違反行為になるのではないか。

 右質問する。





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